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日々よしなしごと~ミツコさんのこと~

ミツコさんというのは、最近読んだ「74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる」(すばる舎)という本の著者で牧師をされている方。

題名通り、執筆時は74歳で5年前に同じ牧師だった夫を亡くし、娘が4人いてそれぞれ独立し家庭を持ち、自分は公営住宅に一人暮らしだそう。

なぜこの本を手に取ったかと言えばズバリ!そのタイトルに驚き、さらに帯には『年金7万円の暮らしでこんなに明るいひとり老後』とくれば、同じ年金暮らしの方なら目が行きます。
何年か前に友人たちとベーシックインカムについて勉強会をしていたことがあった。日本でもしベーシックインカムを導入すると月7万円程度ということを聞いたこともあり、実際に7万円での暮らしはどうなるのかと、より関心をもった。

私はまだ60代で夫もいる。夫はパートだけど元気に働き、多くはないが給料もある。それでも70代になれば実質年金暮らしも目の前のこと。

ミツコさんは、牧師の家に8人兄弟の5番目として生まれた。教会で育ち夫も同じ牧師で、子育て中は夫のサポートをしながら教会の活動をしていたが、子育ても一段落した54歳で牧師になった。

プロテスタントの教会の仕事や牧師としての様々な対外的なボランティア活動、教会員との交流や妻や母としてのこれまでのこと、基本的に常に収入はとても少なく質素な暮らしだったことも詳しく書かれてる。

年金7万円(年金は2か月に一度給付され14万円なので月7万円の予算という意味)で一人暮らしと言って、自分の今の生活を比較しても地方でさえかなり厳しいイメージ。

7万円の月々の支出割合は、家賃6000円、社会保険料等4000円、水道光熱費6000円、通信費10000円、食費その他40000円だという。通信費の割合が高いのは、高齢の方や遠くて来れない教会員に連絡したり、様々な相談事に乗ったりして欠かせない必要経費ということらしい。教会や娘家族との食事会も頻繁にやっていて料理は自分が担当している。小遣いのような自由に使えるお金の余裕はなさそうだ。

ミツコさんは、シルバー人材センターの仕事で子育て中家族の家の掃除や食事作りを週3回やっている。これは、年金だけではできない自分の楽しみのための収入を得るためかと思うとさにあらず。教会への献金のためで、これは欠かせないものでそのために働いている。

つまり、一般的な70代マダムたちの習い事や、観劇や旅行や食事などの友人との楽しいイベントは一切ない。いや、イベントがないわけではなく、教会の夏にあるリクレーションなどはあり、子供たちと一緒に行くのが楽しみで、そのために自分も走ったり登ったりできるように身体を日頃から少しずつ鍛えているという。

さらに収入も少ないので蓄えもないし保険にも入っていない。だから病気にならないように自分なりの身体のメンテナンスも欠かせないし、父から教えられた病気にならない食事の仕方を忠実に実行している。とはいえ蓄えや保険に入っていないというは私たちには大きな不安だと思えるのだけど・・・

銀座には年に一度、教文館にクリスマスカードを買いに行くのが楽しみで、ついでにあちこち買い物…じゃなく、いろんな道を歩いて新しい発見をするのが面白いという。私ならきっとどこかシャレたカフェでお茶するのが楽しみ・・になりそう・・・

なんだかすごくストイックな生活に思えるけど、実際はとても自然体で肩の力が抜けたシンプルで潔い生き方をしていると思う。

ミツコさんがこんな風に爽やかに質素な暮らしができるのも、何かあると神様に祈る、神様に話しを聞いてもらうととても気持ちが穏やかになるという信仰の力なのかも。 一方で子供たちとの関係といえば、仲は良いけど親子であっても互いにもたれ合うことのない自立した関係で、これらは信仰による強さなのかもしれない。

ミツコさんの人生を大きく包む信仰という光。何の迷いもなくひたすらに信じ委ねられるものがあるってすごいなと素直に思う。だからと言ってすぐに教会に行こう!とはならないけど。自分の中に神様(のようなもの)を持つことは大事なのかもししれない。

一番共感できたのは、いくつになっても「仕事」があって毎日出かけるところがあるのがうれしいということ。ボランティアとして介護施設の訪問や高齢の教会員の訪問やシルバー人材センタ―の仕事。これらの仕事にもしっかり向き合って楽しむのもミツコさん流。私もいくつになっても可能な限り働いていたいと思う。

このコロナ禍では、どうしているのかな?ミツコさん。どうか無事に乗り越えて行って欲しいと思う。

そうそう、ミツコさんと私の共通の大好きなものは昼寝!ミツコさんは、しっかりお布団で寝る派。私はソファでせいぜい30分。この昼寝がささやかな暮らしのエネルギー補給の時間なのよね。

ミツコさん、今日もいいお昼寝の時間を!

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