サンテ・ミリオン 特徴
サン・テミリオンはボルドー地方のワイン産地で、リブルネ地域の中心部に位置する赤ワインのAOC。1999年に世界で初めてワイン産地として世界遺産に登録された。ボルドー右岸を代表するワイン産地で、左岸のメドックと双璧をなす高級赤ワインの産地である。
気候・風土
サン・テミリオン(Saint-Emilion)地区は、ジロンド県北東部に位置する。AOC名の由来となっているサン・テミリオンの町を中心として、ドルドーニュ川の右岸にぶどう畑が広がる。
サン・テミリオンの気候は、ボルドー全体と同じく温暖な海洋性気候だ。やや内陸に位置するため、大陸性気候の特徴もある。ドルドーニュ川とその支流がもたらす水の恵みによって穏やかさが保たれている。
土壌は複雑で変化に富み、コートと呼ばれる石灰岩系の丘陵地帯と、グラーヴと呼ばれる石灰質と砂や粘土の斜面の2つの地域から、特に良質のワインが生まれる。前者はサン・テミリオンの町を囲む中央部に位置し、後者はポムロールとの境界に近い北東部に位置する。いずれもが良質のメルローを育てるのに役立ち、良質でのキレがあるワインを生み出す。
ワインの特徴
使用品種はメルローが主体で、補足的にカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、コット(マルベック)がブレンドされる。
畑によって風味が微妙に異なるものの、ボルドーワインでありながらブルゴーニュに似たタイプとも評される。豊かなコクとまろやかさがあり、色調は紫味がほぼなく、タンニンは穏やか。でキイチゴの香りのものが多い。
最低4年から~8年の熟成が必要で、6~年から12年で最良の状態になる長期熟成型。だが、良年のものであれば、さらに20年以上の熟成でさらに味わいが一層深くなる。
AOCサン・テミリオンの特徴はシャトーの密集ぶりにもある。中小のシャトーが群がっているため、ワインの選択肢は多く、ラベルの表示も混乱しやすい。
AOCサン・テミリオンは同一地域の中に、さらに良質とされるAOCサン・テミリオン・グラン・クリュという別のAOCも有する。
サン・テミリオンでは1955年以来公的格付けがなされていて、格付けはこのAOCサン・テミリオン・グラン・クリュの中から優良シャトーを選出し、主に「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」と、「グラン・クリュ・クラッセ」の2つに分類する。
さらに前者にはクラスAとクラスBへとにランク付け分けされる。2012年時点でのそれぞれの数は、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAは4、クラッセBは14、グラン・クリュ・クラッセは64のシャトーが選出されている。
格付け外のサン・テミリオン・グラン・クリュは約200シャトー以上あり、サン・テミリオン地区のシャトーの多さを推し量ることができる。この格付けは10年ごとに見直されるが、。2006年に見直しが行われた際に降格となったシャトーが不服申し立てを行い、取り消し判定が出されるという騒動があった。イレギュラーではあるが、1996年の格付けが2011年まで延長された。現在の格付けは2012年に確定したものである。
最上級のクラスAには従来から世界的に知られる高級ワインのシャトー・オーゾンヌなど、シャトー・シュヴァル・ブランの2シャトーが指定されていたが、2012年にシャトー・アンジェリュス、シャトー・パヴィの2つも昇格し、計4つとなった。が挙げられる。
一押しのワイナリー・当たり年
サン・テミリオンには数多くのシャトーが存在するが、代表的なものとしてシャトー・オーゾンヌ、シャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・アンジェリュス、シャトー・パヴィ、シャトー・ボーセジュール・ベコ、シャトー・サン・ブリス、シャトー・ド・ヴァランド・ロー、シャトー・クロワ・ド・ラブリー、シャトー・ソレイユ、シャトー・モヴィノン、シャトー・カルティエ、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールなどが挙げられる。
エピソード
サン・テミリオンの町は聖地サンティアゴ・コンポステラへの巡礼時の宿場町として古くから栄え、中世ヨーロッパそのままの町並みが残る。
古い家並みの間を 縫う狭い石畳の急坂を上ると、丘の上には古い寺院が建てられている。そこから町を見下ろすと、赤瓦の屋根の先には段々畑のぶどう畑が広がり、地区全体でも人口わずか2800人という小さな地域に、数百という生産者がひしめき合い、ぶどう畑の合間には壮麗なシャトーが点在している。
1936年にAOCの認定を受けた。ぶどう耕作面積は5500ha程である。
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