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謎のパジャマパーティーからの脱出の感想〜スコアタの魅力と可能性と罠〜

本記事はよだかのレコードさん制作の謎解きイベント「謎のパジャマパーティーからの脱出」の公演感想noteとなります

※謎解き公演評について※
当たり前ですがあくまで私の個人の感想として捉えてください。
自分はこう思った、それ以上でも以下でもありませんし、誰かを意図的に攻撃したりお世辞を言ってゴマをするつもりも一切ないです。

自分の感想を言語化して残しておく場という感じなのと、私の感想が誰かしらの「咀嚼」の手助けになっていただければいいなぁという気持ちで感想noteを書いています。
一応、公演の感想を書く際に気をつけている点としては、基本的に「自分の感じたこと」オンリーとしていることです。
他人の感想を受けてアレコレとか、評判どおりこうだった、こう言われてるけど自分は違かった、という感じで何かしら「他人の感想」を意識した内容にはしないように気をつけているつもりです。
また、謎の内容についてのネタバレはありません。

が、雰囲気やテイスト、難易度感といった部分には触れている場合が多いので、完全にフラットに公演を楽しみたいという方は該当イベントの「体験後」の閲覧を推奨いたします。
そのあたりを考慮した上で読んでいただければ幸いです。

前回の感想はこちら!

謎のパジャマパーティーからの脱出/よだかのレコード

謎を解くのに使う、用紙やアイテム!
その中身がバラバラになっちゃった!
カオスなパーティーで、なんとか謎を解け!
昼間はみんなを楽しませている謎の数々。
そんな謎にも息抜きが必要!
今日は謎達の楽しい楽しいパジャマパーティー!

ストーリー

Twitterでの感想




【良かった点】

・玄人好みの解きごたえのある謎

スコアタ公演ということで、基本的にゲーム中はずーーっと謎を解きまくることになります。楽しいね〜最高だね〜
それらの謎はビジュアルや説明で「難問注意」と謳っているとおり、純粋に「難しい」謎であり、後述する様々な側面から上級者をターゲットとした謎解き公演であると言えます。
だからこそ、メインビジュアルという一番目に付く場所に「難問注意!謎解きゲームに慣れてきた人にオススメ!」という補足をつけたのは偉い。

レーベル分けをしたり公式サイトで「慣れた人向け」と注意喚起をしても、そもそもライト層は詳細を読まずに何となく面白そうってノリでビジュアルとタイトルだけ見て予約してしまったりします。そして悲しいミスマッチ事故が起こってしまったりする…。

なので、このビジュアルにはっきりと「難しいよ!!」と載せるのは良い試みですし、完全に防げるものではないと思いますが、ある程度のミスマッチを防ぐために十分機能しているとは思います。

さて、謎解きの「難しさ」にもいろんなベクトルがありますが、本公演の謎はいわゆる「エキスパート1枚謎」です。
いわゆるというか…自分がそう呼んでいるだけかもしれません…一枚謎の知識を前提として活用する一枚謎のことです。

かわいいデザインで怖いこと言う

公式ページのこの部分で察していただければと思います。
自分はたいして謎を解ける方ではありませんが…やっぱり…良いですよね。こういう謎。無限に解きたい。
「ヒラメキ」はもちろん大事だけど、それよりも「過去の経験」と「謎解き知識」をフル動員させてなぎ倒していく必要がある手強い謎。
こんなん解けるの?…いやまって解けるわ…なんか解けてしまう…解けてしまう自分に引く…。そんなタイプ。

難易度が高く脳が追いついてエンジンがかかるまでは大変なタイプだと思いますが、ただ解きづらくしただけの昔のインク謎的なヤツではなく、ちゃんと「チームで協力」しながら楽しくロジカルに解くことができる謎なんですよね。これがまた楽しい!!!謎は全体を通してとても面白かった!ナイスアイディア。

最初は手こずったけど、慣れてくるとガンガンと最適化しながら解いていくことができる。スコアタ系公演としては結構新しい肌触りだと思いました。
内容は全然違いますが、トラメビさんのバグチェックシリーズを初めて遊んだ時を思い出す感覚。少しずつ「やり方」が見えていきスピードが上がっていくあの楽しさ…!

しかし、詳しくは後述しますが、この「協力しながら楽しく解ける」という側面は、運営が「想定している練度以下」のプレイヤーでチームを組む場合や、ソロ凸の場合や意思疎通がしづらいチームの場合は明確にデメリットになる部分でもあります。

・使いやすいシステムと謎に集中できるスコアタ

専用タブレットは存在しなかった

本公演ではシステムを利用します。専用のタブレットとありますが、自分の回はタブレットは存在せず各々のスマホで専用WEBサイトを使う仕様でした。
そのためスマホの充電は要注意です。かなりスマホを使います。また、会場であるドラマチックホールは地下のため、契約キャリアによっては繋がりづらかったりするかもしれません(Wi-Fiの案内はなし)

慣れ親しんだ自分自身のスマホで操作するのでタブレットの取り合いになることもないし、何よりこの専用システムがかなり使いやすかった!マジで良かったです。標準にしてほしい。
システムが快適なため机でじっくりとノンストレスで謎に向き合うことができるし、謎解き以外に脳のリソースを割く必要も少ない。
システムでの進行がベースのため基本的にスタッフによるオペ差が出にくい仕様なのもいいですね。オペ的なイライラやストレスなく純粋にゴリゴリと謎を解けます。

・時間いっぱい楽しめる物量

本公演はとても物量があります。個人的に満点チームが出ているという事実が一番信じられないスコアタ公演です。
これ全部解くことできるの?ほんとに????マジですごい。宇宙人すぎ。やばい。君、謎解きうまいねぇ。

個人的ですが、スコアタのバランスは上位層は「満点とって初めて人権獲得」、「満点までのタイム」で競うようなタイプよりも、そもそも「満点を取ることが困難」なバランスが好きなので、本公演は自分としては非常に好きなバランス感でした。
なんでそうなのかはうまく言語化できませんが…。音ゲーで例えると、エクセゲー、AJゲーよりもIIDXのようなスコアゲーの方が好きっていう感じです。

しかし…詳しくは後述しますが、この物量があるという面は本公演の大きな問題点の1つでもあったりします…。

・ほどよいストーリーと演出の味付け

スコアタ系公演って結構無機質な感じになりがちですよね。それも「良さ」ではありますが。
スコアタという競技的な要素と体験型謎解きイベントとして必要な物語体験は両立が難しいと思っています。
無機質すぎるとシンプルな「試験」っぽくなりがちで雰囲気は堅苦しくなるし、ストーリー要素が深すぎても「競技」の邪魔やノイズになってしまう。むずかし〜〜〜〜〜!

そのあたりのバランスをスコアタ公演である拙作「わんこ謎」「わんこ謎2DX」では色々と模索してみたところではあります。

そんななか、本公演の「ストーリー」や「体験としての演出」は絶妙なバランスを突いていたと思います。

息抜きという名の高難易度謎の暴力


楽しげなビジュアルから想像できる通りのハチャメチャで楽しいストーリー。かなりいいアクセントになっていると思いますし、それがスコアタを邪魔することもない。
演出も謎解きイベントとしてクドくないラインだし、結構楽しくてニコニコしちゃう感じで好感触でした。(EDムービーは冗長と感じましたが…)

謎解き自体が難しいからこそ、ギャップとしてポップなストーリーや演出が「公演の味」としてかなり良いアクセントになっており、全体的にこれはかなり上手いパッケージングだなと思いました。

自作を参考に出しまくるのもアレですが、一応拙作「わんこ謎」、「わんこ謎2DX」も「わんこそば」という訳わかんないギャグ的なノリをハードなスコアタ中のアクセント要素としてあえて取り入れています。

【気になった点】

・スコアタ系としては高いクリア難易度

スコアタ系公演のかかえる課題の1つとして、「クリア条件」「クリア難易度」をどう設定するかという点があると思います。

謎解き公演における「成功」「失敗」は参加者の満足度を大きく左右する絶対的な要素の1つですが、謎解きが大衆化していった現代謎解き界では「成功」する難易度によって色々な問題がおきがちな印象です。

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