日々よしなしごと~小さな山歩き~
当店は、火曜日と水曜日が定休日。このところ定休日に好天になる日が続いて、2週続けて水曜日の午前中は近くの小さな山を夫と歩いた。
当地は海も山も車で行けば30分もあれば行ける自然に恵まれた土地。とはいえ、そんなにアウトドア派でもないので、めったに山歩きなどはしなかったが、あるきっかけから時々往復1時間程度で行ける小さな山歩きをしている。しかし、ここ最近はコロナの影響もあって❓足が遠のいていた。
好天に誘われ、重い腰を上げて出かけたが正直体力的に自信がなかった。登りは少し息が上がって何度も休みながらだったが、なんとか頂上にたどり着いた(情けない・・)。尖山と言われる小さな山の頂上は、7~8人もいれば「密」になってしまうようなところだけど、360度のパノラマで達成感と気持ちよさで、疲れも一気に吹き飛んだ。先に到着の方から『はい。今日のおやつ」と言っていただいたおせんべいも格別の味わい。こういうのいいな、今度は私も持ってきて皆さんにお分けしよう!なんて思ったり。
下りは膝もそんなにガクガクすることもなく、快調に降りてくることができた。往復1時間くらいで登れる山はピクニック気分で行けるのがいい(なんて生意気だよね)
さて、ちょうどお昼近くになるので、ここから車で少し行ったところにある日帰り温泉の施設へ。トロッとしたお湯で疲れを癒した後は、食堂で持ってきたおにぎりとラーメンで簡単な昼食。ここは畳の大きな部屋の休憩室で、近隣の老夫婦が昼寝なんかもしている。この緩さが田舎のこういう施設の魅力なんだよな。TVのお昼の番組をゴロンと横になって見ながら、つい私たちも昼寝タイム。
野菜なども売っているので地元の柿なども買って帰宅。今日は認知症で施設に預かってもらっている母が帰宅する日。身も心リフレッシュして迎えらるね。
前回の気持ちよさに味をしめた私たちは、次の週も好天に誘われて、別のさらに丘のような山に行くことにした。昔の小さな城址に続く道は、整備され階段になっているので山登りとは言えない散歩コース。
それでも、途中の幻の滝に行く道は急坂の細い階段を降りて行き、帰りはそこを登って戻るしかなく、これが結構キツイ。くねくねの細い坂を下りた先に思いがけなく広くなったところは、周りを崖と竹林に囲まれた小さな滝が2本ある。ひとつは水が枯れ、ひとつは岩を静かに水が伝って落ちる可愛い滝。時間が止まったみたいな、不思議な異空間のような場所だった。
やっと車のところに戻り、近くの丘の上のレストランへ。見晴らしが良く、海も見えるここは昔はよく来たお店。今も同じオーナーがやっているのはうれしいこと。このお店の定番の手作り厚切りベーコンの一皿をペロッと食べてしまった。やっぱり一汗かいた後の食事は、体に自然に吸収される感じ。
今日も、母が帰宅し一泊していく日。若干筋肉痛がないでもないけど、また心身共にリフレッシュされたようで、気持ちに余裕ができた気がする。
私たちにこんな小さな山歩きの楽しさを教えてくれたのは、ご近所のHさん。奥様を失くしてひとり暮らしになったことで、もう一人の近所の独身兄さんと一緒に我が家で時々食事会をするようになった。その時に登山がお好きで一人で毎週のように山に出かけて登り、写真も撮っていたと聞いた。その後何度か気軽に行ける山歩きに連れて行ってもらった。ところが昨年不慮の事故で入院され、とうとう今年の2月に亡くなった。
ささやかな私たちの山歩きも、こんなきっかけがなければすることもなかったかもしれない。今回もHさんと行った山のことを話しながら歩いた。
縁とはつくづく不思議なものだと思う。今年もあと何度行けるか分からないけど、午前中に行って帰れる身近な小さな山歩きは、Hさんを思い出しながら、ふうふう言いながらも気持ちの良い汗を流せる、至福の時間かもしれない。Hさん、ありがとう!