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King Gnu/白日 が、小説のなかで流れたら

かすれた倍音、呼吸までもがマイクにひろわれたファルセット。分散されたピアノの和音がかたまりになっていき、デジタル処理されたビートが入ってくる。

生感のあるフィルインで、バンドサウンドへ。ギタリストがワウをきかせて浮遊感をだす。ヴォーカルのファルセットはユニゾンで支えられ、ギターのフレーズもメロディをガイドする。

サビになるとそのメロディは、オクターヴの上下でサンドウィッチされる。聴きかたによっては、Aメロで低音パートだった声が、サビへとつづくオーソドックスな流れのようにもきこえる。いや、メインのラインをきめることは、いまの時代の音楽にはもう野暮なことなのかもしれない。

《もう、戻れないよ》と、ロングトーンをいかしたCメロをはさみ、ふたたびAメロへ。そうするとBメロはどこへいったのか——いや、さっきのCメロはAメロと同じだったような——そもそもイントロからして、いったい何メロだったのか。これもABCへの当てはめがもう、いまの時代にはそぐわないということか。

1番ではききながしていたサビの歌詞が、やっと《真っ新に》ときこえてくる。母音が「あ」と「え」の中間のような発音だ。英語っぽくきかせるためなのだろう、という浅薄なひらめきは、はたしてその発音がただしいのかどうか、僕にはわからず究明のしようがない。

サビ終わりをロングトーンの見せどころにし、かさなりながらはじまるギターソロ。ワーミーをきかせたアグレッシブな表現。ベースまでもが、ソロをとっているかのようにうごいている。あくまでも4分音符を逸脱せず、スケールをたどりながら同じ音はつづかない。

そんな2つの弦楽器が、ユニゾンで決めフレーズを披露したところで、新展開の歌メロへ。ここまできたら意地をはってDメロと呼びたくもなる。

最後のサビは頭から転調。《地続き》といいながら行き来する地声とファルセット。フットボールアワーの後藤であれば「高低差ありすぎて耳キーンってなるわ」とつっこみそうだ。

冒頭からメロディをのせつづけてきた和音がのこされるアウトロ。ゆらぎのレートをずらしたフェイザーが、盛りだくさんだった1曲のあとのチルタイムを演出してくれる。

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