2023/10/25 奥能登国際芸術祭2023振り返り

・週1で日記を書いていた。力入れなさ過ぎてアホみたいに間隔空いてる。仕事言い訳にはせずちゃんと頻度上げていくことを決意。
ちなみに今回の記事は作成を思い立ってから投稿するまで3日かかった。

・10月前半に奥能登国際芸術祭に行ったのでその振り返り。



奥能登国際芸術祭とは

・能登半島の先っぽにある都市(珠洲市)で不定期に開催されている、現代アート作品が屋内外に展示される芸術祭。詳細はググってください。
・今年は二年ぶりの開催で、新しい作品も多く展示されていた。
・珠洲市内は基本的に公共交通機関が1日2本のバスしかないので、観に行く際は車が必須です。気をつけて。


観に行った作品

01「時を運ぶ船」/塩田千春

・メイン展示物としてパンフレットにデカデカ掲載されている作品。
・2017年の第1回からずっと展示されており、塩造りの際に使われる舟に、赤い紐が蜘蛛の巣Lv500みたいな感じで結ばれている。めっちゃムズいあやとりみたい。
・メインを張るだけの作品で、かなり壮観だった。見る角度や場所を変えるだけで、赤い紐の重なりから現れる濃淡や形が変化して面白かった。
・場所が他の作品群から結構離れているのだけがネックで、前回行った時も見れずじまいだったので、今回観られて非常に良かった。
・スタッフのおじいちゃんが作者の生い立ちとか製作の裏話とか色々懇切丁寧に教えてくれたのも良かった。長生きしてほしい。

ゼルダの赤い月イベントみたいな趣がある


06「自身への扉」/ファイグ・アフメッド

・海岸沿いを車で走ってると突然現れる謎鳥居。
・異常に煌びやかで、近づいてみると鳥居のあらゆる場所に反射板みたいなやつが貼りついていた。
・これがいわゆる「ギャル鳥居」か……。と変な感慨に耽っていた。
・鳥居は神域と外界を切り離すものだけど、こんだけキラキラしてたら神域の入口もちょっと楽しそうに思えちゃう。
・ちなみに、近くに「ゴジラ岩」という珠洲市が誇る観光名物があるが、名前から想像できないほど小さいので初見で見つけるのはかなり難しい。

ギャルすぎる
中央の岩が「ゴジラ岩」ちっさすぎん?

07「風と波」/奥村浩之

・見渡す限りの海を背景に、唐突なデカ謎オブジェという、奥能登国際芸術祭といえばみたいな作品。
・近づいてみるといろんな場所に穴が空いていて、貫通してたりしてなかったりした。どうやって作ったんだろうな~。

魚の骨っぽさがあった。あと天気良いな

08「太古の響き」/アナ・ラウラ・アラエズ

・海背景デカ謎オブジェその2。奥能登国際芸術祭ですね~~。
・銀色のえのき、太古の響きを感じるには余りに想像力が欠乏していた。

えのき

09「プレイス・ビヨンド」/弓指寛治

・これ、全く事前情報無いまま向かったけど、かなりすごかった。
・自然遊歩道内の2kmぐらいの周遊コースに、不定期な間隔で立て札と絵が飾られている。その立て札には、戦前に生まれた「南方寳作」さんの手記を基にした物語が書かれており、彼の人生を追体験できる。
・満州の先遣隊に派遣されたり、念願の海軍になったが戦況はどんどん悪化し、仲良かった人は特攻し…といった感じで、まーどうあがいても絶望な形で物語は進んでいく。
・面白かったのが、終盤に左右の分かれ道があり、そこで物語のルートも分岐するところ。ただ、IFルートの分岐、という感じではなく、左ルートが終戦後の主人公の動向を描いており、右ルートは、一方そのころ満州では…といったルート(ちなみに右ルートはかなり鬱。キツい)
・一本の映画を観終わったような読了感で、遊歩道に立札を置いていくような見せ方も含めとても面白かった。

立札を読んでると突如出てくる髑髏。コワイ!

10「TENGAI」/アレクサンドル・ポニョマリョフ

・09「プレイス・ビヨンド」と同じ場所にあった作品。
・2本のでっけえマストみたいなやつがそびえ立っていて、てっぺんから糸が張られていた。ウィンドハーブという風が吹いたら音が鳴る楽器みたいなものらしい。
・ただ、僕が見たときは完全に凪だったため、音が全く鳴らなかったのは悲しかった。
・鉄塔にデカい蜘蛛がくもの巣を張っていて、カマキリが捕まっていた。あいつ、あのまま食べられてしまうんだろうな。

作品自体は無機質なんだけど、くもの巣だったり蔦が巻き付いていたり

12「幻想考“The Butterfly Dreams”」/さわひらき

・これ、今年の優勝作品です。メチャクチャ良かった。
・旧公民館がそのまま作品展示場になっており、1,2F合わせて4フロアにそれぞれ作品があった。
・ミニチュアの爆撃機が家の中を飛ぶムービーが一生流れている部屋、ミラーボール的なサムシングにブラックライトが照らされている部屋、斜め60度に傾いた棚に青色とんがり帽子が飾られた部屋、誰も乗らなくなった船が鎮座している部屋、得体の知れない小宇宙がありました。
・なかなか写真では凄みを伝えきれず、体験って大事だな~と改めて感じた次第です。

バッドカンパニー的な
宇宙。FF9のオズマみたいな。
棚、帽子?、影

13「アイオロスの広場」/小野龍一

・始まってる途中なのか、終わってきている途中なのか難しい漁港に調律の概念を忘れたピアノが鎮座していた。
・ピアノには思わせぶりなワイヤーが繋がっていて、それで音を増幅させているのかなと思っていたら、どうやらワイヤーに触ることでピアノを弾く人以外も演奏できるようになるっぽい。いい発想じゃん。
・「アイオロス」って誰やったっけと調べたら3人いるっぽくてよく混同されるらしい。漁港にでーんと居座っているのになぜか存在感の希薄なピアノがそれを表していたような気もした。


ピアノは演奏できて、せっかくなのでカルマのAメロを弾いた。なぜ?

14「Autonomo/図書室:カールステン・ニコライが推薦する子供の本」/カールステン・ニコライ

・第二回から継続してある作品。10時間ぐらい見続けられる。
・真っ白い部屋に、天井からでけえ円盤が吊られており、そこに向かって不規則にテニスボールが射出される。円盤に当たるとやかましい音を立てながらテニスボールが反射しまくる。
・射出角度が不定なので、円盤に当たるときもあればそうじゃない時もあるのに、射出間隔は一定なのが面白い。


規則と不規則が入り混じる真っ白い空間

15「おもちゃ」/杉谷一考

・紙粘土っぽい材質で作られた無限の積み木があった。
・大人も子供も遊んだ形跡があり、童心がキャパ超えてた。

触感がきもちえ

16「遠のく」/梅田哲也

・これもメチャクチャ良かった2023でしたねえ。
・養蚕施設跡に展示されている作品。とっくに使われなくなった場所に対して、音が鳴るバケツやデカいガラスの玉が吊られている。
・空間の距離と時間の距離は相関しながら離れていくけれど、繋ぎとめる何かがこの作品にはあったような気もした。

「この場所が誕生してからの長尺で捉えたら自分なんて一瞬しか生きてないしずっとずっとあるうちの、『今』を切り取ってるだけです。でも場所はずっとあって、これまでも、これからもまたどんどん変わっていく。ほんの数十年の間でも、同じ建物が役割を変えながら存在していて、当初の用途からはどんどん遠のいていくんです。一方で、簡単には変わらないものがあります。」

奥能登国際芸術祭 作品制作レポートより https://www.oku-noto.jp/ja/report_umeda.html


振り子みたいだった。揺れては無かったけど。

23「Something else is possible なにか他にできる」/トビアス・レーベルガー

・奥能登国際芸術祭といえばこれ、という作品。初回からずっと展示されている。
・旧のと鉄道の廃線に沿って作られている謎のカラフルなオブジェ。その中には双眼鏡がぽつんと置いてあり、中を覗くと……。
・常設展示みたいな感じで演劇祭終了後も残り続けている作品なので、双眼鏡が示すものが気になる人はぜひ現地で見てほしい。
・くだらなさは人を元気にさせるんだなあということを実感できる素晴らしい作品だと思います。

真ん中に見えるのが双眼鏡。

26「あかるい家」/中島伽耶子

・これも初回から展示されていたはず。僕含めたパンピーからのウケがいい作品だと思う。
・珪藻土工場の事務所だった小さな空き家の壁や屋根に無数の穴が開けられていて、昼は穴から太陽光が入り込み、室内を照らし、夜は室内の照明が穴から出て行って星のような光を醸し出す。
・シンプルだけど面白くていいよね。昼と夜で見え方が変わるってのは屋外展示ならではやね~~。

今回は夜しか行けずだった

33「回遊の果て」/吉野央子

・柱で切り分けられた屋内の和室に魚介類の作品が飾られている。これも面白かった。
・木彫りのタコが圧倒的な存在感で家主かのように鎮座しているのがウケた。あと照明が暗いところで魚の影絵が流れていく部屋があったけど、影絵に異常な立体感が付与されていたのが凄かった。

タコ。デカい
魚たちの影絵。これ、ずっと動いてた

34「海の上の幻」/城保奈美

・使われなくなって久しいであろう船小屋にカラフルな糸が張り巡らされていて、見る角度を帰ると船の模様が浮かび上がる作品。
・海へ向かう小舟は、段々と小さくなっていき、曖昧な物体になっていく。ちゃんと帰ってきたときに改めて実体を再確認して安心するけど、糸から浮かび上がるこの舟は、初めから幻で、補完された想像に過ぎなかったのかも。

舟っぽいの、浮かび上がってるっしょ。これも色が違う糸なんがすごい。

35「うつしみ」/ラックス・メディア・コレクティブ

・旧のと鉄道の駅舎の上に骨格だけ模した装飾が施され、夜になるとブラックライトでその骨格が照らし出される。これも過去回からある人気作品です。
・ベタだけど、役目を終えた駅が昇天していったような、そんな感覚が渦巻く。ベタだけど。

実際めちゃ綺麗

36「なぜここにいるのだろう」/N・S・ハーシャ

・どこにでもあるような街中の小さい公園に突如現れたキリンの親子。
・キリン特有の「なんで俺らここにおるん…?」みたいな顔も再現されており、面白い(特有か?)
・あとその公園の水飲み場はゾウの形になっており、先住民としてキリンのことどう思ってるんやろなあ、と感じた。

謎画角で撮ったキリンしかおらんかった
ゾウ。ぴきってるけどおこなんかな?

37「Blouin' In The Wind」/SIDECORE

・クッソ山奥の風力発電所に向かうと、風車の下に謎の風見鶏が量産されていた。
・風見鶏それぞれが色んなモチーフで作られていて、風が吹けば実際に回りそうだった。
・風力発電所の風車って、風向きを検知して一番羽が回りやすい方向に自動で回転するらしく、それが一番の驚きだった。すごいじゃん。

とにかく山奥だったんだよな

38「流転」/シリン・アベディニラッド

・小屋の中に網が木の形に張り巡らされていて、その上にステンドグラスみたいなキラキラしたガラスやゴミ?が撒かれている作品。
・特段感銘を受けたわけでもないけど、なぜかすぐに作品の感じや小屋の質感が思い出せてしまう。なんでやろ。
・小屋の下がめっちゃ砂まみれだったんだのが妙に印象的だった。

影が綺麗だよな

39「秘境」/コウ・シュンミン

・旧駅舎にデカい万華鏡みたいなオブジェが鎮座していた。
・作品自体はほーんという感じだったけど、(おそらく)珠洲市役所の広報の人が写真を撮影していた。その人は我々を完全に大学生グループと間違えつつも「写真とろか~?」と気さくに声をかけてくれたので良かった。

外観
内部構造

感想

・2年ぶりの奥能登国際芸術祭、すべてを満喫できた。お誘いいただきありがとうございました。
・2泊3日で行ったけど、全作品回るにはおそらく5日は必要だと思った。今回回れた作品数も全体の半分ぐらいなので。
・移動していると突如現れるデカいオブジェや、屋内の何かをコンセプトにしているけど全くわからん、けどなんか刺さる作品、などなど美術館回るのとはまた違う楽しさがあるのが奥能登国際芸術祭の良さだと思う。
・あと、圧倒的にご飯が美味しい。海鮮、うますぎる。
・次回が何年後かはわからないけど絶対行きたいので、今回一緒に回った人たちも、そうでない人たちも示し合わせて大人数で行きたいっすね~。対戦ありがとうございました。

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