T&T:1版ルールサマリー
こんなサマリーにニーズがあるのかと聞かれればあるわけ無いと答えるのだが。RPGの歴史を感じてもらう参考として、気づいたところをチマチマとメモ程度に。
T&Tを作るきっかけ(Troll Talk)
D&Dが面白かったが、10ドルは高すぎる!
D&Dの面白い部分は強化して残し、気に入らない部分を修正したものを作った!修正しまくったルールは、もはやD&Dと呼べる物ではないので、T&Tと名乗ることにした。
1版はアリゾナ州立大学の印刷コーナーで100部印刷して作ったそうな。
他社のルールブックを堂々と明記しているのがおおらかなところ。
ダンジョンの作り方(Digging the Dungeon)
想像力を強く持て。お前は何をやっても良いんだ
たくさんお宝を配置しろ。退屈なダンジョンは誰だって嫌いだ
可能な限りユーモアをもて。でもバカ話にするな
ダンジョンは深いレベルになるほど、危険にするべきだ
全ての呪文にも罠にも解決策はあるべきである。助かり方を説明する必要はないが、抜け道は用意すべきだ。部屋に入って来た全員を太陽の中心部にテレポートさせる罠はさすがにフェアじゃない。
ストーリーとか設定なんて一言も触れてない!ダンジョン以外に何かいるのかよ!?って感じ。しかもダンジョンの単語はちょいちょい出てくるが、トンネルについては触れてない。
キャラクターの作り方(Creating Characters)
3d6を振って、Strength(ST),Intelligence(IQ),Luck(LK),Constitution(CON),Dexterity(DEX),Charisma(CHR)の6種類の能力値を決定する。所持金(GP)は3d6の10倍、重量(WT)はSTの100倍、IQが12以上だと共通語以外に言葉を覚えることができる。
Type of Character
Warrior:どんな武器でも使うことができる。
Magic-User:呪文を覚えることが可能。1Dの武器しか使えず、ヒットロールに個人修正を足せない。
Rogue:どんな武器でも使うことができ呪文も覚えられるが、7レベルまでしか成長できない。それ以上レベルを上げたいときは、5レベルのWarriorになるか、3レベルのMagic-Userに転職する。
この時代、戦士には全く特典が無い。後述するが防御点の概念がないのだ。
ちなみにWarriorは転職不可。RogueとMagic-Userは転職可能だが、転職すると経験値は0になる。能力値については触れてないので、成長と転職を繰り返せばチートできそう。
ちなみに、筆者らは「僕たちのプレイグループでは3人から15人くらいのキャラクターのストックがあるから、1人や2人死んだくらいでは心も痛まないし、プレイの継続に支障はないよ」と言い放っている。これも時代ってやつかな。
戦闘ルール
お互いのヒット(武器+個人修正の合計)をパーティ人数分足し合わせる。
MRに基づくダイス(モンスターダイスと命名)と修正を人数分足し合わせる。
高い方から低い方を引き、差分が低いグループが受けるダメージとなる。人数割して個人が受けるダメージを算出する。
MR毎のダイス数 微妙に刻みが異なる!・・・使いにくい
遠距離射撃
PCの場合、避けられるかどうかはセービングロールを行う。命中した場合、射撃武器ヒット数を算出し、攻撃を受けたPCのLKの値を差し引き、差分をダメージとして受ける。
モンスターが射撃目標の場合、モンスターダイスを振り、合計値を射撃したキャラのDexとLKの合計と比較する。モンスターの方が低い場合、射撃は命中する。
射撃武器ヒット数を算出し、モンスターダイスの合計値を差し引き、差分がダメージとなる。
【版による違い】
MRごとにダイスを振る数が決まっている。微妙に5きざみが入ってる。
1ラウンド目はMRの半分をダイス目に足すが、2ラウンド目以降は1/4を足す。
モンスターはMR表記でもセービングロールができる。1レベルでは100-MRの値を目標に、モンスターダイスをロールして判定する。ゾロ目による振り足しは発生しない。
装備品
麻のロープやサンダルはこの時代からしっかり整備されている
武器:オプションルールを使うとT&T名物、アホみたいな量の武器を扱うことができる。必要STとDEXが指定されているが、装備するとDEXが下がるものも存在する。
鎧:鎧は防御点を与えるのではなく、CONを増強する外部装甲だったのだ。そうかー
種族修正
・・・どうみてもドワーフとエルフが超優遇されているんだが。一方でレプラコーンは不利なだけじゃん!
呪文
有名どころは初版からしっかり登場している。レベル毎にIQとDEXが設定されているのも同じ。
これでもくらえ!
感想
D&Dのハウスルールが出発点だったようだが、キャラクター作成くらいにしか原型を留めていない。どんな着想と発想だったのだろうか、相変わらず興味深い。
T&Tの凄いところは、このシステム(お互いの総ヒット数を比べて引き算する)を他のシステムがパクらないところではなかろうか。
国産でも海外でも「どこかで見たな、このルール」というのはお目にかかるものだが、T&Tはこの点においては永遠にオリジナルであるような気がする。
こういう記憶に残るゲームというのも良いものだ。商用ルートにも残って欲しいところだっただろうが。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?