ぱれっと通信#3
1989年4月18日のぱれっと通信は、絵本作家のモーリス・センダックを取り上げています。
紙面によると、センダックの作品17冊を見比べていますね。
彼の絵は独特で、「あまり好きなタイプの絵じゃないな」と思った方もいるようですが、こどもたちには大好評。
やはり『かいじゅうたちのいるところ』神宮輝夫/訳 冨山房 (1975年発刊)
は今も昔も子どもたちの心をとらえてはなさないようです。
アメリカ生まれのセンダック。その絵はなんとなく、アメリカらしさ(これは筆者の主観ですが)が感じられないなぁと思っていたら、彼の両親はポーランドから移住してきたユダヤ系移民だったんですね。
「病弱で友だちの少ない子ども時代を送る」とあります。
第二次世界大戦勃発時には多感な13歳。アメリカに住んでいたとはいえ、様々な苦難を強いられていたのではと推測。
どこか影のようなものを物語の中に感じるのは、私の穿った見方なんでしょうかね…。
同じくセンダックの代表作として取り上げられる
『まよなかのだいどころ』 じんぐうてるお訳 冨山房
は、「”朝のケーキ”っていうのがわかりにくいのかな」とあるように、こどもたちは「みんなふう~んといった顔つき」だったよう。でも「妙に存在感がある」という感想には同感!
『かいじゅうたちのいるところ』を機にセンダックの作風は変化していったようですが、それ以前の『うちがいっけんあったとさ』
Rクラウス 文 モーリス・センダック絵 わたなべしげお訳 岩波書店
などの挿絵が好きだという感想もありますね。確かに単純で可愛い!
無気味さすら感じる後期の作風とつい比べてしまって「センダックの自作本はエンデ(ミヒャエル・エンデ)の本に似ている。もっと肩の力を抜いて気楽に描いたらいいのにな、と考えてしまう」のもなるほどなぁと頷けます。