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袴田さんの無罪判決に際し裁判長が詫びたわけ

 袴田事件の再審判決に際して、静岡地裁の国井恒志裁判長が閉廷前、袴田さんの姉の秀子さんに対し、無罪判決まで時間がかかったことを謝罪したことを伝える記事。

 閉廷の前、国井裁判長は秀子さんに、検察官が控訴すれば高裁でさらに審理が続くことを説明した上で、「無罪判決は確定しないと意味がない。裁判所は自由の扉は開けましたが、閉まる可能性があります。裁判所としては長い時間がかかってしまったことは申し訳ないと思っています」と謝罪した。最後に秀子さんに「末永く心身ともに健やかにお過ごし下さい」と告げた。

https://www.asahi.com/articles/ASS9S2G6GS9SUTIL021M.html

無罪判決の注目ポイント

 再審というのは、再審開始を決定した時点で無罪となることがほぼ決まっている。今回の再審で注視されているのは、証拠の捏造や黙秘権侵害の事実認定と、警察と検察と裁判所の反省である。

 刑事訴訟法では、再審開始には「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」が必要と定めており、過去の事例でも再審開始決定が、事実上の「無罪宣告」になっている面がある。

https://www.asahi.com/articles/ASS9V3TJBS9VUTIL00TM.html

 1968年の一審での最初の死刑判決から1980年の確定まで、捜査機関による3つの証拠の捏造が認定されたという。裁判官という中の人が入れ替わっていることはもとより、裁判所という連綿とした組織にとっても「半世紀前は我々も捜査機関に欺かれた」という見解ならば、被告側に詫びる必然性はないのかもしれない。しかし、裁判長は無罪判決までに長い時間がかかったことを詫びたのは何故か。

  • 幾度もの再審請求から2023年の東京高裁の再審開始決定まで時間を要したことを謝罪した

  • 捜査機関を含む刑事司法というシステムの関係者を代表して謝罪した

  • 高齢の袴田さんに対してこれまでに幾年月かかったことを詫びることで、検察に控訴しないよう促した

 裁判長が詫びたことには道理があると思う。

 日経新聞の記事は次のように伝える。

 国井裁判長は冒頭、「約11カ月という短い期間で判決を迎えられた。弁護人と検察官のご協力に敬意を表する」と語った。

 袴田さん本人が出頭していないことを弁護人に確かめた上で、ひで子さんに「主文だけでも証言台の前でお聞きください」と促した。自席から立ち上がったひで子さんに「ゆっくりでいいです」とも呼びかけた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2659H0W4A920C2000000/

死刑制度の残る日本

 こちらの記事にコメントしているBossB先生は、死刑廃止を訴えている。
 私は、飯塚事件で刑死した久間三千年さんは冤罪だった疑いがあり、疑わしきは被告人の利益とすべき原則に照らすと無罪判決を得るべきだったと考えている。無罪を得ることなく刑死させた司法制度と死刑制度には、見直すべきところがあろう。
 袴田さんとお姉さんの健康を祈る。

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