厄
この世に生を受け、誰が言い出したか、生きている限り、厄年というものが存在する。
人生の節目に訪れると言われているけれど、周りの話を聞いている限りでは、ほとんど良いことが起きない。むしろ、悪いことしか聞かない。
調べてみると、厄年は人生を見つめ直すいい機会、なんてことを書いてある記事もいくつか出てくる。
ここで、私の姉の話になるけれど本厄の年に緊急入院して、さらに点滴の薬が合わず、死にかけた。
人生の節目として、見つめ直す前に死ぬところだった姉。
そんな姉の怖い話+周りの話しを聞いていたけれど
「気にしすぎなきゃ大丈夫っしょ💩」
となにもせずに迎えた前厄。
事実、特になにも起きなかった(細かい問題は色々あったかもしれないけど、よくあることの範疇かもしれないし気がつかなかったかも)。
しかし、年末。前厄の終わりが近づいてくると同時に段々、本厄に恐ろしさを覚えるようになる。
なにせ世は大コロナ時代。
ワクチン接種はしていたけれど、それもコロナにならないわけではなく、あくまで予防と聞いていたので、万が一コロナになったときのことを考えた&姉の本厄時の状況を再び思い出し、震え上がる(ここでネット上に流れている瀬戸内寂聴の、人は愚かなものです。特にお前、というネタ画像が頭に浮かんだ)。
ええい!!やらない善よりやる偽善(???)!
普段は掃除も洗濯も買い物ですら、だらっだらするくせに、この時ばかりは年が明けて早々に神社に電話して厄年いの予約を取り付ける私。
厄祓いは初めてのことだったので恥をかかぬよう、祈祷料の相場を調べ、大体五千円だということを学び、きちんとしたのし袋に入れて、神社に向かった。
そして宮司さんに挨拶をし、厄祓い前に祈祷料を頂くとのことで封筒を出しかける私。
事件はここで起きる。
宮司さん「えー、それではね、いくらにしましょうか。七千円からお預かりしておりますが」
私「えっ」
宮司さん「……金額によって祈祷内容が変わるわけではないのでね。おいくらでもいいですよ」
宮司さんは恐らく、多分、絶対、私の反応を見て
こやつ、金を持っていないな?
と察し、気遣いの末に言ってくれたのであろうと思うけれども。けれども、宮司さん的に
「七千円でもいいですよ」
という意味で言ってくれたに過ぎず、まさか七千円を下回る金額が私の手にあるとは思ってもいないだろう。
そのときの私の財布には一万円が入っていた。
祈祷料とはなにも関係のない一万円。
なんなら、厄祓い終わったらスタバでも行っちまいますか!ガハハハハ!!と遊ぶためだけに入れていた一万円。
私と宮司さんの間に妙な沈黙が流れた。
出しかけたのし袋はちょっとカバンから見えている。
(スタバ飲みたい。遊びたい。服買いたい。色々な欲が次から次へと浮かぶ。)
でもよぉ!シャンクス!厄祓いてえ!!!
私「……一万円でお願いします!!!」
そもそも、神様に厄から守ってもらうという大変な役割を五千円でお願いしようとしたくせに、それよりも自分の欲を優先しようとするなんてなんと図々しくも浅ましい女なのか。
心を入れ替え、五千円の入ったのし袋は握り潰し、剥き出しの、礼儀もクソもない、ありのままの札を出す私。
宮司さん「お釣りいりますか?」
私「えっ」
宮司さん「お釣り、渡せますよ」
私「えっ」
(…………七千円出したとして三千円のお釣り。三千円あればスタバ行ける。服は買えなくとも本は買える。なんだったら回転寿司くらいは行ける。大トロ頼んじゃったり。茶じゃなくてドリンク頼めちゃうんじゃないの)
私「……いえ、一万円でお願いします」
このとき、私は私のことを漢だと思った。
というのは冗談で、厄祓いしてもらうのに、動揺を見せているのに、一万円を出しているのに、己の欲を前にしながら神様相手に
「ちょっと高いからまけてくれない?」
と言い出す勇気がなかった。
でも、一万円を出しただけあって厄祓い後に貰った厄祓いグッズがめちゃくちゃ豪華だった。
・御札(すんげーデカイ)
・矢みたいなもの
・ストラップお守り
・厄祓いシール(!?)
個人的には、スマホに貼り、たまに撫でると厄祓いになると言われたシールが一番驚いた。
厄除けも、現代化している。
※ちなみにストラップのお守りは身につけていましたがある日急にブチッと紐が切れました。
とにもかくにも厄祓いしてもらったので、これで厄とはおさらばえ……(仁のときの中谷美紀のように)とウキウキで過ごす一年。
4月末〜5月 次男、私コロナ感染
5月〜 肋間神経痛&難聴レベルで耳が聞こえ
なくなる。
6月 次男、とびひらしきものが全身にとんでもないことになり包帯だらけ
7月 次男、蜂窩織炎で入院
8月 長男、中耳炎&ひょう疽
次男、結膜炎、手足口病
9月 なんとか無事に過ごす
10月 次男、外耳炎&耳垂れ、手首骨折、喘息発作
11月 長男、結膜炎、ブランコから落下して頭と腰を打って次の日歩けなくなる
12月 旦那コロナ感染
長男、股関節炎で早朝からまたしても歩けなくなる
と、ほとんど毎月病院通いをした一年になりました。
姉からは厄祓いしたからこの程度で済んだんじゃない(^0^)?って言われたけれども仕事をしている身としては本当に辛かった……。
遅刻、早退、休み、毎月の如くで、症状も今は良くなっているけど、そのときはひどくて、さすがに職場の人達からももう一度厄祓いした方がいいと言われたレベル。
…………しなかった。
一万円も出した、お釣りも貰わなかった。もう少し厄払ってくれても……って思った(ストラップお守りちぎれたし)。
そして、お気づきかと思いますが私自身にはほとんど厄がきていないのである。
厄年は本人がなんともなければ家族にふりかかると聞いたことがある。
そう、我が家の場合は断トツで次男にふりかかった。
保育園の年長さんであり、その年は思い出作りに色々イベントがあったのに蜂窩織炎で入院し、お泊まり保育には参加できず、こどもの国に遊びに行くイベントのときには手首骨折をして、はしゃぎきれず。
姉の周りでも本厄のご家族が事故って首を痛めていたり、骨を折ったりしていると聞いたので、厄年の人は気をつけてくださいね。
厄祓いの費用も、聞いていた相場と違ったりするので、いくつかのし袋用意して備えてくださいね。いらん葛藤と戦うことになります。
もしかすると私は欲深さや一万円を出し惜しんだのがバレていたのかもしれない。
さて、今年は後厄です。
本厄ほどなにか起きることはないと思いますので今度こそのんびりとした一年を過ごしたいと思います。
昨日、次男手首骨折しました。