【園長ブログ】卒園後の進路と英語能力の維持について

保護者様との会話の中でよく話題になるのが、卒園後の進路と、英語の維持について、というトピックです。

朝から夕方まで英語が沢山話されているパルクルの園の環境で生活している状態から、そうでない環境に行くとどうなるのか。
今回はそのあたりをまとめてみたいと思います。

どういう小学校に行くのがよいのか

これについては、園の方針としては
「ご家庭の方針にお任せする」
というところがまず第一優先です。

選択肢としては
① インターナショナルスクール
② 英語に力を入れている私立の小学校
③ 地元の公立の小学校

という分かれ道になると思いますが、それぞれにメリット、デメリットがあるのは明らかで、進路を決めるにあたっては各ご家庭が何を重要視するか、ということに尽きます。


考える要素を「英語」ということのみに絞っていうと、上に書いた①②③の順番で、①が理想的、②がその次、③が一番理想的ではない、という順序になります。

子供であれ大人であれ、英語に限らず、ピアノやギターなどの楽器のおけいこ、その他色々な習い事やスキルを維持するには、

それを使う・実践する頻度がどれくらいあるか

ということが、そのスキルの維持の成功不成功に大きく関わってきます。となると、授業が英語で行われ、先生やクラスメートとも英語で話をする環境が続くインターナショナルスクールに行くことが、英語を維持するということでいうとベストの環境です。

ただ、費用面、通学、カリキュラム、そして中学校以降の進路がいわゆる「一般的なルート」から離れていってしまう可能性が高いこと、保護者様と本人がどのように考えるかというところは、各家庭のお考えやご事情による、ということでしかありません。

私の個人的な体験を言うと、私は高校は上でいう「一般的なルート」であろう、当時は総合選抜制であった家の近くの公立高校でしたが、大学からアメリカの大学に留学しました。そこで「一般的なルート」からは離れたかと思いますが、その判断に対する後悔は全くありません。

ただそれもケースバイケース、個々の好みや適性もあると思いますので、必ずしも「一般的なルート」を離れることが良いわけでもありませんし、また裏を返せば、必ずしも大学の卒業まで「一般的なルート」の枠内にいることが良いかというと一概には言えないはずです。


話を小学校選びに戻すと、②の私立の小学校ついても①と同様に、各学校の特色や通学条件をどのように好むか好まないか、というところに尽きるでしょう。

ただ、②の場合も①程ではないにしろ、③を選ぶよりも英語力の維持をしやすい環境にいけることはあると思います。ただ現状では、英語に力を入れるというベクトルも各学校に依って千差万別であると思いますので、全ても私立小学校をひとくくりにして考えるのは危険であるといことはお断りしておきます。

公立小学校に行くにあたって英語の維持をどうすればよいか

続いて、③の公立の小学校という、英語力の維持という面では一番理想的ではない進路を選ぶ場合にどう英語の勉強を続ければよいか、という話です。

上にも書いたように、英語力の維持に一番大事なのは、英語を使う頻度です。使うということは勉強するということも含みます。

英語を使う頻度が高ければ高い程、維持はしやすくなりますし、

その頻度が少なければ、維持は難しくなってきます。

英語を使う頻度を増やすには

英語を使う頻度を増やそうと考える場合、まず第一に思いつくのは、何らかの教室に通うということです。

その教室で学ぶ時間、家で宿題をする時間の質と量がよければよいほど、維持はしやすくなるでしょう。さらに発展させていくことも可能です。

最近は、昔からある学習教室や英会話教室などに加えて、ダンスやその他のアクティビティと英語を組み合わせた教室や、よりアカデミックに英語を勉強できるようなところなど、色々な選択肢があります。

パルクルでも、英語環境で学んだ卒園生のためにClub Fortisサタデースクールを設け、四技能を満遍なく維持・発展させるための機会をご提供しています。

それらを選んだり、組み合わせたり、と様々な選択肢があることは保護者様にとって逆に悩ましいところでもあるとは思いますが、選択肢が多いことは基本的には良いことです。

教室に通うだけで十分なのか

では、子供本人やご家庭の状況に合う教室を見つけ、通いさえすれば十分なのでしょうか。

残念ながら、そうでない場合が多いです。1週間に1時間、多くて3~5時間、英語に触れたり英語を学んだりするだけでは十分ではないでしょう。

Club Fortisサタデースクールにおいても通っていただくだけで何の心配も要りません、ということはなかなか申し上げられないのが現状です。

小学校に上がるまでは、朝から夕方まで週に5日英語に囲まれて過ごしていた場合、その時間数は週30時間を超えます。逆に、小学校にあがり教室に週に複数回通ったりした場合でも週に5時間を超えることは難しいでしょう。その時間数の差はやはり大きく存在します。

また小学校に上がると、「国語」として日本語の勉強が学校で本格的にはじまります。また、友達との交流、インターネットやテレビ、ゲームなど生活の中で遊びや娯楽を楽しむ中でも、使う日本語の語彙も増え、日本語を使ってより広い世界とコミュニケーションをとる楽しみも覚えていくでしょうから、子供の興味や頭の中の優先順位として日本語がより大きな領域を占めることはごくごく自然な流れです。そして、それはそれで奨励されるべきことです。

ですが、小学校にあがり日本語による世界がどんどん楽しく広がっていくことは、英語力を維持するということにとっては、新たなハードルでもあります。

保護者様による環境づくりの大切さ

では、教室やオンラインレッスンなどを利用し英語を学び続ける以外に、何が必要なのでしょうか。

中学校、高校と子供が大きくなり色々なことを自分一人でできるように自立していけば話は別ですが、小学校低学年から高学年にかけて一番大切なのは、

保護者様による環境づくり

です。

一つ一つ例を挙げていきます。

① 英語を実際に使って話をする環境をつくる

やはり何よりも勝るのは、実際に英語を使って生活をする環境です。
・海外留学
・海外旅行
・外国人留学生ホームステイ等の受け入れ
・国際交流コミュニティやイベントなどへの参加
・英語で話をするお友達をつくる

新型コロナなどの時事的問題は度外視し、また金銭的にもなかなか簡単にはできないことを承知で、敢えて機会の一つとして書きましたが、やはり一番の体験は実際のその場所に行くこと、そこにより長く身を置くことです。

ただそれは現実的な解決策ではありません。3つ目の外国人留学生の受け入れなどもそう簡単にできることではありませんが、可能であれば非常に有意義な時間になるはずです。

逆に下の2つは保護者様のアイデアや心がけ次第ではそう難しいことではありません。

試しにインターネットで

「国際交流イベント 子ども」

と検索してみてください。自治体などが絡み無料で参加できるようなものから、スクールのPR的要素の強いイベントまで色々な情報が手に入るはずです。検索ワードを変えればさらに得られる情報は広がります。

少し敷居が高いと感じるかもしれませんが、いざ行ってみると必ずしも難しい物ばかりでもなく、家族の休日の過ごし方として楽しめるようなものもあるはずです。

そのイベントひとつひとつは一過性のものであっても、そこで少し勇気を出して参加者の方に話しかけたりしてみると、色々なご縁がはじまり、継続的に子供同士・親同士お友達になれるような関係に出会えることもあると思います。そうなると、そこからさらに縁も広がり、英語を継続的に使うような機会も沢山持てることでしょう。

そもそも、英語で色々な方々とコミュニケーションをとれるようになるために英語を学べる園に通わせていただいてきたはずです。

必ずしもすぐに運の良い出会いがあるとは限りませんが、ぜひ積極的に一歩踏み出して、世界を広げて、英語を使う生活を楽しんでもらいたいと思います。

② 日頃の生活の娯楽に英語を取り入れる

  • テレビ(番組はそもそも選択肢が少ないかもしれませんが)映画、youtubeなどの動画などで、英語のものを楽しむ

  • 英語の本の読書を楽しむ。漫画でももちろん構いません。

  • 英語で歌うアーティストの楽曲を楽しむ

  • 娯楽として楽しんでいるスマホ、タブレット、ゲーム機などの設定を英語にする

子ども達は自ずと日常生活の自由になる時間に色々な娯楽を楽しむはずです。その全てとはもちろん言いませんが、時には英語が話されているものや英語で読むものを取り入れるということです。

前述の Club fortisサタデースクール に通っている生徒さんでも、好きなユーチューバーがいてその人がアップする動画を毎日のように楽しんでいる子がいるのですが、それが日本人ではなくて欧米のyoutuberなのだそうです。

本人は英語の勉強のために観ているのではなく、ただその動画が面白いから、そのyoutuberを好きだから観ているだけであって、その娯楽のサイクルが一度できれば、日本語で楽しむのと同様に、類似したおすすめ動画がサイトに表示されそこから無限のように繋がり、英語で楽しむ趣味の世界がどんどん増えていくことでしょう。実際その子も、発音は流暢さ、自然さなどにおいて、そういったことをしていない他の子と比べ、差は歴然としています。

読書にしても、映画などを鑑賞するにしても同じです。音楽にしてもそうです。

また最近では色々なゲーム機やゲームソフトにおいて、同じゲームでも言語設定を英語に変更しさえすれば、英語環境でそのゲームを楽しむことができるという機能も備わっているものが多いです。慣れるまでは少し違和感があるかもしれませんが、それも一つの環境づくりです。もちろんスマートフォンやタブレットなどの設定もしかりです。


英語環境の幼稚園や保育園と言っても、園によっては文字を読むことにあまり注力していないカリキュラムの園もあるかもしれませんので、全てをひとくくりにはできません。ただ、手前味噌ですが当園パルクル・インターナショナルに複数年通っているような子であれば、上のような娯楽を英語にしても十分楽しむことができます。

ただ、そのきっかけや最初の環境づくりは、保護者様にお手伝いしていただく必要があります。

  • 大きい本屋さんの洋書売り場に連れていく

  • 色々な映画作品の予告編だけでも色々と観る機会をつくる

  • ネット検索を手伝う

  • 機械の操作を手伝う

などです。さすがにこれらは子供達だけではなかなかできないことですから、保護者様のサポートが必要です。

そして、もう一つ保護者様の関わり次第で大きく変わってくることがあります。

それは

③ 一緒にその環境を楽しむ

ということです。

1人で何かに没頭したり一人遊びが好きな子供、または年齢的にも発達的にも自立度が高い子供であれば、きっかけを与えるだけであとは一人でどんどん楽しんでいけるかもしれません。

しかし、少なくとも小学校1年生から低学年、そして子供の性格によってはそれより上の年齢であっても、上にあげたような環境を一緒に楽しんでくれる相手がいれば、よりその環境にのめり込むスピードも程度も望ましい物になる可能性も高くなります。

外国人のお友達ができるような場に行っても、お父さんお母さんがつまらなさそうにしていれば、子供も気を遣うに違いありません。逆にそのような新しい場に行くことを周りの大人も楽しんでいれば、引っ込み思案の子供でも一歩踏み出してみようと思うはずです。

映画や本など楽しめるコンテンツを与えて、これを観なさい、読みなさい、ではなく、一緒に読んでみようか?一緒に観ようか?と言ってくれる人、読み終わった後に内容について色々と話をしたりできる相手。そんな人が身近にいれば理想です。

家の中、車の中で自然と家族みんなで英語の音楽を楽しむ。むしろお父さんやお母さんが率先して口ずさんだり楽しく聴いている。

趣味は共有できる仲間がいれば、より楽しくなるものです。保護者様に限らず兄弟や親戚のどなたかでも構いません。もちろん日本人のお友達同士でも構いません。

実際、同時期に卒園したお友達同士で定期的に集まってそういうものを楽しむ機会を一緒に作る、なども非常に良いと思いますので卒園児の保護者様にはぜひお勧めしたいところです。

④ 家族で「英語仲間」をつくる

保護者様に、英語で色々な娯楽コンテンツを楽しむ仲間になってあげてください、という話になると、私は英語がわからないから、という言葉が多く聞こえてきそうです。

そういった保護者様にとっては耳の痛い現実かもしれませんが、とても大切なことなので、敢えて最後に書いておきたいと思います。

子供が英語を学び続ける、ということをよい機会ととらえ、保護者様も貪欲に一緒に学んでみてはどうでしょうか?

上に色々と書いてきたような様々な環境づくりをするにあたり、保護者様に英語力が少しでもあるのとないのとでは、やはり効果は大きく変わってきます。国際交流を楽しむにしても、洋書売り場で楽しい英語の本を探すにしても、ネットで検索するにしても、日本語だけではやはり世界の拡がりも限られます。

子供が一人で歩み進んでいけるまでは、保護者様の想像力や実行力の限界が、子供の世界の拡がりの限界になってしまうことが現実ではないでしょうか。

英語の園に毎日通ってきた子供より、保護者様の方が英語ができない、ということはよくあることで、それはそれで構いません。別に子供よりも上回っている必要は全くありません。わからないことは子供から教わる、ということあってもそれは全然問題ではありません。

「私も一緒にやるから私にも教えてね」という心持ちで一緒に楽しむことができれば、その「英語仲間」の関係を末永く続けることができれば、それはどんな学校選びよりも、どんな環境づくりよりも勝る、子供の英語力維持への後押しになり得ます。

そして、そういう楽しい「仲間関係」は、ゆくゆくは英語力の維持という当初の目的の達成に留まらず、

  • 末永く続く健康的で楽しい親子関係をつくる

  • 子供の承認欲求を満たす

  • 自尊心や自己肯定感を向上させる

といったような、子供が生きていく上で英語以上にもっと大切なことに寄与するでしょう。

まとめ

英語力の維持は、英語に関わる頻度を高く保つこと。
それは全てスクール頼みでは実現できないことも多くあります。
家庭での環境づくり。
そしてそれを楽しく無理なく続けられるような環境・仕組みにすることが大事ですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?