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謎解き制作者から見るゲーム作るには#1
桜井さん、「ゲーム作るには」完結、大変お疲れ様でした!!
一視聴者であり、桜井ファンとして約2年半の間とても楽しませていただきました!とても素晴らしい最終回でした!!泣いた。
本noteでは、「ゲーム作るには」を謎解きを作ることも遊ぶことも好きな自分の視点から、これは「謎制作」にも役立つ内容だな〜!と思った回をピックアップするコーナーです。
もともと動画を視聴しながら「重要だなこれ〜」と思っていた内容はメモをとり続けていたので、その「自分用メモ」も一部調整したうえで貼っていきます。
桜井さんの本は一通り持っていて熟読しているんですが、youtubeに出してくれたことでこうやって引用して話せるのはとても良いですね。
ピックアップした動画ごと動画内で桜井さんが語る内容の要点を書いたり、私自身の考える「ゲーム」と「謎解き」の違いや共通点なども併記していきます。誰かの制作や考えを整理する一助となれば幸いです。
ひとまず動画内のカテゴリA〜Cの前半からピックアップします。やはりこのカテゴリA〜Cが一番謎解きとの関連性はあるかなと思います。
書き溜めたメモはもっとありますが、一旦はこの前半部分から。
続きは#2としていつか更新します!
A:仕事の姿勢
01遊びの仕事は遊びじゃない
なぜゲームを作るのか?
遊びを作る仕事は遊びじゃない。趣味で作ってもお金が絡む以上それは「仕事」。インディーでもお金をもらう以上はプロ。好きじゃない制作も楽しむようにする。
最終目的は「プレイヤーを楽しませること」。これ大事。
結局はプレイヤーをどう楽しませるか。ただの苦痛やストレス負荷を与えるだけではない。最終的にはいかに「面白かった」と思ってもらえるか。
※私が個人で細々と謎解き公演を作る理由はこちらのnoteに書いています
桜井さんの思想とは結構ズレますが、自分は「自分が遊びたいもの」を自分の欲望に忠実に作ることで、それがきっと別の誰かも心から面白いと思ってくれるものになるだろう、という考えで公演を作ることが多いです。
03お客さんに説明できるの?
プレイヤーに事情を説明して回るつもりなの??
制作側の事情なんてプレイヤーは知らん。遊び手ベースの視点を持つ。
別解やバグやバランス調整不足といった問題点があったとして、「時間がなかったから」とかは言い訳にならない。お客さんは制作側の事情なんて知らん。ベストの状態で公演を出せ。
04仕様を変えること
実際に作ってみないと発覚しないこともある。
誰かに見せるには完成させないといけない。テスプやデバッグでの指摘を受けて内容を変えるか?変えないか?
そもそもの「面白さのベクトル」を変える、というのはなるべく避けたほうがいい。
根幹にある「面白さ」は最初から見据えておくべき。謎解きでいうと、コンセプトや大謎みたいな「俺はこの公演でこれがやりたい」は最初に決めた内容から極力変えずに、それを達成するにはどこを調整すればいいかを考えると良いと思っている。
そのゆるがない「面白さ」をよりよい方法や技術があったので変える、工数やパフォーマンスを変えるために仕様を変えるというのが「良い仕様変更」ではないか。
謎解きってデバッグをするにもテスプをするにも、「そのひと」は1回しかネタバレなしで遊べないからマジで辛い。
テスプやデバッグに声をかけるにしても、かけられたとしても、「テスプを遊んだ時点で完成版で遊べない」という大きなリスクを背負うことになる。
08ディレクターは「個」
優秀なディレクターはそれぞれ違うことをしているが、共通点は何かしらの感覚に敏感で人とは全然違うことを見ている。ことか。
人と異なる何かを感じることができるのは大事な要素であり、言い方はアレだが変わり者であることは良いこと。バランス感覚も必要。太いアウトプットも必要。会話をすることが苦手なディレクターは少ない。Dとは個性が問われる仕事。
謎解きを作る人が爆増して、業界的にも「大外注時代」となったと思う現代謎解き業界。そんななか、当たり前ですが「個」を出せる、「個人としてのブランディング」ができる人が活躍の幅を広げていくのではないかと思っています。
組織や団体としては「個人の個性」に頼り切らず、「組織としての個性」を出せる団体こそが活躍していくと考えています。そんな話をこのnoteも書いています。
09とにかくやれ!!
0を1にする瞬間。エンジンをかけるのは難しい。
とにかくやれ!いますぐ作れ!いますぐ解け!
やる気がでないことを深く考えても意味はない。やる気はあとでついてくる。アウトプット少なくして成功なし。
自分の場合は、本当にギリギリにならないとエンジンがかからないタイプなので、趣味の制作では「タスクの優先度」をあえて無視して、「いまやると楽しいと思うタスク」「自然とやろうとするタスク」をガンガンやることにしています。謎作るのに飽きたら、たとえ謎が全然出来てなくても動画や演出を考えたり。その日に気分がのる制作をする。
まぁ、これは個人趣味制作でしかできないんですけどね・・・。
もちろん仕事の場合は優先度を決めて順にタスクを処理します。
B:ゲーム性
02ギュッとしてパッと解消
ストレスのかけ方ひとつでゲームは変わる。ストレスからの開放を楽しむのがゲーム。報酬は必要。
謎解きの場合、明確に「成功という報酬を目指す」という絶対的な目的はありますが、その道中に報酬として機能するものはあまり無い公演が多いと思っています。
苦労してステップを突破したけど、もらえるのは次のステップの謎のみとか。
まぁ…謎を解けること自体が報酬と捉えるともうアレなんですがw
「何か新しいアイテムが手に入る」「新しい部屋にいける」「シナリオが進んで展開がある」といった、謎以外の報酬を途中で獲得できるようなゲームデザインにすると、いろんな人が楽しみやすい「エンタメ色が強い公演」になるのかなと
04ゲーム性以外の面白さ
ジャンルの面白さは何のか。考えるキッカケに。
楽しいと感じることを噛み砕いて分解していくことが大事かなと。
謎解きにおいても、誰しも「面白いと思う公演」があると思います。それがなぜおもしろいのか。他の公演とは何が違うのか。その面白さは別公演でもないか。その面白さを別の形で表現するとどうなるか、などなど、「面白さ」とは何かを噛み砕いて考えてみるといいかもしれないです。
それは謎解きやゲーム以外でもそう。他ジャンルにおける「そのジャンル独自の面白さ」を分解し、それを謎解きとかけ合わせることで、他の謎解きにはないまだ見ぬ面白い公演が誕生するかもしれません。
自分もその面白さの分解と再構築をして謎解きと組み合わせて作ったことがあります。
C:企画ゲーム設計
02とにかくゲームをさせてみて
とにかく最初の3分で楽しさがわかるように!これはアーケードゲームの考えではある。PVもゲーム画面をはやく見せて、どんなゲームか伝わるようにしてくれ!
謎解きにおいては前説やルール説明が長すぎるのは損だなぁと自分は思っています。導入は必要だし、正直内容による部分も大きいですが、前説や世界観説明があまりにも長いと「さっさと謎解かせろ!!!」ってなります。
極論ではありますが、映像を見せたりは映像作品でもできるし、良いテキストは小説でも読める。変なミニゲームみたいなやつはガチのボドゲの方が多分楽しい。
謎解きでしか楽しめない面白さをいかにスムーズに体験できるか。割と最近はこれを考えています。謎解きなら謎を解きたい。
03目の前に吊られたご褒美
これはBの#02と通じる部分が多い。
進める動機としての報酬やご褒美は大事。ご褒美をゲーム途中で意識できないのはちょっと寂しい。イースなどで目標経験値が見えているのはいい。
謎解き公演の場合、各ステップの目的意識をどうつけるか。そのステップはなぜなんのために解くのか?突破した時の喜びや報酬はなにか?
最後の最後の「成功」か「失敗」だけではない喜びや「達成」を途中に入れ込むことができるとイベント全体の体験にも幅が出てメリハリがつくかもしれない。
07分解考察再構築
謎解き公演を遊んで何を考えるか。何を活かすか。
どんなジャンルでも自分で作る場合、既存の作品の面白さを分解、考察、再構築することが大事だと自分は思います。自分の面白さの言語化。これができていれば軸となるし、作るものもブレにくいかと。
本note序盤にも引用しましたが、自分が面白いと思うものを作るのはとても大切かと思う。そのためにも日常的にジャンル問わずにエンタメの「分解考察再構築」をすると良いと思います。
私がnoteでメンバーシップ向けに書いている謎解き公演評も、この「分解考察再構築」のアウトプットトレーニングの一環です。
謎解きはネタバレ禁止なので表向きにはこういったアウトプットはしづらいのが難点ですが、公演後に同卓メンバーと公演についてアレコレ感想戦することも「カジュアルな分解考察再構築」だと思います。
08良いお使い悪いおつかい
これマジで大事。
とくにストーリーあるタイプの謎解きで、この動画で紹介される悪いおつかい的なシナリオを遊ばせる公演は結構多いと思っている。苦痛。
なぜこの謎を解くことになるのか。謎を解いて物語的課題を解決したいとプレイヤーが思うのかどうか。しっかりプレイヤーの気持ちをライドさせたいですね。
さいごに
あらためて、「ゲーム作るには」は素晴らしい試みだったと思います。
制作にも仕事にも、普段からエンタメをエンジョイするにも、その過程を「ちょっとだけ底上げ」するためのヒントが詰まっています。
本noteも誰かの参考になっていただけると嬉しいです。
また、こういった「謎解き系の評論」のようなテキストを読むのが好きな方は私のメンバーシップもおすすめです。
月4~ペースで謎解き公演の感想を自分なりに言語化しています。
内容は自信があります。ぜひご検討ください。
最近のメンバーシップ更新はこちら!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回更新は謎解き公演評です!土日めちゃ更新予定!!!