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ルーツから知る『ピーコート』

昨今、ピーコートの需要が段々となくなっている傾向にあります。
理由としては様々で、「学生感が強い」「流行りでない」「ダサい」などなど。まあここ数年評価が下がり傾向でも、いつかリバイバルで需要が高まる可能性は大いにありますし、実際は毎シーズン色んなブランドから新作ピーコートは販売されていますので、一切の需要がなくなったというわけではないのです。
ピーコート自体にオシャレ感が見出せない、との理由でロングコート、オーバーサイズばかり着てしまうのも何とも味気ないもの。ということで

【ピーコートとはそもそもなんぞや】

故きを温ねて新しきを知る。
この言葉が当てはまるかどうかは分かりませんが、ほんの少しその服の持つ意味や成り立ちを知ればピーコートに愛着が湧くかも?
暇つぶし程度にご一読いただければ幸いです。


さて、そもそもピーコートとはイギリス海軍が艦上用の軍服として採用したのが後に注目され、一般化したモノです。
その名はオランダ語の「pij jekker/ピーヤッカ」(厚手の毛織物ジャケット)に由来します。

海上運航中、船員達は皆艦内にいるわけではありません。風の強い寒い日、甲板に立って見張りをする際に服の隙間から冷たい風が入ってきてしまいます。
それを防ぐために、風向きによって左右の上前を変えることができるピーコートが重宝されたのです。
腰までの少し中途半端?とも思える丈感も、作業性を考慮しているから、としっかりとした理由があります。

また、胸部から腹部の間の高い位置に施されたポケット。これはマフポケットといい手を温めるために作られたポケットですが、軍人らしく堂々と胸を張る姿勢を崩さんとするためにあえてあの位置に設置されていると言われています。ちょっとしたロマンを感じますよね。

上に挙げた通り、日本では学生が制服の上に着る印象が強いために学生の服というイメージがついてしまいがちですが、左右どちらを前に合わせても着られるという点で男女問わず着用できる理にかなった洋服なのです。

最近では片方の合わせしかできなかったり、ポケットの位置が斜めに低く作られていたり、元々の設計や意味が失われたものがたくさん見受けられますが、現代の用途に合わせた必要な変化なのかもしれませんね。
(それでもピーコート「もどき」と思ってしまうのは自分の傲慢かな?)

他にも手袋をつけたまま開け閉めができるようにデザインされた大きなボタンや、セーラーの上から着れるように設計された少し大きめのサイズ感など、一つ一つを紐解いてみると普段何気なく着てる洋服にもこんな意味があったんだと、少し楽しくなれますよね。

「あれ、お前男なのに右前で合わせてるじゃん!ダセー!」なんて言われた日には、ピーコートの持つ意味を話して「へへんっ!」と鼻を明かしてやりましょう。

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