テン・クローバーフィールド・レーン -羊頭狗肉-
見た映画たちの感想などもちょこちょこ書いていこうかと思う。内容に触れてるので気にする人は遠慮して下さい。
ちなみに語学力の問題で、カナダに来てからはあまりドラマやドキュメンタリーなどが見られず、というか見られるけど理解するのが難しくてもっぱらSFやホラーなど簡単なものばかり見ている。中学生に戻ったみたいで気恥ずかしい気持ちもある。
テン・クローバーフィールド・レーン
はじめにクローバーフィールドという映画があって、もう約十年前にもなるPOV(主観カメラで構成された映画)のモンスター映画。突如現れた怪獣に蹂躙されるNYの様子をそこに住むカップルとその友人たちの視点から描いたもので、日本でも結構話題になったのを覚えている。立ち位置的にはその続編と噂されていた今作。
情報があまり出回らないまま公開されて、僕もたまたまだけどすぐに見に行ったのでほぼ情報のないままだったんだが、、かなりナゾな映画だった。
予告で見られる通り、話としては序盤は車の事故後にシェルターに連れてこられた女性と、女性を連れてきた、そこでこもって生活するちょっと怪しい雰囲気のおっさんと、その知り合いの男性3人の共同生活という感じで、おっさんによると外の世界は彼女の事故後にどこかの国からの攻撃を受けて大気汚染されてるとかなんとかで、もう外に出る事はできないとのこと。でも主人公の女性はそれを自分を監禁する口実にしているだけで実は嘘なんじゃないかと疑い、なんとか脱出を試みる。
というもの。
でもまぁなんと言ってもあの怪獣映画の続編なんだし、その辺のサスペンスの部分は序盤で終わって、脱出してからの話がメインで怪獣出現後に崩壊した世界のなかで話が展開していくのだろうと思っていた。
んだけど。
シェルターでの話がいつまでたっても終わらなくて、これはもしやここで話が終わるのか?と思い始めて、
なるほどそうするとこれは同じ世界観の元、別の視点から見た物語であって、怪獣が出現することで起こった二次災害というか余波的なところに焦点をあてている、例えばモンスターサイコ映画「ミスト」みたいなものなのだな。と自分を納得させて見ていたところ、
終盤にようやっとシェルターを脱出した主人公、遠くに見えたヘリコプターらしきものに手を振ってみたら、
宇宙船でした。
戦闘機でもなく、怪獣でもなく、触手たらしながらふわふわ浮遊する、宇宙船、というか宇宙生物と宇宙船が合体したサイボーグ的なもの?が主人公に気付いて、小さいエイリアンを地上に降ろして襲わせてくる。
僕も含め、観客みんなぽかーんとしていた。前作知らない人はサスペンスだと思ってるし、知ってる僕らはもちろん外にはあの怪獣が待っていると思っている訳だから。
主人公がその光景を見てひとこと「Oh, come on! (勘弁してよ、的な)」
ってこっちのセリフだよ。
そこから、なぜか怒濤のエイリアンとのバトルに。
またのそのエイリアンたちも前作の怪獣とは似ても似つかない別モノで、つながりを必死で考えているうちに主人公がいつの間にか間一髪で追っ手を撃退し車で逃走。
偶然ラジオから流れた生き残った人間たちの、SOSというか有志軍への呼びかけを聞き、なぜか正義感の芽生えた彼女が雷鳴轟くなか遠くに見える都市へ向けて田舎道を走らせる引きのカットでラストシーンを迎えた。
なんだこれ
というのがまず最初の感想だったんだけど、思い返してみればなんだか前作の知名度を借りたただのB級映画という気もしてきてなんだかムカついてきた。客寄せに無理矢理こじつけたんじゃないか、とか。
無理矢理前作との辻褄を合わせるのであれば、今回出てきたサイボーグエイリアンが前作の怪獣を地球に送り込み、文明を一掃させた後で地上を乗っ取り、今回ではその後別の種類のエイリアンを使ってこまごまと生き残りの人間を掃除していたとか、そんな風には考えられなくもない。
でも一番しっくりくるのはやはりこれは単体の映画で、今回の世界観は今作のみで完結している、という考察だ。
なので、僕はこれはまたいつものJJエイブラムスのいやらしい商戦なのだと思うことにした。
彼のことは監督としては嫌いじゃないが、プロデュースの手法はもったいつけつつ蓋を開けたらたいした事ない感じですごくイラっとくる。
あまり情報を出さずヒントだけ与えて世間に噂させるやりくちとか、プロモーションとしては正解なのかもしれないけど、信用ならないというか、商売臭さがやはり鼻につく。
まぁでも今作のみを評価するのであれば、主演のメアリー・エリザベス・ウィンステッドは元々スコット・ピルグリムで大好きだったし、今回はリメイク(前日譚)の物体Xでの彼女を彷彿とさせる役どころで、終盤になぜか闘争本能に火がついてエイリアンぶっとばすとことか、逃げられたのに最後人助けにいっちゃうとことか、戦うヒロインとしてすごくアツかったのでそこはとてもグッときた。
でも映画としては終盤までの閉鎖的な環境でのサスペンス、人間ドラマは退屈こそしないものの特筆すべきところはない。
終盤のぶっとびパートとのギャップをあえて狙っていたのだとしたら好感持てるけどどうなんだろう。その辺りがもやもやして好き嫌いがいまだに判断できない。エイブラムスのクソ野郎め。なんの変哲もないスターウォーズなんか撮りやがって。
日本では6月に公開されるみたいだけど、それまでにはどういうつもりだったのかがはっきるするといいな。
ちなみに、話に出てきたミストはこちら。
高校生の頃、今は亡き渋谷のシアターNに大勢で見に行ってテンションだだ下がりになった思い出の一本。なかなか面白い。
まつげの妙に長い、ジョジョにでてきそうなキモい顔の保安官?のお兄ちゃんがお気に入り。
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