AKB48のセンターを決める総選挙の様子=2015年6月6日午後9時49分、福岡県
サムネイル：Image by freepik
韓国発祥のオーディション番組の光と影に焦点をあてている、今週の『オーディション番組 アイドル誕生の「沼」』という連載。第5回は、第1回でもコメントしているアイドル文化に詳しい社会学者の太田省一先生のインタビューを中心に構成されている。アイドルやファン文化について一家言は持ち合わせていないので、表層的にこの記事に付された写真についての感想。
写真のキャプション
新聞記事の写真には撮影日や撮影地、提供元あるいはカメラマン氏名が付される。この記事の掲載写真のキャプションは、掲載順に下記の通り。
「モーニング娘。」のメンバーだった（左から）中澤裕子、市井紗耶香、後藤真希=1999年9月14日、東京都内
森昌子さん＝１９８６年６月、東京都内
今も活躍する「モーニング娘。」=2016年3月26日午後3時22分、長野市のホクト文化ホール、小松隆次郎撮影
AKB48のセンターを決める総選挙の様子=2015年6月6日午後9時49分、福岡県
KCONのレッドカーペットに登場したJO1=2024年5月12日午後4時28分、守真弓撮影
太田省一さん=本人提供
新聞社に著作権のある写真で適当なものがあればそれを優先的に使うので、この記事の写真は本人提供の太田先生の近影以外、いずれも朝日新聞社のカメラマンか記者が撮影したものだろう。オーディションに関する連載だがいずれもオーディション番組の模様ではなく、講演や会見を撮影したもの。
特に2016年のモーニング娘。を映した３枚目の写真など何故に全盛期でない地方公演の写真なのかとも思うが、グループ名が変わる（西暦が付くようになる）以前の自社で撮影した写真がたまたま社内アーカイブにあったので、間に合わせで挿入したのだろうか。それはそれで、通にはエモく、詳しくない人には十分なのだろう。愛の種の手売りを達成した瞬間の写真を、わざわざ撮影しには行かないよね。
女性アイドルの並ぶ系譜
この記事に挿入されている写真が最後のJO1を除いて女性アイドルばかりなのは、適当な自社著作素材の存否もあるだろうが、旧ジャニーズのオーディションやJr.からのデビューまでの過程がTVショーではなかったというのも大きいのではないか。スタア誕生やアサヤンからは男性アイドルも輩出しているわけだが、象徴的な存在をあげると写真にある顔ぶれになることはわかる。
なお太田先生の論考としては2019年から2021年にかけて論座で連載していたジャニーズを中心とした『ニッポン男性アイドル史』という連載が面白かった。
2015年6月6日午後9時49分、福岡県
４枚目の「AKB48のセンターを決める総選挙の様子」の写真だけ、「2015年6月6日午後9時49分、福岡県」という時刻まで記録されているのは、おそらく当日、朝日新聞がタイムラインで開票の進捗を詳報していたためだろう。これは当時のAKB48のシングル選抜総選挙の上位の結果発表イベントが地上波のゴールデンタイムに数時間の枠で生中継されており、そのクライマックスの瞬間であったことを伝えている。AKB48が「総選挙」を掲げ、テレビも選挙速報を模したL字型画面で下位順位を流し、新聞社もタイムライン掲載するという、メディアのごっこ遊びが行われていた。
なお、「恋するフォーチュンクッキー」の選抜メンバーを決定した32ndシングル選抜総選挙は2013年6月8日に 横浜国際総合競技場で開票結果発表されており、４枚目の写真が映しているのは「ハロウィン・ナイト」の選抜メンバーを決定した41stシングル 選抜総選挙である。
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