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パワープレイ嗜好DMのホラーd20に向けた準備

パワープレイ嗜好のDMが用意する現代物ホラーd20セッションに挑むにあたり、CoCd20やモダンd20を元にパーティのメンバー構成・キャラクター構築を考えてみたネタコラム。

現代を舞台にしたホラーd20で、PCたちは一般人学生というCoCのような設定と言われてはいたが・・・d20でやる以上、ロールプレイと説得だけで乗り切ることができるとは思えない。

ウィッチクエストですら「全体攻撃でダメージを喰らいながら、HPが削り切られる前に戦闘進行の中でターゲットを説得する」というセッションになってしまう御仁である。

DMに手心を加えられて生き残らせてもらうのはプレイヤーとしては屈辱とも言える。

これはDMが普通のマスタリングをしたとしても、現代物一般人ホラーd20の世界で生き残るために、プレイヤーサイドがキャラメイクで知恵を捻った物語である。

実際に作ってプレイに使用した学生のキャラデータ・設定を追記した。1キャラ目はまさに事前考察の通りの殴りキャラで、化け物を1体倒すことには成功したが早々にゲームから離脱。2キャラ目は完全ネタキャラだった。
しかも7 years afterという、前回から7年経った続編シナリオも遊んだのだった(プレイ記録は残っていなかったので、キャラ設定のみ)

キャラクター作成

人間の1レベルキャラなので特技は2個、技能ポイントは8+【知】得られる。技能は職業テンプレートでクラス技能が変わってくるが、パーティ内ですり合わせをすればカバーできるだろう。

次に戦闘でのパーティの役割分担を考えよう。

現代が舞台となる場合、アメフトや野球のプロテクターでもレザージャケット扱い(AC+1)なので防御を鎧に頼ることは期待薄と言える。さすがに軍用ベストは手に入らないだろうし、そもそもホラーシナリオならゴーストのような非実体アンデッドの登場も想定される。

であれば、鎧に頼らず高めの【敏】でACを高めることが望ましい。1レベルでは攻防一体をやってもAC+1しか得られないので、防御で引っ張るタンクは考えない方が良いだろう。

ダメージディーラーを考えてみるが、学生の身分で手に入る武器には限度がある。しかも、D&Dと違って<武器習熟>を個々の武器毎に取らなくてはならないため、戦闘系キャラは自分が使う武器をしっかり吟味する必要がある。

遠隔アタッカー

出来れば狩猟やスポーツシューティングを趣味として、自宅にライフルを所有している親を持つPCを複数人確保したい。できればPCの家族全員が射撃を趣味としていると調達面で心強い。レギュレーションの範囲でベストの銃は「M82A1」で、ダメージが2d12と最も強い。キャラクター背景設定を工夫して、何とか自宅のガレージに置いてもらおう。

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しかし、実は運用するためには特技が足りない。本来、遠隔攻撃アタッカーであれば《武器熟練:ライフル》《近距離射撃》《精密射撃》まで欲しいところだが、今回のレギュレーションでは特技は2つまでしか取れない。結果的に《精密射撃》が外れることになる。D&Dと違って誰かが近接戦闘をしているときに銃を撃ち込むケースは少ないと思いたい。このあたりはパーティ内の連携も重要であろう。

近接アタッカー

PC全員にオススメできるオーソドックスな近接武器は「野球バット」である。何といってもスポーツ用品であるために特殊な設定が無くても手に入る。ダメージは1d6とやや低めであるが、両手武器として使えるのでダメージボーナスが【筋】の1.5倍となる点が重要である。学生が持ち歩いても違和感を覚えられない点は強みとなろう。

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近接戦闘をメインで担当するキャラの場合は「親が木こりです」と設定する方が良いだろう。「ウッドアックス」はダメージ1d8の両手武器であり、市販の野球バットよりもダメージが大きくて強い。

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また、最強の近接武器「チェーンソー」はダメージ3d6の両手持ち武器である。近接アタッカーはホッケーマスクを被ってチェーンソーを構えて敵の前に立ちはだかることは全く合理的なのである。

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また、積極的に戦闘を行わないキャラでも素手ではTA(機会攻撃可能範囲)を維持することができない点に注意が必要である。バットを持つか、懐に必ず剃刀やナイフを忍ばせておこう。

番外編武器:胡椒(こしょう)
遠隔接触攻撃で命中させ、頑健ST難易度15に失敗すると、相手を1d4ラウンド盲目にすることができる。ホラーの元凶には多分通用しないが、やつらの手下や小うるさい教師などには有効だろう。何といっても、盲目の相手にはチェーンソーが当たりやすい。

キャスター

残念ながら1レベルからスペルキャスターは難しい。クトゥルフ系の呪文書でも手に入れば別だが、Modernではキャスターは上級クラスなので今回のレギュレーションでは実現できない。
その代わりにCoCd20であれば《サイコキネシス》《サイコメトリー》《ダウジング》《読心術》などの《超能力特技》が存在する。これらは《超感覚》の特技を取ってから取得するのであるため、超能力者担当は特技が埋まって1種類しか取れない。吟味して選べば手がかりを効率的に得られるはずだ。

回復は<治療>の技能に頼るしかない。1人はそれに特化して救急箱を持ち歩くべきだろう。失敗が許されない(出目10が使えない)ときの応急処置もありうるので、<技能熟達:治療>くらいは持っていても良いかもしれない。

つまりホラーシナリオ向けパーティは
・近接アタッカー:親が木こり with チェーンソーと斧
・遠隔アタッカー:親の趣味が狩猟のガンマニア withライフルと金属バット
・超能力者:図書委員 with 金属バット
・衛生兵:保健委員 with メス(ナイフ)
という構成が良いだろう。

ホッケーマスクとチェーンソーを持った奴が前線にいて、ライフルを持った狙撃手、金属バットを片手に集中している超能力者、メスを持った保健係が廊下を歩いてやってくることになる。

彼らはこのように準備を万全に備えて、降りかかる恐怖の存在に対応し、朝まで生き残るのである。

シナリオ

上記のガチネタを考えて1キャラ作成し(自称改造人間)、ホラーな状況を偵察して生き残るキャラ(にんにん)を作成してセッションに望むことにした。1キャラ目はストーリーの超序盤で死ぬつもりの出落ちキャラとしたが、計算通りとなった。

PC1人目:自称改造人間

名前:ヒロシ・タチバナ
筋18/敏14/耐16/知8/判8/魅8
HP:9
基本攻撃ボーナス+1
素手攻撃 +5/1d6+6
頑健+3/反応+4/意思-1
特技:武器熟練(金属バット)、強打
技能:以下の技能を各4ランク
隠れ身、軽業、聞き耳、視認、忍び足、野外知識、跳躍、登攀

ヒロシ・タチバナは(自称)改造人間である。彼の腰には変身ベルトが常についている。
ピンチのときに「ライダー変身!」と動作要素を取りつつ、コマンドワードを唱えることでヒロシ・タチバナは「仮面ライダー」にポリモーフすることを妄想することが可能になるのだ!
変身中は【筋】【敏】【耐】にそれぞれ+12の妄想ボーナスを得る。これは彼の妄想の中でのみ有効なボーナスであり、現実には一切作用しない点に注意せよ。

妄想中はおもむろにバッグから金属バットを取り出し、「ライダーキッーーーク」と狂ったように叫びながら上段に振り上げて相手目掛けて突撃する。
強打1点、突撃で命中+6/ダメージ1d6+7である(レギュが3.0版準拠)

彼は自分が正義の味方であることを当然だと思っており、クラスの仲間のために自分を犠牲にすることもいとわない。
彼にとって自分の分の給食の牛乳が無いことや3回目のおかわりを断られることなど、仲間たちの幸福な笑顔を思えば些細なことなのだ。
・・・自分のプリンが無い、というレベルまでの妥協はできないようだが。

ホラーのシナリオでありながら、両手持ち金属バットの強打を決めてガチでモンスターを1匹倒したものの、あえなく死亡。
PLたちに「油断すると死ぬよ?」という恐怖感を与えるお手伝いをしただけに終わった。

PC2人目:にんにん

名前:ジョー・サスケ(本名は別にあり)
筋14/敏16/耐14/知12/判12/魅10
基本攻撃ボーナス+1
頑健+2/反応+5/意思+1
特技:武器習熟(コンバットナイフ)、隠密
技能:以下の技能を各4ランク
隠れ身、軽業、聞き耳、視認、忍び足、脱出術、跳躍、手品(手先の早業)、符丁

ショー・コスギの忍者映画にハマッた父に「お前は将来、立派な忍者になるのだ」と映画と怪しい本に基づく訓練を受けてきた。
しかし、毎日観葉植物を飛び越える父子に対する世間の冷たく、哀れみのこもった視線に母が耐え切れなくなり、ジョーは強引に寄宿学校に入学させられた。
故郷から遠く離れたこの地でもジョーは自らに課した訓練を怠らない。毎日毎日、彼はサボテンを飛び越えている。失敗すればその棘が身を貫くという危険を承知の上で。もっとも、サボテンは未だ5cmも育っていないのだが。
「忍者倶楽部」なる同好会を立ち上げているがまだ部員は彼一人のようだ。

基本的に彼は会話をしない。一人前の忍者(上忍の上、超忍)になるまでは自らの言葉を断つ、という誓いを立てているのだ。

そのため、彼の発する言葉は「にん」だけである。
「にんにん(了承の意)」
「にん?(疑問の意)」
「に~ん(疲労の意)」
「にんーー(救済の意)」
「にん!(激怒の意)」

ルール的には符丁技能により意思を伝える。ジョーと受信側が難易度10の判定に成功すると簡単なコメントを伝えることが可能だ。
この段階でようやくPLが説明する。それ以外のときは「にん」のイントネーションと私のボディーランゲージで読み取ってくれと。

隠密偵察が仕事なのだが、他PC(PL)との意思疎通がやや難、というのがジョーのチャームポイント。戦闘中は軽業でバックを取るのが仕事だが、まぁ、そんなに長持ちはしないだろう。

PLさん&DMのウケは取れたものの、「にん」しかしゃべらないというコミュニケーションに難がある設定は問題だったな。割と地雷ロールプレイだったなぁ、と反省。

7 years after:社会人編

ホラーd20セッションには第2回があり、せっかくなので第1回で作った学生キャラの7年後を作成することとなった。結果、現代忍者:ジョー・サスケも社会人になった!

キャラクター設定

あの夏の事件からもう7年が経つ。

友人が帰らぬ人となり、島で知り合った軍人も悲惨な最期を遂げた。
僕たちは生き延びることで精一杯だった。

島から帰還した僕たちのサバイバルストーリーをメディアは面白可笑しく伝えたが、半年もしないうちに熱狂は冷めやり、平凡な日常が戻ってきた。

ハイスクールの生活は元には戻った。
でも、その日常の中で、満たされぬ気持ちをずっと感じていた。

・・・そうか、僕は生粋の忍者。
あの絶体絶命を望んでいるんだ。
友人を失ったにも関わらず、あの命のやり取りをした日を懐かしく思い、恋焦がれるようにまでなっていたのだ。

そんな気持ちに気づいたとき、僕は怖くなった。

またあんな地獄に舞い戻るのか?
今度また友人を失うのか?恋人を無くすのか?
家族が犠牲になるのか?

恐怖に怯えた僕は、忍者を辞めた。

大学に入り、経済学を学ぶことにした。
「忍!」を言わなくなった僕は新鮮だったが3日もすればそれが普通になった。
大学生活は楽しかったが、どこか空虚だった。

今ではIT関連企業の営業として働いている。
日々の生活に不満は無い。
ただ、熱くなれない。そんな日々が続いていた・・・

設定オルタナティブ

父「現代の忍者は、『あいてー産業』を修めねば上忍にはなれぬ!」

大学を卒業したサスケは迷うことなく、IT関連企業の営業職に就いた。
就職試験と面接は全て忍術で乗り切った。

上司「サスケ君、コピーを5部頼むよ」
サスケ「にん!(隠れ身の術)」
上司「あれ?そこに居たと思ったのになぁ?」

上司「サスケ君、今日残業をお願いしたいのだが」
サスケ「にん!(空蝉の術)」
上司「あれ?田中君じゃないか。まぁいい、残業を頼むよ」

顧客「この仕様だと契約書に判は押せませんなぁ」
サスケ「にん!(眠りの術)」
顧客「あれ?なぜこの契約が成立しているんだ・・・」

定時のチャイムが鳴る
サスケ「にん!(忍者ダッシュ!)」
同僚「あれ?さっきまで隣にいたのに???」

サラリーマンとなっても、
サスケは今でも現役の忍者なのだ!


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