剣豪、フリーランス武士「宮本武蔵」が後世に伝えたかった生きざま ⑯
地の巻、詳細を読み解く
「武蔵の兵法九つの原則」
以下の九つの原理原則を心がけて
人の道を鍛錬しなければならない。
広く大局を見ることなくしては
人生の達人となることは
できないからだ。
常にこの原理を心がけて
ひたすらに励ならば
まず、現象面で人にまさり
物を見る目においても
人にまさる。
また、鍛錬によって全身が
意のままに動かせるようになれば
肉体的に人にまさり
さらに心の鍛錬をつむならば
精神も人にまさるようになる。
ここまでくれば
どんなことがあっても
人に劣ることはない。
また、広義の生き方としては
すぐれた人と結びつくことに成功し
多くの部下をたくみに使い
わが身を正しく持し
国を治め
民を養い
天下の秩序を保つ
ことができるのである。
何の道であろうと
人に劣らぬ自信がつき
自分の身を助け
名誉をあげることこそが
人の道であるといっている。
’’鍛錬九つの原則’’
第一に、邪心をもたぬこと。
(純粋な求道心をもって、鍛錬に励む)
第二に、道は観念でなく実践によって鍛える。
(理論ではなく、実践の感覚と体でおぼえる)
第三に、一芸でなく、広く多芸に触れること。
(舞踊や音楽、絵画、建築、料理などいろんな芸に触れる)
第四に、自分の仕事だけでなく、広く多くの仕事の道を知ること。
(世の中の様々な仕事の道、内容を知る)
第五に、合理的に物事の利害と損得を知ること。
(物事を多面的に見る目を養い、関係性を読む)
第六に、あらゆることについて直感的判断力を養う。
(現状を見わたし、正しい判断力を養う)
第七に、現象面に現れない本質を感知すること。
(表面的なできごとにとらわれずに、ものごとの本質を見抜く)
第八に、わずかな現象も注意をおこたらぬこと。
(小さなできごとも、思わぬ結果をまねくことがあるから注意する)
第九に、役に立たない無駄なことはしないこと。
(エネルギーや時間には限りがあるのだから有効に使う)
武蔵は、自分の生き方、道によって
安定した平和で幸福な世の中をつくることを
目指していたのでした。
参考、引用「五輪書」神子侃訳 徳間書店