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モニターに黒点が動いてた
小さい蟻が一生懸命走っている
多分こいつはベンチでたばこ吸ってる間に連れてきた奴で
もう寒い秋が来るから頑張ってる、誰かのために本能で

ごめんね、君はきっと帰れない
ティッシュに包んで握る手に今から力を込める

こんな具合で
何となくどうでもいい理由で殺される
多分明日にはもう忘れている
先週食べたものが思い出せないのと変わらない位の重要度

安楽死の1分ちょっとの映像がまだ頭に残ってる
3つボタンのどれかで踏板が外れて執行される死刑囚
4つ目のレバーがあることを昨日知った
やっとの事での執行と書いていた事や、
終身刑の死刑囚が世に出て再犯で入りなおして結局殺される事
頭に残ったまま眠りについた

黒く汚れた残雪を踏みつけながら
空からふわふわと落ちてくる綿雪を眺めているのを見て
結晶がゆっくり手の中で溶けていく
冷たく感じないのは夢だから
次は軒先の剣みたいなつららが見たい

夢が生活に追いつくような事がたまにあって
追い付け追い越せ見たいな事も起きそうで起きないのがいい
運がいい、まだ夢に取り込まれてはいないみたい

小さい飲み屋街のバーで何となく顔を合わせる人たちが
ふっと来なくなって最近どうしてるんだろうね、みたいなの
ふらっと帰ってきてのおかえり何してたんみたいなの
よくある話過ぎるくらいよくある話なんだけど
こんなところでも起きたりしてるのはなんだかやっぱり
飲み屋だなぁっていう気持ちになったりもした

飲み屋にはちゃんと会計がある
笑顔には対価が必要だったんだよねと
極当たり前な事をこないだバーに立っていて思った
価値を付けてくれてありがとう

意義や理由、人
変わってしまうものも、変わらないものもある
潰した筈の蟻が別のところから出てきた
君は死んでなかったのか、別の奴だったのか
色んな変化がたのしい

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