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むかしばなし

私は小学低学年のときに母親に引き取られ、
父とは別居することになった。

そのため転校することになったのですが、
何故か父が私の担任と会う約束をしていた。

全く面識はなかったのに転校するにあたり、
担任が私の成長を危惧しておせっかいにも
私の父を呼び出したのではないかと思う。

しかし父が先生との約束を無視し、
時間になっても来なかった。

夕方に担任から私の母に怒りの電話が
あったらしい。

母は、(娘の父親は)そういう人なんです、
と私の担任に言ったのだけど、
担任の怒りはおさまらなかったのかもしれない。

その先生は、後日体育できない子は頭が悪いと私の母に向かって言った。

学校で生徒にも父兄にも人気があった先生だったから、私の父にバックれられたことにかなり腹が立ったんだと思う。

私が人より動きが遅かったり、怖がりだった。
先生から見て自分の身体を信頼しない、動けない子供に、そう言いたい気持ちもわかるけれど、私の父が先生の信頼を裏切った腹いせだったのではないかと思う。

わたしはその後も先生たちに貶されるからうまく出来ないし、家では母には女の子はじっとしてろと言われ、跳び箱も鉄棒も水泳も全くできないまま大人になった。

母は常に私になんでも打ち明けた。
良いことも悪いことも大人の事情も洗いざらい聞いていた。子供同士で遊ぶより大人の事情ばかり聞いている小学生だった。

私は無邪気な子供らしい反応ってよくわからない。子供らしく振る舞うのも疲れるし、大人の話を聞くのもつまらない。

大人になればそんな環境から逃れられる。
一人になれる。
つまらない愚痴を聞かなくて済む。
私には子供より大人の方が楽そうに思えた。

今は誰も私をジャッジしないし、
私は単なる中年であり、
親でもないから
学生とのかかわりもない、
学校にも属さない。

気持ちはいつも自由。
仕事もいつ辞めてもいいポジション。
心と身体を私のためだけに使える。
好きなように過ごすことができるという意識。

そしていまは、誰からなんと言われようと私の身体は私のものだという自覚がうまれ、
体を動かすのこと自体、愉しみを見出しています。

ある日、書店に行ったらエッセイストの益田ミリさんがいらしていました。
好きなセリフありますか?と聞かれてこちらを書いてもらった。

大人になってから、ふと頑張っている子供を見かけた時に、あなたも大人になったら楽になるよっていうセリフ。

かつて子供だった大人が元気になれる言葉だと思います。

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