J1神戸の天皇杯優勝に添えられた永井秀樹SDの美談
天皇杯優勝のヴィッセル神戸の吉田孝行監督と永井秀樹スポーツダイレクターが、25年11カ月前の天皇杯元日決勝で優勝してチーム活動に幕を下ろした横浜フリューゲルスのチームメイトであったことを伝える記事に、なんとももやもやする。
永井氏が神戸のSDに就任したのは、パワハラが露見して2021年に東京ヴェルディの監督の座を辞し、翌2022年3月にJFAから1年間のS級ライセンス停止処分が発表されてから、わずか10日後の出来事だった。
金子智彦記者はおそらく、選手時代の両氏へのリスペクトがあり、また優勝の吉報に水を差さずに美談を添えたかったのだろう。しかし、永井氏のパワハラに触れることなくして、二人の再会をターニングポイントと記しているのは、甚だ不自然である。強化担当者としての成功は、パワハラ指導者の更生を説明するものではない。騒動後の3年間、永井氏がいかに過ごしてきたかを取材することなくして、二人の話は美談になり得ないと思う。
それとも兵庫の地ではパワハラは軽視されてしまうものなのか。