#入国日にパスポートを無くした
「強運」
”運が強いこと。また、強い運勢”
引用:goo辞書
運が強いとは、
良い運・悪い運共に引き当てる
ということではないか。
入国直後のわたしの強運エピソード備忘録。
2021/07/15
先に言っておくと、
強運なおかげで無事にパスポートは見つかった。
安心して読み進めてほしい。笑
*
マレーシア入国日にパスポートを無くした。
正確にいうと、入国審査完了直後に無くした。
気づいたのは隔離ホテルチェックイン時だった。
全身防護服に包まれたホテルスタッフ達のもとで、入国前にインストールするように指示があった国民の所在地確認アプリを使ったチェックインや検温等を進めた後の、書類提出の時だった。
「......パスポートが、ない。」
ちょ、ちょっと待て待て。
空港で入国審査クリアしたし、その後係のひとに見せてゲート通ってきた。確かにわたしは大事なパスポートを持っていたはずだ。
それにわたしはパスポート等大事なもの達を出したら都度某ケースにしまっていたはずだ。
わたしのことだからカバンのどこかに埋もれているに違いない。
「......やっぱりパスポートがない。」
わたしは目の前にいる全身防護服のスタッフのお兄さんに恐る恐る尋ねた。
「Passport copy, OK?」
彼は一瞬きょとんとした様子だったが、「OK.」と言ってくれた。
わたしはパスポートのコピーを渡し、原本を探し始めた。
わたしがカバンを必死に漁り出す様子見て悟ってくれたような気がした。
わたしは彼に、パスポートを空港に忘れてきてしまったかもしれないと伝えた。
彼は他のスタッフに伝えてくれているようだった。
なんてこった。
異国での身分証明として最も大事なパスポートを無くしてしまっただなんて。
その上、入国直後の隔離期間初日のため、これから半月は外に出ることが許されないのだ。
渡航の前日に聞かされてたパスポートの発行にかかる期間やそういうときのために日本の家族から戸籍票を送ってもらうことを勧められた話が頭を駆け巡った。
「こんな馬鹿すぎる人間って、わたしやばいやつじゃん......。」
そんなわたしに、目の前の全身防護服の彼が言った。
”僕が明日空港に問い合わせてみるよ。14時には君の部屋に届けるよ。”
わたしは耳を疑って、テンパりすぎて単語を繋げて内容を確認した。
彼はもう一度わたしをなだめるように微笑みながら言った。
”僕が明日空港に問い合わせてみるよ。14時には君の部屋に届けるから安心して、ミサト。”
わたしは感謝と驚きと自分が正しく理解できていないのかもしれないという不安が全て混ざった気持ちになったが、彼の名前を聞き、すがる気持ちで精一杯お礼の言葉を伝えた。
彼の名前は「パイス」といった。
すぐにわたしは会社の人事に事態を報告した。
「わたしパスポートを無くしてしまいました😭」
”ええええぇぇ!!”
人事の先輩を文章上とはいえ絶叫させてしまった。
なんたるトラブルメーカー、本当にごめんなさい。
極力心配をかけたくない親にはまだ言えない。
そうして翌日を迎えた。
人事からの連絡はまだない。
空港かもしれないし、移動中のバンの中かもしれない......。
「ピンポーン」
扉を開けると、昨日と同じく全身防護服のパイスさんが立っていた。
彼の手には、パスポートの入った封筒があった。
おかえり、わたしのパスポート。
ありがとう、パイスさん。
あなたはわたしのヒーロー。
あなたのおかげで、わたしはパスポートが無いからといってホテルを追い出されなかった。
あなたのおかげで、戻ってきた大事なパスポート。
空港からホテルまで結構距離があるのに、初対面の異国人のために時間と労力を使ってくれて本当にありがとう。
そして、わたしの部屋に本当にパスポートを届けてくれてありがとう。
わたしは誠心誠意のお礼を彼に伝えたが、言い足りないくらいだった。
のちに日本航空から確認の電話がかかってきた。
どうやら空港の入国審査後のバン待ちベンチに落ちていたらしい。
拾ってくれたひと、本当にありがとう。
人事に報告すると、入れ違いの問い合わせ済みで、無くて絶望しているところだったそうだ......。
パイスさん。
彼はホテルに常駐のスタッフなのか、それともたまたま当日だけ他のところから駆り出されてきた臨時スタッフなのかはわからない。
次に会えることがあれば、「あなたはわたしのヒーローです」と伝えたい。
あなたと出会えたこと、パスポートが無事に手元に戻ってきたこと、
わたしはやはり強運なのだろう。
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