sig
左手にロジック、右手にレトリック
切り出すアナロジーと刺すメタファー
嘘に本当を少量混ぜ込んで攪拌
それっぽさを少々
抽象化に抽象化を重ねて
大元から別のキメラを産む
喉笛が震えて音になり音程がつけられて声
言葉に変換されて
連続的に可変する
日常的に繰り返していると
ふと、日高屋あたりでラーメンを待ってる間なんかに
今どこの自分か確認をする羽目に遭う
デジタルで空洞みたいな味のスープをすする頃
「現在この階層」ってな回答が奥から戻ってきて
喉奥を通過する頃、五感がそれに関しての思考を止める
本音は常日頃最高のセキュリティが稼働しており
がっちり何段にもゲートがつけられ守られている
見に行くにも時間がかかる
部屋も何個もありダミーもあれば、
侵入者対策の無限回労もある
折角辿り付けた頃には自分自身
パスワードをロストしたりして
その間
言葉をひっくり返して繋げて間をくりぬいて
意味を展開した後に散らされていく
言いたい事のパーセンテージなんてもう測れない
最後に見た君はどんなだったのかもう怪しい
それが本当に君だったのかも怪しい
それでもパンくずみたいに軌跡が残る
ここに居るんですよ、という意思表示だけが小さく
繋がって奥の方まで続いている
メッセージ性なんてものがあったりなかったり
語感から選別され装飾した言葉が逆に深読みされると
全てをコントロールなんてやはり難しい
作り手は作り手、受け手は受け手の中で情景が定位される
結局見たもの、読んだもの感じたものがベースにあり
体の中にある残された機能を以て混ぜに混ぜたそれは
テリーヌみたいなのかもしれない
それならナイフの刃渡り、フォークの舌触りまで拘りたい
なんて話も全ては夢だったり
全てがフィルタリングされていたり
います、とだけ
簡素な言葉、重みを伴う言葉、
痛みを伴う言葉を受けたとして
何を信じて、どれを発するかは
その最深部の君が決めている筈なんだけど
もしかしたら拠点兵長みたいなのが居て
それらが段階的に戻す決めているのかも
だとしたら何処の階層の誰が
そもそも散歩型の君は真実を伝えるだろうか
擬態は年齢を重ねる度に複雑になっていく
無傷で居たい癖に傷をつけた程味が出るとされるそれ
実は何もいないのかもしれない