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さいたま市のふるさと納税損失額は保育園18園分

 ふるさと納税制度によるさいたま市の損失は、約20億円に及ぶらしい。 

 制度について他資料で調べていないけれど、この記事から読み取った限りではおおよそ下記の計算となろうか。

流入(他自治体住民からさいたま市への寄附受入)額6.3億円
−流入のための返礼品やサイト手数料など3.8億円
−流出(他自治体に寄附したさいたま市民の市税控除)額90億円
+流出額の4分の3は国が地方交付税で補塡67.5億円
  ≒ 市の損失−20億円

 さいたま市内の銀行の店舗で開催された県内自治体ふるさと納税の返礼品を紹介するイベントの模様から、さいたま県内でも流入超過の自治体と流出超過の自治体があること、ふるさと納税制度の問題点を伝えるローカル記事。そのなかで県庁所在地であるさいたま市の流出額90億円は全国6位であるのに、流入額はその1割もないことを紹介しているのだが、流石はさいたま総局の杉原里美記者の手による記事だけあって、差し引き損失額20億円を「保育園18園分」と形容しているのが面白い。敷地面積の単位である東京ドーム何杯分よろしく、自治体事業の単位は認可保育園ということか。

ふるさと納税制度での損失額20億円
÷市の認可保育園1園あたりの運営委託費1.1億円/園・年
 ≒ 18園・年

 そして、ふるさと納税はつくづく罪深い制度と思う。本来の財源の偏在の調整弁である地方交付税交付金について、不交付自治体(金持ちの市町村)は全国で100もなく、さいたま市を含め全国ほとんどの自治体は交付自治体である。一方でふるさと納税はゼロサムゲームというかパイの奪い合いであり、特にベッドタウンでは流入と流出の比が1対3以上になることも珍しくない。流出額の国の4分の3補填があるとて、少なからず交付金が相殺されることになる。さらに不交付自治体に至っては、補填もない。
 それで大きく流入超過となっている自治体の暮らしが豊かになっているならともかくも、どうも持て余しているようでもある。

 伊藤教授によると、全国的にふるさと納税で潤った自治体は税金の流入分を使い切れていないといい、「基金の残高が積み上がっているところが多い」と指摘する。

上掲記事

 ほんと、ふるさと納税しないと損だからしているけれど、願わくばこんな制度はさっさと廃止してほしい。


 ちなみに杉原記者の記事としては、以前にヌエックの記事を紹介したことがある。


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