インデックスファンドに対する考え方
最近、インデックスファンド、とりわけS&P500や全世界株式を対象とするインデックスファンドが人気のようで、多くの人がその積立投資を行っているようです。
実際に、少なくともリーマンショック後は、それらの指標が堅調に推移してただけでなく、為替レートも、リーマンショックから2021年くらいまでは1ドル110円前後だったのが、2021年以降にどんどんと円安が進んだこともあり、リーマンショックのころから地道に積み立てていた人は、それなりに大きな利益が得られたのではないかと思います。
ただ、私はというと、インデックスファンドを投資対象とすることは今までもなかったし、今後もないと思います。私は、長期的にみれば株価は当該会社の収益力(PER)や資産価値(PBR)に応じた金額に収まっていくが、短期的には、それから大きく乖離することもあると考えているので、短期的に大きく割安水準になった株を買い、大きく割高水準になったら手放したいと思っています。現在の株価でいうと、たとえば、オリエンタルランド(4661)なんかは、PERが78.89、PBRが9.76と極めて高く、今後、現在の株価に見合うほどに収益性や資産価値が飛躍的に上昇するとも考えがたくて、少なくとも私には極端に割高な株価水準にあるようにしか思えず、短期的にはともかくとしても、長期的には株価は収益力や資産価値に応じた金額に近づく方向で修正されていく可能性(要するに、株価が下がる可能性)が高いと思っています。
インデックスファンドは、こういった株でも問答無用に所定の割合での保有を継続するわけですが(むしろ、時価総額加重平均型の指数の場合には、株価の上昇に伴って時価総額も増加することから、保有割合がわずかではあるが増えていくことになると考えられます。)、少なくとも私には合理的な投資であるようには思えません。
インデックスファンドへの投資は、個別株の株価推移は、短期的にはもちろんのこと、長期的にみても完全に予測不能であるというのであれば、合理的な投資方法になり得ると思いますが(それでも、無作為に多数の銘柄を選定して適当に分散投資するのと比較して、インデックスファンドへの投資がより有利であるといえる理由もないように思えますが。)、私は、今までの投資経験から、長期的な株価推移については完全に予測不能というわけではなく、収益力や資産価値に応じた金額に近づく方向で修正されていく可能性が高いと感じています(もちろん、そうならないことも少なくないですが、確率としては、収益力や資産価値に応じた金額に近づく方向に進む確率の方が高いということです。)。
ただ、どうしても外国株に投資したいが、言葉の壁などのために個別株の選定が困難で(私自身、台湾株への投資が少しありますが、得られる情報が日本株と比較して極めて少ないため、投資判断の精度もかなり低いものになってしまっていると思います。それでも、台湾株のインデックスファンド(あるのかどうかすら知りませんが。)を購入したいとは思いません。)、無難に投資したいという場合には、インデックスファンドという選択肢もありうるのかもしれません。
そう考えていくと、インデックスファンドを購入している層は、日本株に対する不信感が強いのかもしれません(日本株のインデックスファンドを推奨するような意見はあまり聞きません。)。しかし、日本株全体の長期的な見通し(日本経済の長期的な見通しといっても良いかもしれません。)はともかくとしても(というか、私自身も、日本経済の長期的見通しについては、アメリカ経済以上に悲観的だと思っています。)、それぞれの銘柄を個別的にみていけば、投資対象として魅力的な銘柄は数多くあり、わざわざ上記した不合理性をはらんだインデックスファンドを用いてまで外国株に投資しなくても良いのではないかと思います。
そもそも、現在の為替ヘッジコストは約6%にまで達しているというのであり(要するに、1年で6%も円高方向に為替レートが推移することが見込まれているということ。)、ドルベースの資産への投資は、上記為替ヘッジコストを上回る成長性が期待できない限りは合理的ではないということになると思います(なお、ドルベースでみれば為替の影響は受けないのだから問題はないというようなことをいう人がたまにいるようですが、ドルベースでみるのであれば、日本円ベースの資産への投資は、逆に為替ヘッジプレミアムが加算されることになるので、結局は同じことです。)。
いろいろと書きましたが、そもそもインデックスファンドは不合理性をはらんだ投資方法だし、現在の為替ヘッジコストの水準からすると、少なくとも現時点においてドルベースの資産への投資をすることはリスキーな状況にあって推奨できないというのが私の意見です。