見出し画像

石神井で野菜作り

 先日、地域の住民向けの野菜作り講座の初級編に参加した。この日は座学であったが、私はもともと野菜を育てることには興味があって、今までピーマン、えだ豆、イチゴなどをプランターで作った経験がある。収穫というほどの量ではないが、とったばかりの野菜はみずみずしく、美味しい。
 引退した上司が練馬で畑を借りていたが、自分の家だけでは食べきれず、困る時もあるそうだ。本業で売るわけではないから、野菜作りそのものが楽しいのだろう。体力もつくだろうし、分かる気がする。もう少し余裕があったら、私も実際に畑を借りて取り組みたい。何年かに一度そんな気になるが、ずいぶん前、狙っていた農園が閉じて、後には家が建っている。
 少し前の「ねりま区報」に「農業体験農園」が載っていた。自治体が住民に貸し出す区民農園とは違って、農業体験農園は農家の方が主体的に管理経営する方式らしい。今年も決心がつかなかったが、必要なものは用意して頂けるようで、私のような初心者は助かるだろう。

畑仕事への憧れ

 園芸センター「オザキフラワーパーク」は、新青梅街道沿いの石神井台にある。最寄りは西武新宿線の武蔵関駅が近そうだが、電車で行こうとするとそれなりに歩かないといけない。なお、少し離れたところにある学校は早稲田大学高等学院だ。
 最近はブティックみたいなおしゃれなお店で観葉植物や食虫植物などが販売されていて、テレビのロケなどでも紹介されている。オザキフラワーパークの特徴はとにかく広い。建物は屋外の一階と二階に分かれているが、花壇の花でも観葉植物でもとにかく種類が多く、園芸資材も豊富に揃っている。
 これからの季節、選ぶならバラがいい。人でいっぱいなのは、ここらでガーデニングが盛んな証拠である。

 私は土や肥料はいつもここで買ってきたが、敷地内に「GROWERS CAFE」というレストランが出来てしばらく経つ。
 冬なのでテラスは止めたけれど、先日は窓辺に座った。GROWERS CAFEは天井が高く、中は明るい。店内にも草花が置かれているが、そこからはオザキフラワーパークの一角を眺めることが出来る。
 園芸ショップとカフェの併営は都心でも見られるけれど、ここはスペースがゆったりしていて、気持ちいい。オザキフラワーパークは、園芸愛好家にとっては楽園のように感じられると思う。

インスタ映えしそうなぐらい

 石神井に住み始めて、二十年ぐらいになる。東京でもごちゃごちゃしたところで育ったから、近所に畑があるだけで驚いたし、住む動機にもなった。人の手の入っているので純粋な自然とは呼べないが、冬の間何もなかった地面に、春には芽が出て夏には葉を広げ、秋に収穫を迎える様子を追っていくのは楽しい。

冬枯れた「野草観察園」の先に農園が見える

 畑のある石神井だが、ここ近年は目に見えて減っている。
 1992年に「生産緑地法」で「生産緑地」が定められた。その土地制度では、三十年間、土地を農地として維持する代わりに、税制上の優遇処置が得られるそうだ。歩いていると「生産緑地」の表示を見かけるが、指定解除を受ける段になって、営農をやめ、マンションなどの賃貸経営に移行するケースがあることは想像に難くない。大量の土地が市場に出回ると予想され、生産緑地における「2022年問題」と言われてきた。
 実際のところ、第三者への農地の貸し出しや、とれた作物による「農家レストラン」の経営が許されるなど法律の改正があり、恐れていたほどの事態には陥っていないらしい。それでも10年、20年の間を考えると畑の数はずっと減り、当の自分も、もとは畑か林だった土地の上に住んでいる。

 先の講座によると、「農業体験農園」は「練馬方式」として全国約400か所におよび海外からも注目されているという。日々の食事が近所の畑の直売所だけで事足りるとすれば、素晴らしいと思う。単に老後の楽しみ、健康や趣味のためだけでなく、ぜひ「都市農業」へと舵を切って欲しい。

ブルーベリー狩りの季節が待ち遠しい


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?