ピープルアナリティクスは従業員体験(EX)をどのように変えるか?
最近カスタマーエクスペリエンス(顧客体験, 以下CX)とならんでエンプロイーエクスぺリエンス(従業員体験, 以下EX)が脚光を浴び始めているようです。今回の記事ではEXがなぜ重要なのか、そしてピープル・アナリティクスの出現でEXに対する認識がどう変わりつつあるかを、人事領域のデータサイエンティストである私の視点で紹介します。
ブランドと消費者とのあらゆる接点が消費者体験を創り出すように、会社と求職者や従業員とのあらゆる接点によりEXは創り出されます。近年、多くの経営者たちはEXが会社の文化形成においていかに重要で、ビジネスの成功にいかに大事かを認識し始めています。
なぜ急にEXが重要視され始めたのでしょうか?
この認識の変化はピープルアナリティクスの出現に誘引されているようです。
Google Trendによると、これらのキーワードに関する関心はほぼ同時的に高まっています。(Google Trendによる二語の検索履歴の比較 赤はEmployee Experience、青はpeople analyticsを表す)
しかし、なぜ会社にとってそれほどEXは重要なのでしょうか。
なぜEX(従業員体験)が重要なのか
従業員体験は、従業員と雇用主との日々の関わり合いの全てから創り出されます。
様々な”人”に関する意思決定が与える影響を端から端まで俯瞰的に捉え、それを継続的に測り、助長することで、従業員が働きたい・成功したいと思う職場環境を作ることができます。EXの向上が、ビジネスのあらゆる面にいかにプラスの影響を及ぼすかを示す研究結果は、すでに様々な機関から豊富に出されています。
・経営者の約80%がEXを大変重要であると評価(デロイト)
・離職率を1%削減した結果、年間7,500万米ドルから1億米ドルの経費節約(Credit Suisse)
・EXの高い組織はそうでない競合を、147%上回っている(Jacob Morgan)
さて、重要度が確認された今、次に来る質問は、「どう測るか?」です。シンプルな答えは、データです。
なぜピープル・アナリティクスが重要なのか
従業員に関するデータが正しい形で入ってくると、人事や経営は効果的にEXを測定することができます。ここが、ピープルアナリティクスの出番です。
ピープルアナリティクスとは、意思決定者が従業員に関してデータに基づいた判断を下せるようにして、意思決定の質をあげる取り組みのことを言います。たとえば人材の採用やマネジメント、成長を改善するためのインサイトを経営者に提供することができます。
データは鍵となるインサイトを提供し、それにより良い人材を採用する補佐をしたり、離職危険性を予測したり、組織の強みとそれを維持するために改善できることなどを提案し、経営に役立てます。
また組織が大きくなり従業員一人一人と向き合う時間が限られていても、あなたの会社の従業員がどんな人で、何をしていて、何を望んでいるのかを、思い込みではなくファクトベースで理解するのに役立ちます。
これだけの価値が確認されているにも関わらず、企業にとってのピープル・アナリティクス導入にはいくつもの課題が立ちはだかります。
それはデータ分析や機械学習、データ視覚化ツールの運用に多くの時間、専門知識、そして投資を要することです。 人事組織がこれらのリソースを十分に使えることはほとんどありません。 分析フォーマットを作成することも、それを社内クライアントに届け、タイムリーな意思決定をサポートすることも、どちらもほとんどの場合できていないのが現状です。
起業家と投資家はどちらもこれらの課題を認識しているため、ここ数年の間にピープル・アナリティクス、HR、およびデータサイエンスの深い専門知識を持つチームによって作られた“特化型HRサービス”が次々登場しました。
パナリットは、この“使えるピープル・アナリティクスを意思決定者に届ける”という革命の一端を担っています。私たちは既存のHRシステムやデータファイルからEXに影響するデータを引き出し、使いやすいダッシュボード、分析ツール、そして意思決定に必要なインサイトを提供します。
特別な技術や分析リソースを一切必要とすることなく、全ての会社に最先端のピープル・アナリティクスを提供し、従業員についての理解を深めることができます。
パナリットのデータサイエンティストとして、私はデータが企業と従業員を同時に活気付けていくのを見ると、とてもワクワクします。
元記事:Redefining Employee Experience through People Analytics [The Drill down. - Medium]
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