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コミュニティヘルスワーカー(CHW)の全て:役割から課題まで徹底解説!
みなさんはコミュニティヘルスワーカー(CHW)って聞いた事ありますか?
日本では馴染みがないと思いますが、途上国ではかなり重要な存在です。
今回はそんなCHWを徹底解説していきたいと思います。
この記事では、CHWの基本的な役割から、彼らが直面する課題までを深掘りしていきます。まずはCHWがどのような存在なのかを見ていきましょう。
コミュニティヘルスワーカー(CHW)とは?
コミュニティヘルスワーカー(CHW)とは、開発途上国における地域医療のキーパーソンといっても良いでしょう。彼らは、最低限のトレーニングを受け、コミュニティから選出された人材で、医療者不足の解消を目的としています。国によってはCHV(コミュニティヘルスボランティア)、HEW(Health Extension Worker)など様々な名称で呼ばれています。
そんなCHWは、地域住民に対するプライマリーケア(家庭医が行うような一次医療)と健康教育を担当しており、以下の図のように、住民宅を訪問してスクリーニング、治療、受診勧奨、健康教育を行います。
![](https://assets.st-note.com/img/1702385879629-5GzqN1I2fy.png?width=1200)
CHWによるプライマリーケア(一次医療)
まずはCHWによるプライマリーケアについてご紹介します。基本的にはスクリーニングや受診勧奨そして治療を行うのですが、なんとその中でCHWは薬を処方できます。
「え、医者じゃないのに薬を処方できるの?」って思いますよね。このようにCHWが薬を処方できる仕組みを、iCCM(integrated Community Case Management)と呼びます。iCCMでは、CHWが肺炎、急性下痢症、マラリアなどの疾患に対して、薬を処方し治療を行うことができます(ただし合併症のないものに限ります)。
例えば、小児の下痢症に対しては、血便を伴わない2週間以内の下痢であれば、ORS(Oral Rehydration Solution)や亜鉛の内服薬を投与し様子をみます。
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また小児のマラリアに対しては、マラリア流行地においては、熱があれば迅速診断テストを行います。そして、陽性であれば抗マラリア薬を投与します。
![](https://assets.st-note.com/img/1702275779165-FTNqGAYi4K.png?width=1200)
上記の例はいずれも合併症のない症例に限った場合であり、CHWの手に負えない症例は当然、受診勧奨となります。
このように開発途上国の多くでは、iCCMという仕組みによりCHWが治療をする事ができ、結果として多くの命が救われています。
CHWによる健康教育
CHWはプライマリーケアだけではなく、健康教育も行なっています。内容は、手洗い、トイレの設置、ファミリープランニング、妊婦健診の勧め、授乳や栄養に関する事など多岐に渡ります。
参考までにCHWのトレーニング教材を以下にご紹介↓
![](https://assets.st-note.com/img/1702277887788-X4OIjpm3cU.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1702277933528-E3bBWz7cqw.png?width=1200)
このように最低限のトレーニングを受けたCHWは、地域住民にとって貴重な情報源となっています。
またCHWは健康教育に加え、マラリア対策の一つである「Indoor residual spraying(IRS)」という活動も行います。これは、住民宅をスプレーして蚊をやっつけるというものです。ゴーストバスターズみたいでかっこいいですね。
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CHWの課題
そんな大活躍なCHWですが、弱点があります。
CHWは基本的に無給であるため、パフォーマンスが落ちやすいと言われています。具体的には、住民宅への定期訪問が不十分であったり(4)、持ち物の在庫不足が発生したり(5)、地域住民にあまり利用されていない(6)という報告があります。
さらに、CHWの人員不足も大きな課題です。
例えば、アフリカでは200万人のCHWが必要とされていますが、現在のところその半分しかいません(7)。人口1000人あたりに対するCHWの数を比較したのが以下の図になります。同じアフリカでも地域によって異なる事がわかると思います。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。CHWの重要性と課題が伝わったでしょうか。
簡単にまとめると、CHWは地域医療のキーパーソンであり、プライマリーケアや健康教育など様々な役割を担っている。一方で、CHWにはパフォーマンスの問題や人手不足の問題がある。といったところでしょうか。
以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました。
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参考文献:
One Million Community Health Workers in Sub-Saharan Africa: https://www.researchgate.net/publication/236092846_1_Million_Community_Health_Workers_in_Sub-Saharan_Africa_by_2015
World Health Organization/United Nations Children‘s Fund Joint Statement on Integrated Community Case Management: An Equity-Focused Strategy to Improve Access to Essential Treatment Services for Children:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23136272/
COMMUNITY HEALTH VOLUNTEERS (CHVs) BASIC MODULES HANDBOOK KENYA:https://www.studocu.com/row/document/university-of-nairobi/public-health/chv-handbook-pdf-f-a-guide-on-community-health-strategy/64594812
Report E. EVALUATION OF INTEGRATED MANAGEMENT OF ACUTE MALNUTRITION (IMAM): Kenya Country Case Study. 2012;(December):5–97. Available from: https://www.unicef.org/evaldatabase/files/Kenya_CMAM_formatted_final.pdf
Factors Affecting Availability of Essential Medicines among Community Health Workers in Ethiopia, Malawi, and Rwanda: Solving the Last Mile Puzzle:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23136287/
Geldsetzer P, Williams TC, Kirolos A, Mitchell S, Ratcliffe LA, Kohli-Lynch MK, et al. The recognition of and care seeking behaviour for childhood illness in developing countries: A systematic review. PLoS One. 2014;9(4).:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24718483/
2 Million African Community Health Workers: https://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/African2mCHW_en.pdf
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