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集計データで見る小説ウィザードリィのキャラクターたち
はじめに
自分でキャラクターを作成してダンジョンに挑むRPG:ウィザードリィ。
プレイヤーは各々の工夫のもとにパーティを構成してダンジョンに潜っていった。
オーソドックスに戦士・盗賊・僧侶・魔法使いでバランス良く組む奴
最初から司教や侍を組み込んでおく奴
僧侶・魔法使いだけで始め、転職を重ねて全呪文をマスターしてから本気を出す奴
能力値振り直しに膨大な時間を掛けてエリートキャラで固める奴
マイノートに出自や生い立ちの設定を書き連ねる奴
無数のキャラクターたちが誕生している中、本稿では小説ウィザードリィの登場したキャラクターたちの特性(クラス・種族・属性)を集計し、それらの傾向を分析することを試みた。
作品に登場するネームドキャラクターの冒険者をピックアップした。敵NPCなどはカウントしていない。キャラクターの特性は文中に明記されている点に基づいてデータを作成した。
データ作成出典
WIZ小説 データ根拠
小説隣り合わせの灰と青春
小説ウィザードリィII 風よ。龍に届いているか
ウィザードリィ異聞リルガミン冒険奇譚
続ウィザードリィ異聞リルガミン冒険奇譚
続々ウィザードリィ異聞リルガミン冒険奇譚
真ウィザードリィRPGノベル風雲のズダイ・ツァ
ウィザードリィ外伝女王アイラスの受難
ウィザードリィ外伝2砂の王
小説ウィザードリィ1狂王の試練場
小説ウィザードリィ2アラビクとマルグダの物語
小説ウィザードリィ3ダイヤモンドの騎士
小説ウィザードリィ5ハートオブメイルストローム
小説ウィザードリィ6女王の受難
双葉社版ウィザードリィ4・8は小説中にキャラクターの特性の明記がないため集計対象から外した。また双葉社版ウィザードリィ7はそれまでに登場したキャラクターと重複するため対象外とした。
BCF データ根拠
呪われし聖筆
サイレンの哀歌が聞こえる
ウィザードリィサーガ狂王の血脈
ウィザードリィ短編集六人の冒険者
上記作品からネームドキャラクター196名を抽出し、集計した。
クラス集計
![](https://assets.st-note.com/img/1712627211160-I63wLSfBub.png?width=1200)
全体として見ると戦士キャラクターが圧倒的に多い。低レベルの駆け出しから高レベルのベテランパーティまで、パーティに戦士が参加していることはアタッカーとしても盾役としても必要であり需要は高いことを反映しているのだろう。
パーティに必須なクラスである回復役の僧侶は案外と登場回数が少ない。6人パーティとなる長編小説ではおおよそ登場しているが、短編集の少人数エピソードでは入っていないケースもあったようだ。
上級職で見ると侍が君主・侍と比較して圧倒的に多い傾向が見られている。
種族集計
![](https://assets.st-note.com/img/1712627910817-cbMCMrSls2.png?width=1200)
種族の明記があったキャラクターは196名中92名であった。
その内訳を見ると、人間のキャラクターが圧倒的に多い傾向が見られている。魔法使いや僧侶としてのエルフ、盗賊としてのホビットは分かりやすくなっているが、ドワーフやノームの登場は限定的だった。
短編集ではキャラクターの種族が明記されていない場合が多く、小説として話に関わらない情報は掲載されていないものと思われる。
クラス別集計(WIZ小説)
戦士
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短編集であるリルガミン冒険奇譚シリーズで多く登場しており、パーティには必ず入っているというポジションを確保している。
『隣り合わせの灰と青春』のガディ、『風よ。龍に届いているか』のガッシュなど高レベルだけど敢えて戦士というキャラクターも存在している。
盗賊
![](https://assets.st-note.com/img/1712628540455-QEQ31GClCT.png?width=1200)
盗賊もウィザードリィでは欠かせないクラスの1つであるが、短編集であるリルガミン冒険奇譚でも1作目以降は登場回数を減らしている。
それ以外もトリックスターやムードメーカーとしてパーティに入っているが、2人目以降は登場しにくいこともカウントが増えなかった要因でもあろう。
魔法使い
![](https://assets.st-note.com/img/1712628681035-aaoEEmO988.png?width=1200)
小説に登場するキャラクターは高レベル帯でもマスターレベルから20レベル未満の設定が多く、ティルトウェイトやマロールの使い手としては魔法使いが採用されている。
『隣り合わせの灰と青春』で悪のパーティに入っていた双子ノームの魔法使いサンドラ・ルードラの印象が強い読者も多いだろう。
僧侶
![](https://assets.st-note.com/img/1712628931856-SvhvZ1nPzU.png?width=1200)
珍しく短編集よりも長編での登場が多い結果となった僧侶。
『風よ。龍に届いているか』にはザザという見せ場の多い僧侶が登場するが、それ以外にもゼノに奇襲されて体を乗っ取られたネームドキャラが多くカウント増の原因にもなっている。
『隣り合わせの灰と青春』のアルハイムも加えて悪の僧侶は活躍の印象があるものの、善の僧侶はどこかしら救急箱的な役割に推されているのかもしれない。
司教
![](https://assets.st-note.com/img/1712629181009-lafcWpqZR4.png?width=1200)
鑑定にまつわるエピソードの短編で登場する以外は登場作品が非常に限定的である。
登場する場合は、魔法使いもしくは僧侶から転職した司教という設定で、パーティ人数を少なく抑えながらパーティに必要な役割を回すためのギミックとして使われるケースが見られた。
侍
![](https://assets.st-note.com/img/1712629476112-lhys1RI1to.png?width=1200)
上級職の中で最も登場回数が多い侍。
『隣り合わせの灰と青春』のスカルダ、双葉社版のケイン・ノーザンライト、ダイヤモンドの騎士のアラビク王子も侍となっており、戦士系ではトップクラスで主役を張っていることになる。
村正という最強攻撃武器を扱い、前線での戦闘に加えて攻撃呪文も放つ魔法戦士であり、東洋という一風変わったテイストを持っているあたりは、主人公として使いやすい要因でもあるのだろう。
君主
![](https://assets.st-note.com/img/1712629961885-xRL6vMERXK.png?width=1200)
上級職の侍と比較すると、君主は登場回数が非常に少ない。短編集でかろうじて登場しているレベルである。
『風よ。龍に届いているか』に登場したマイノスがいかにもロードという行動と活躍を示していたが、それ以外は印象も薄い。
善の聖戦士という分かりやすいヒーローポジションであるが、小説では使い所が限定的だったようだ。
忍者
![](https://assets.st-note.com/img/1712630204298-XZlcRSw9iB.png?width=1200)
登場回数自体は君主と変わらないレベルであるが、『風よ。龍に届いているか』のジヴラシア、『隣り合わせの灰と青春』のジャバとハ・キムなど印象に残るキャラクターを残している点に大きな差があるだろう。
小説で採用されるレベル帯では装備なしの手刀よりも、フル武装してカシナートの剣か手裏剣を装備した方が強いのでそちらが主流であるが、短編の中に手刀でのクリティカルヒットを狙うキャラクターも登場する。
クラス集計(BCFのみ)
![](https://assets.st-note.com/img/1712631041124-blEySefhkU.png?width=1200)
BCF小説のクラスのみを見ると、WIZ基本職よりも侍・ヴァルキリー・君主・バード・錬金術師などのクラスに集中している。
BCFから登場したクラスが多く採用されているが、レンジャーやサイオニックのキャラクターは登場する機会がなかった。
エルフのヴァルキリー、獣人の侍の組み合わせが最も多かった。
おまけ:属性集計
善:17名
中立:20名
悪:20
記載なし:114名
長編小説で善と悪のパーティの対比を描いたり、リルガミンの遺産で渋々協力する場面を描いたりする場合ではキャラクターごとに明記されているが、それ以外は最小限の記載のみであった。
おまけ:石垣環コミックス クラス集計(転職後)
![](https://assets.st-note.com/img/1712631337818-fCnEJ4wYtR.png?width=1200)
石垣環コミックス版でも集計を行った。転職後のクラスをカウントしている。
鳳龍シリーズを含んでいるため、ネームドの侍と忍者が非常に多い結果となっている。
まとめ
ウィザードリィ小説に登場するネームドキャラクターの特性に着目して集計を行った。
侍は上級職の中でも登場回数が多く、主役のクラスとしても採用されていた。
東洋の魔法剣士としての侍は『ブレイド&バスタード』や『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》』にも主人公として登場しており、定番になっているものと思われる。