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ピアノの先生

前回、ちいかわとハチワレにおける
憧れの師匠はラッコ先生だと書きました。

週末「ヤクザときどきピアノ」
という本を読みました。
数日前にピラティスの先生が
とても良い本だとSNSで紹介していたのです。

その先生からボディーセラピーを受けた日
再度とても良い本だと言われて、
気になって仕方がなかったので
その足で近くの書店に立ち寄りました。
そして一気に読み終えました。

ヤクザ関係のライターを生業とする
52歳の中年男性が
ABBAのダンシンググイーンを
弾きたいという強い思いだけで
自分にピッタリ合うピアノの先生を探し、
その先生の教えのまま忠実に練習をこなす。
通常業務(暴力団関係のライター業)
をこなしながら、
ピアノ練習の日々。

この先生と生徒の間には常に礼節があり
先生は生徒に合った適切な指導を行い、
52歳の生徒が純粋に成長していくさまは
感動的でとても素敵な師弟関係の物語なのです。

私は「ベスト・キッド」を見終えた時のような
気持になりました。
ダニエルと空手の達人
ミスター・ミヤギの師弟関係のような。
絵的には全然違うと思いますが。

wikiによれば
「礼節」は「礼儀に対し、節度が加えられていること」。
「節度」には「度を越さない」「ほどほど」
といった意味があります。
つまり、「礼節」とは「状況や相手に応じて、
程よい礼儀を示すこと」
を表しているのです。
そのために必要なものこそが
相手に対する敬意や慎みの心。
と書かれています。

三島由紀夫が生前、
横尾忠則にあなたは礼節がないと
説教をしたように
礼節って人間関係において、
とくに先生と生徒という関係においては
とても大切なことなのだと思います。

さて、話はその物語に戻ります。

彼がピアノの鍵盤に指を触れるところから
どんどん弾けるようになって
変化していく様子は
読んでいる側にまで嬉しさが
伝わってきてきます。
先生との会話のやり取りも絶妙で
読み進めていくうちに
何度も感動が起きるのです。

彼は自分の中に沸き起こる
情熱を無視するわけにはいかない。
先生は、練習すれば弾けない曲などない
とハッキリ言う。
彼は心の底からこんな素晴らしい先生を
求めていたのだ。

どうしても叶えたい願いが花開く時、
今後の自分の人生をどんな風に願うだろう。

老いを少しずつ感じる今の身体で
今日一日頑張らなければと思う。
どれだけ努力できたか
後悔しないためにもサボるわけにはいかない。

理想の先生とは、
生徒に対し堂々としていて、
生徒には大切なことを伝え、
不要なことは言わない。
生徒に考えさせ、行動させる。
生徒のモチベーションを
保てるよう時には役者になる。
生徒が高齢でであればあるほど、
この先生に残りの人生を賭けてもいい、
と信じたくなるような人。

一番重要なことは初心を忘れず、
常に勉強しておくこと。
わからなくても、わかったふりをしないこと。

この本を読み終えて
私達も良い先生をみつけたら、
できるだけ早く学ぶしかないと思いました。

決断することに時間がかかったり、
先延ばしにするなら
そもそもそのやりたいと話している
その対象自体に自分自身、
あまり興味がないのかもしれません。

学ぶ者(生徒側から)の心構えとしては
深く悩んだ時は早く答えをだして、
やるのか・やらないのかという
決断を早めることが大事です。
自分と向き合う努力しか答えは出ないからです。

教え方が適切な師匠であれば
生徒は先生の教えに真剣に向き合える。

生徒が真剣であるほど、
師匠はその熱意を冷めさせることなく
生徒が望むところまで先生が
連れて行ってくれるイメージ。

この本は理想の師弟関係、
清々しい心地よさがあり、
おとなになってもこんな気持に
なれることがあるのか。
何かを学びたいと思う時に
ぜひ手に取ってほしい本だと思いました。


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