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arabesque

ビー玉がアホみたいな数を上からぶちまけて
白いフロアにきらきら

ころころころころ
水色や黄色、赤が閉じ込められたガラスの玉たち
打鍵で散らばる玉が細かく跳ねる
割れているのも光の反射で意義を為している
さわりたい
落ちてくる玉に手を伸ばしたら指がちぎれた

触れると壊れる
反射で手を引いたけど
壊れたなら仕方ない
手首位まで突っ込んでみた
手は何処かになくなった
夢を認識する

手が無くなった断面を覗き込む
かきこわれた所から見慣れた光景
漫画みたいに筋とか骨は見えなくて
ひたすら赤黒い湖みたいになっている

手首からこぼれた血がガラスにとろとろ
きたないけどガラスと血の相性はとてもきれい
塗り潰れない程度に色が滲む
音が重なったりくっついたり

突き抜いたタバコの自販機の透明なやつは
プラスチックでつまらなかった
濡れ方が雑なんだ
同じ工業製品なのにふしぎ

腕を掴んで飛び出た断面に何度も叩きつけた
わたしと同じ手にしたあのひとの顔
思い出せない、声も忘れた
本当にあった事なのかも曖昧
抜き取った偽物のタバコのモックアップ
何だったかな
夢だもんな、忘れた

工場の油とが染み込んだ水溜まりの虹色は
うっとりする気持ちになって
足でぐしゃぐしゃにしても虹が渦を巻く
雑なアスファルトはボコボコで黒い
そこに虹が溜まってきれい
どこかの道半ば、それも殆ど思い出せない

光の屈曲が好きなのかもしれない
バカラとかに憧れを持つのはどうなんだろう
溶けた氷が綺麗に見える
いつからだっけ、明確なラインなんてあったかな
今年の分も補完されたロックグラスは放射線を描いて
上にぱっと消えている、起点なんて忘れてしまった

でも注ぐのを楽しみにしている
注ぐ事だけは楽しみにしている
その後の事は忘れてしまう

意識が飛んで目が覚めた
引っ掻いてみた
血が滲んだ

ちゃんと痛かった
痛みがわかるのは幸せなこと

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