小5で出会い系に迷い込んだ話
突然ですが、私はよく人から記憶力が良いと言われます。
羨ましがられることが多いですが、一長一短だなと感じています。
楽しかった思い出が記憶に残るのは得ですが、
友達に仲間はずれにされた過去を覚えているのは辛いです。
逆に、友達に言ってしまった酷い言葉も覚えています。
たまに心に浮かんできて、申し訳ない気持ちになります。
こんな風にいろいろなことを覚えているので、
小学生の頃にスキー場で仲良くなった3兄弟や
幼稚園の時に引っ越してしまった友達など、
絶対に自分のことは忘れているだろうなという人のことも覚えています。
普段は覚えていなくても、ある日突然頭に浮かんできて
「今頃どこで何してるんだろう」と思うことがあります。
小5の時に出会い系サイトで繋がってしまった、顔も知らないYさんも例外ではありません。
うっかり出会い系に迷い込んだ
私が小5で携帯電話を手に入れたときは
まだキッズケータイもない時代で、フィルタリングもありませんでした。
着メロをたくさん取りたくて、
会員登録すると着メロが無料で取れるサイトを見つけては片っ端から登録していました。
その中で私はいつの間にか出会い系サイトに登録してしまっていたのです。
無事にたくさんの着メロを手に入れた私に1通のメッセージが届きました。
「Yです。よろしくね。何才?」
こんな感じのメッセージだったと思います。
律儀に本当の年齢を答えると、Yさんはびっくりしつつも
そこが出会い系サイトだということ、
変な人もいるから気を付けたほうがいいことを教えてくれました。
慌てて出会い系は退会しましたが、それまでのやりとりでアドレスも交換していてメル友になりました。
Yさんは20才のバンドマンで、
バンドのオリジナル曲の着メロを送ってくれました。
自分の知らないオトナの世界を教えてくれる「お兄ちゃん」のような存在でした。
Yさんも私の学校生活の話を聞いてくれました。
自然と疎遠になりましたが1年ぐらいは連絡を取っていたと思います。
「普通」のやりとりは普通ではない
私が中学生になった頃、近所で知らない男性に電話番号を聞かれたことがあります。
また会う可能性が高く、断るのが怖くて番号を教えてしまいました。
はじめは当たり障りのない会話でしたが、だんだん卑猥な言葉を送ってくるようになりました。
嫌がる私の反応を楽しんでいるようでした。
不覚にもまた新しくオトナの世界を知ってしまった私は、
「普通」に接してくれていたYさんとのやりとりは普通ではないのかもしれない
と気付きました。
SNSが普及し、子どもが携帯を持つのが当たり前になった今、
SNSがきっかけで子どもが巻き込まれる事件が増えています。
Yさんがロリコンではなかっただけでしょうが、
出会い系サイトに迷い込んだ小学生に注意喚起をし、
小学生とフラットに会話をしてくれた。
大人になればなるほど、そんな人はいないと分かるようになりました。
コロナ禍の今思うこと
Yさんに会ったこともなければ恋をしたわけでもないのに、
なぜか今どこで何をしているか気になってしまう。
子どもの話に付き合ってくれたYさんと、
今ならお酒でも飲みながらオトナな会話ができるのかもしれない。
Yさんも30代後半。きっと家族がいるのかな、なんて思ったりします。
もしかしたら、自分自身が成長して世界が広がった今、
都会のど真ん中ですれ違ったことがあるかもしれません。
SNSで簡単に友達の近況がわかる今、
連絡手段がない相手ほど気になってしまうのかも。
ふとした瞬間に思い出す「あの人たち」は、
人類共通のコロナ禍に、どこでどんな風に向き合っているのかな。