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とあるなんでもない日常会話の中で
「どうしてそっちには出来てこっちは出来なかったんでしょう?」
そう聞かれて。なんでなんだろう?振り返っていたけどよくわかんない
目の前をひた走ってたら何とかなったとしか
ただ確かにあれこれ手札を出してた
仕事もプライベートも全部そんな感じ

コロナで生き延びたひと、ドロップアウトしたひとのこと

まだたまに思い出す
がらんと人気のない池袋の終電前の構内
ステージ向かいにPCが置かれただけのがらんとしたフロア

人の塊が一つの生き物みたいに蠢くフロアでやってた時にふと
「俺たちは床見て悔しがってきた、だからその分強い」
みたいな話を聞いた
床を見る、要するにフロアに疎らにしか人がいないライブを積んできた
だからその分飢えたし、もっと上を見て蹴り上がったって話なんだけど
まさかPCだけがフロアに置かれて無観客
転がしてある歌詞出しのプロンプターの横に
ツイキャスの画面が映ってる時その人どんな顔してたっけね
忘れた、言葉としては好きだから覚えている
本番前に見た画面には上からなんかメダルゲームみたいに沢山降り注がれ続けて
下になんかぼろんぼろん転がってて皆喜んでた

きっとどんどんライブハウスが遠のいていく
そんな感じをすごく感じた
お客さんが配信でいいじゃん、の兆候もじわじわ
でもしっかり手触りで分かる反面
古巣たちが悲鳴をあげ、クラファンで生き残りを掛けて
セッション屋やバンドマンがそれをtwitterで拡散していて

急ごしらえの楽器レッスンを始める人や
補助金の怪しい代行人の話だとか
ここは通る、みたいな口コミで紹介された行政書士
ノートパソコンに添えられた検査キット
マスクをしながらする興行の変な暑さ
断片的で全然ちゃんと覚えていないな
夢を乗せて出した船が着水した矢先一気に脆くなっていく様や
実際それだけが動機の全てじゃないと思うけど、渦中にちぎれた人
それなのになんだろう
細かい事は全部が夢みたいな気持ちでふわふわしている

どうやって生き延びられたんだろうね
殊更わたしは運が良いものでして

ただ、感謝をよりするようになった
生かされている、まだ大丈夫にしてくれている
そんな感じにしてくれてるのは人がいるから
娯楽はまず先に削られる上で
支えてくれていたのは間違いなく人
離れていくのも人、仕方ない
足りていないんだと思った
数字はいつだって正直で残酷

なくなる場所、きえていくひと
根本に立ち戻ってギターの伴奏と歌、
所謂弾き語りを出来るようになろうとしたとき
価値をつけてくれた人たち、本当に感謝をしてる
一人で出来た、はいよかった。
とはその時きっとなってない
数字に絶望した癖に救われてもいる

ラップやりたいって時にキャストに上げた
ただ嬉しそうに生きて、っていう曲は
結局最後の5行が全てだったりして
いや他にも要素は沢山あるから嘘だねそれはごめんね
でもすごくそういう気持ちがあった
ギリギリのギリギリでしたわ
って言うかあの辺のは全部が首の皮一枚のぎりぎり

底を見た分人を替えの利く弾みたいに扱う話だとか
人を侮るような発言が前以上に嫌になって
それでもまっすぐ嫌悪感が出る喉元を押さえて大人をする
大人をし続けると間違えたり淀みも増えて
今度は間違えないと心に強く入れ込んで前に出る
それは金の為だったのかな
総体的にはそうだけど、根底はそうじゃないな

たぶん出来た、生き延びられたのは
色んなもの、角度からの信奉心が試されて
それに向き合ったからな気がしたっす、いま

あと荷物が軽かったからかな、命も含めて全部
軽いから全く根拠もない所に全ツッパとかも出来た
今はもうしたくないしする気もないけど
結構無茶したんじゃないかなあ

なんとかなってよかったね
ばらっばらだったのをかためてくれる人も居てさ

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