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恋愛小説が苦手・・・『東京タワー』(江國香織著)

私は性とか生とか(あと死とか)に興味が強いのですが、まさにそんなタイトルの書評の連載を見つけ、最近まとめて読みました。

書評はかなり面白く、ここに紹介されている本を読んでみたくなりました。

実は私は恋愛小説がなぜか苦手です。
あまり感動した記憶がありません。
でも何せ、小説でも映画でもオペラでも和歌でも、恋愛を扱わない作品なんてほとんどない。巨大なテーマです。これを理解できなければ芸術の半分はわからないような気にもなり、やはり改めて読んでみようという気持ちになりました。

そこで、上記の連載で小橋さんが紹介されていたうち、ひとまず最寄りの図書館ですぐに借りられた江國香織『東京タワー』、窪美澄『ふがいない僕は空を見た』を読んだのですが・・・

やはりどうにも

特に前者は、映画にもドラマにもなっている有名な作品なのに、何がいいのか全くわかりませんでした。
江國香織は以前に『落下する夕方』と『冷静と情熱のあいだ』を読んでダメだったので、再チャレンジだったのですが・・・。

学生のくせに人妻含め取っ替え引っ替え女性と付き合っては捨てる耕二の気持ちはミリも理解不能だし、これまた人妻の女性に一途に思いを寄せる透の気持もわからない。

耕二の方は単なる性欲馬鹿としてまだわかる気もするのですが、透は本当にわからない。

思うに、私は、会うだけで完全に幸福、並んで座っているそれだけで満たされる、みたいな感覚が全然ないからだと思います。そういう幸せって、感じたことがない。
その他のいろんなことに気を遣いすぎるからなのかなと思います。

透の恋の相手である人妻の詩史に「恋はするものではなく、落ちるもの」という名台詞が出てきて、うまいなと思うのですが、私はどうも落ちづらいタイプのようです。

あと、私が恋愛小説が苦手な理由は、それが多かれ少なかれ、レールからの逸脱や、トラブルを描いているからだと思います。順調に交際を重ねて無事結婚、なんて小説では何も盛り上がらないですもんね。

私は異性関係には平穏しか望まないので、拗ねたり怒ったり嫉妬したり、という展開には全然そそられず、「なんてまあ面倒くさいことだ!」と思ってしまうのです。
その面倒くささを小説でコレデモかと読まされるのがつらいみたいです。

今まで恋愛をメインに扱った作品でいいと思ったものは何があるかなあと考えたのですが・・・。

映画『悪人』(吉田修一原作、李相日監督)
映画『八月のクリスマス』(ホ・ジノ監督)
映画『禁じられた遊び』(ルネ・クレマン監督)
映画『道』(フェデリコ・フェリーニ監督)

うーむ、本当にないなあ・・・。
しかもかろうじてあげたものも映画ばかり。
そのうえ、どれも純然たる恋愛ものというわけでもないし。

やはりダメなのかと思っていたら、同じく小橋さんが紹介されていた林芙美子の『晩菊』はものすごく面白かった。

やはりもう少しがんばろうと思いました。


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