2022年に観た映画ベスト10 + ワースト5
今年も年間ベスト&ワーストを書く時期がやってきた。
今年は海外旅行や出張でコロナ以来数年ぶりにフィジカルに色々移動した年で、それ以外にも夏のイベントがリアルでたくさん開催されてようやく日常が少し戻ってきた体感があった。
それだけにもうフィジカルなイベントは行けるうちに行っとけって感じで、ライブや文化イベントなど狂ったように出かけてたけど、その合間を縫って、というか基本的にいつも映画を観ていた。
さて、今年も長くならないようになるべくコンパクトにまとめたいと思う。
感想の全文は気になればリンクから読んでもらえたら嬉しいです。
褒めも貶しもすべて個人の感想です。真に受けないで。
・ワースト5
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(Avatar: The Way of Water)
映像はめちゃくちゃにすごいです。視覚効果がまた一段階引き上げられたなって感じでかなりすごいけどこれは倫理的に楽しめなかった。
前作からそうだけどポカホンタス的なコロナイザー側の上から目線でネイティヴ文化や思想を持ち上げるのが無責任な綺麗事に感じて胸糞悪い。だったら徹底してやれよ。せめてちゃんとネイティヴ言語でやれ。英語をしゃべるな。
そしてアメリカの偽善者ども、日本のプロモ時にイルカショーやって批判殺到らしいけどふざけんな。イルカショーは個人的にも倫理的に微妙だと思うけど、お前らイルカショーまんま首長竜みたいの乗って曲芸するのはありなのかよ。映画の中でクジラに刺青とかするし偽善もいい加減にしろ。
あといくらなんでも長すぎる。編集下手かよ。
・ワースト4
哭悲/The Sadness
ゴア描写とかは気合い入ってて良いけど、これを白人おっさんが意気揚々と撮ってると思うと劇中のレイプとか女性の被害者っぷりがめちゃくちゃ気持ち悪く感じるしクソムカつくので嫌いです。
・ワースト3
ボーンズ アンド オール(Bones and All)
ナルシシズムに溢れた偽善的で薄っぺらな青春人食いロードムービー。監督の前作サスペリアが大好きでかなり期待してたのでめちゃくちゃ残念。2022年にもなっていまだにこんな美男美女ストレートカップルだけが絶対正義の世界見せられなきゃいけないのか。
・ワースト2
ブロンド(Blonde)
あまりに非道徳すぎる。もはや死姦レベル。実在の人物を描くうえでの変格の範囲を軽く超えて、ひたすら悲劇的に捻じ曲げた内容で故人を陵辱していて侮辱罪に問われてもおかしくない。
・ワースト1
犬王(Inu-Oh)
本当に純粋に映画としてあまりに面白くなくてダントツのワースト。映画として成り立ってないというか、もはやパフォーマンスの稚拙なアニメ化みたいな感じで全く映画として面白くないし、肝心のパフォーマンスも全然魅力的じゃない。97分が永遠に感じるほどつまらなくてイライラして心臓に悪かった。もう湯浅作品は見ない。
・ベスト10
逆転のトライアングル(Triangle of Sadness)
これまでの監督の作品と比べたら割とストレートな風刺コメディ。監督お前も白人インテリ層だろうがと突っ込みたくなるけど面白い。しかしこんなゲロ糞尿まみれでパルムドール獲れちゃうのすごいな〜。
・ベスト9
ザ・メニュー(The Menu)
なかなか性格悪くて楽しめた。迸るアダム・マッケイ感で、攻めるとこは攻めるけど決して観客を不快にはさせないそのバランス感に感心しつつ少し苛立ってしまう。お前本気出したらもっとやばいの作れるだろという感じ。
まぁでも普通に面白かったし誰かのために働くの辛いなって思った。
・ベスト8
TÁR
人としてクソな社会的強者の自業自得な転落劇を張り詰めた空気で重く描くダークコメディ。外見だけ見てブラックスワンとかに例えられそうだけど、これはあれに出てきたヴァンサン・カッセル側の話。
こういうMeToo運動で散々粛清されたような役にレズビアンを持ってくる辺り、かなり進んだフェミニズムなのかストレートにバカにしてんのか。
・ベスト7
MEN
アナイアレイションが個人的オールタイムベストに入るほど好きだったのでかなりハードル上がっての鑑賞だったけどこうきたか。話の内容的にフェミニズム映画かと思ったんだけど、結構パーソナルな問題を描いてるように自分には受け取れた。逆にこれがしっかりフェミニズムを描く意図で作られたんだとしたらちょっと弱いというか不誠実さの残る作品だと思う。
映画のなかで起きた全てのナンセンスな出来事を安易な”夢オチ”にさせないあのラストは痺れた。
・ベスト6
Pearl
今年突如公開されたミア・ゴス主演のスラッシャー3部作の「x」に続く2作目。前作に登場した発情ババア殺人鬼の若かりし頃の苦難を描く。とにかくミア・ゴスの狂気の演技が最高。作品の年代設定に合わせた演出、映像、音楽も楽しくて、最近のホラーでは見られない大げさなエモさも逆に新鮮で楽しい。最終作「Maxxxine」も楽しみ。
・ベスト5
Verdens Verste Menneske(The Worst Person in the World)
邦題こそが最悪なんだけど、個人的にもタイムリーな内容で結構刺さった。30代を迎え、人生の方向性について周りが身を固めていくなかでフラフラしながら悩んだり悩まなかったりするひとりの人間の話。陰鬱な人間ドラマばかり撮ってきたヨアキム・トリアーの通称オスロ3部作の最終作。
こういう主人公が全然社会的、人間的にダメ(裏を返せば人間臭い)な話が個人的には大好きで、それは普段取り繕って社会的にマトモでいようとする裏の自分のダメさを肯定してくれるからだと思ってる。
世界で一番最低な人はあなたであり私である。という話。
・ベスト4
トップガン マーヴェリック(Top Gun: Maverick)
いやーこれは複雑。間違いなく面白いし爽快なんだけど、社会的な要素(ポリコレ、多様性など)を抜いたピュアなアメリカ軍最強アクション映画で面白く楽しく観れてしまうと、普段俺が必死こいてクソ真面目に社会的視点から映画を鑑賞して映画の面白さを評価してる土台が揺らぐようで、鑑賞後に感情がブレブレだった。
しかし迸るトム・クルーズの魅力は、あぁ、これが映画スターなんだな、と思わせてくれる。
・ベスト3
Everything Everywhere All at Once
スイス・アーミーマンの監督コンビによるマルチバースカンフーアクション家族愛コメディ。脅威の視覚情報量でもう画面眺めてるだけで面白いんだけど、その根底にある移民家族の悩みや摩擦は真摯に描いていて、親視点でも2世視点でも胸にくる内容になっている。
インディ・ジョーンズやグーニーズでお馴染みのジョナサン・キー・クァンの突然のカムバック(そして演技がめっちゃ良い)もジェイミー・リー・カーティスのノリノリ感も最高だし、キャストのアンサンブルをはじめ、美術、サウンド、編集といろんな面でのハイクオリティさが話のぶっ飛び具合をサポートしてて見事。
・ベスト2
JUNK HEAD
カナダで観る機会はないのかと絶望してたけどなんと今年のトロント日本映画祭で上映された。プログラマーさんありがとう。すでに前身となった短編は観ててそのクオリティとイマジネーションに感動してたんだけど、本作もその勢い、クオリティを全く落とさず仕上がっててまた感動した。
驚いたのはそのエンタメ性というか、独学で作られたビジュアル先行の作品と思いきやかなり話がしっかりしてて映画としてのまとまりがハイレベルだった点。背景やビジュアルを抜きにしても普通に映画として面白いこのバランス感覚、宣伝として「狂気」さを売りにしてるけどこの監督もしくは製作陣、なかなか切れ者だと思う。
・ベスト1
マッドゴッド(Mad God)
これほど見ながら「頭おかしい」と何度も口走った映画はこれまでなかった。予告編が盛り盛りでいいとこ取りしたんだろうなと思ってたらマジで本編あのテンションで90分弱。本当にこんな映画現実にあるんだ。
クリーチャーや美術の造形の禍々しさ、ひとつひとつのシーケンスの悪趣味さ、ザラザラした映像のテクスチャーや狂った音楽のチョイス、効果音の気持ち悪さ、全ての要素が突き抜けてて、本当に地獄を覗き見てるような感覚だった。空いた口が塞がらなかった。感動と呆れとで感情がぐしゃぐしゃになった。ドン引きしながらも涙するような至高の映像体験だった。
以上。今年のまとめでした。いやしかし本国公開年と制作時期、製作者の世代は違うとはいえ、JUNK HEADとMAD GODが同時期に出没してきたのはなんか運命的なものを感じてしまったな。
今年は前出したとおり映画以外でもいろいろ楽しんだので、ベストライブとか音楽とかまとめたかったけどめんどいからやめます。まぁ気が向いたらそのうち。
では来年また。
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