魔王のつくりかた

この世界を壊して新たな世界を創造する。魔王はその名目のもと

恐怖と暴力で人々を支配していた。世界滅亡を救うため1人の勇者が立ち上がった。

―勇者はついに魔王を討ち果たし混沌の世界がついに終わりを告げた―

魔王討伐から約1週間。群衆は互いに手を取り合いながら歓喜し

久方ぶりに町が活気に満ち溢れだした頃、ようやく魔王討伐より

戻った勇者一行が凱旋を果たした。

割れんばかりの賛辞、祝福の声が投げかけられてはまた歓声にかき消される。

凱旋を彩る数百の兵隊は規律よく鳴るラッパの音の中、安堵の表情へと変わっていく。

いささか異常ともいえるこの光景の片隅に件の勇者の姿があった。

彼は達観したような顔で遠くを見つめながら静かに群衆の声を聞いているように見える。

しばらく群衆の声に答えたあと勇者を乗せた馬車は王宮の中へと消えていったのだった。

世界を救ったのだ。王より最大級の勲章が授けられることだろう。

今後の地位、名誉は約束されもちろん破格の報酬を賜ることも想像に難くない。

今回の功績に対して王も民を最大限の敬意を表し、勇者は"英雄"として語り継がれることになるのだろう。

私は王宮付きの駆け出しの記者。実はこの後勇者にインタビューをする大役を任されている。

今回の功績を称え、魔王討伐までの勇者の軌跡を取材し、伝記として後世に残すのだ。

王宮に入って数年真面目に取り組んだ褒美かそれとも記者団の紅一点だからか。

そんな私に白羽の矢が立った。こんな大役を任せてもらえるなんて。

人生でもそうそうないことであろう。期待と緊張、少しばかりの不安を携えて私はその時を待つ。

勇者を見送ってから数刻後、王宮の応接室でこれから何を聞こうか改めて考えていた。

魔王はどうやって倒したのか、道中でどんな人と出会ったのか、仲間たちとの絆は、など

聞きたいことはたくさんある。まずはどんな質問から始めようか。そんなことを考えていると

ノックもなく応接室の扉が開き、いきなり勇者が現れたのだった。

「!!」

不意を突かれ声が出なかったがその様子を気にすることもなく勇者は私の対面の椅子にすっと腰かけた。

こんなに近くで初めて見る勇者。

青白く光を放つ鎧には無数の傷が刻まれている。これまでの激戦の証であろう。

そして特徴的な赤い髪に何とも言えない虚ろな表情というか、覇気がないというかそんな目をしている。

しかし何故か本能的にこの人は勇者なのだと納得させられるようなそんなオーラを纏う青年であった。

「・・・はーい、インタビューされに来ましたー」

私に投げかけれた第一声で面を食らってしまった。私が思い描いていた勇者像とは少し違うようだった。

「ゆ、勇者様ですね。今回私がインタビューを担当させていただきます。よろしくお願いします。」

「おっけー。何でも聞いてねー。」

とても軽快で庶民感のあるその喋り口調に驚かされた。勇者とはこれほどフランクなのか。

「それでは早速ですが・・・しつも」

私がそう言いかけると勇者が私の言葉を遮った。

「その喋り方やめないー?なんか肩凝っちゃうし」

「え、ですが・・・」

「んー普通に喋ってほしいなー。見た感じ年も同じくらいだと思うし敬語なしにしよー?」

勇者の提案を私は素直に受け入れることにした。

これからいろいろな話を聞くためにはそれも必要かもしれない。

「それでは・・・敬語はなしにさせてもらうわ」

「うん、その方がいいねー」

そういうと勇者はそのまま続けた。

「で、何が聞きたいのー?」

「そうね・・・魔王を倒すために勇者様が歩いてきた軌跡を聞きたいのだけど」

「んー別に喋ってもいいんだけどほんとに大丈夫ー?」

「???」

「まぁいいか。とりあえず順番に話すねー」

「僕はいろいろあって偶然勇者に覚醒して魔王を倒すためにこの街から旅立ったのね。

 その時初めてパーティを組んだわけ。パラディンとプリーストとウィザードとね。

 この国でも特に腕の立つ人材だったんだけど特にウィザードが人見知りでさ。

 最初3日くらい口もきいてくれなかったんだよねー。パラディンは正義感が強くてさ

 寡黙な奴だったから会話続かないしプリーストはずっとおどおどしてるしなんかずっと

 僕が喋ってる感じ?なんか中間管理職みたいな立ち回り?そんな感じだったなぁ」

「最初からうまくコミュニケーションが取れたわけではなかったのね。徐々に絆を深めていって

 最終的にみんなで魔王を倒したときは感動も一塩だったでしょう」

「ん?そうなの?魔王は僕が倒したんだよ」

「勇者様が最後に止めを刺されたと・・・なるほど」

「いやいや魔王は僕一人で倒したんだよーそれはもうホントに何度も死ぬかとおもったなぁ」

「それでは、仲間の皆さんはその時どうされていたの?」

 私が不思議そうな顔で聞き返すと、

「まぁそれは順番に話すつもりなんだけど最初からネタバレしてもいいー?」

「ネタバレ・・・?」

「うん、全員死んだんだよね。魔王にたどり着く前に。」

「!!!」

そう言うと勇者は少し微笑んだ気がした。その光景に私は戦慄したのだった。

「・・・・」

「じゃあまずは旅の話をしようかー。王都を出発した僕たちだけどしばらくは快適な旅だったよ。

 立ち寄る村では常に好待遇だしね。うまい飯をあるしふかふかのベットで寝れる。

 でもね、それは最初のうちだけ。魔王の根城に近づくにつれて村や町は減っていく。

 そしたら24時間魔物に襲われる状況で休む時は見張りを交代でやりながら夜をやり過ごす。

 もちろん食うものもなくなってくる。瘴気が立ち込める大地に植物は育たないからね。

 多分3日何も食べてないとかもあったっけ?それくらいは普通にあったからよく覚えてないねー。

 そんな状況の中はどうやって旅を続けるかわかるー?」

「・・・」

「んー簡単に説明すると食べるんだよ」

「・・??」

「なんだー決まってるじゃない。魔物だよ」

「!!!」

「まぁ仕方ないよねー生きるためだし。またコレが魔物ってねマズいんだよねぇ。最初はプリーストとかも

 食べれないっていうことで吐き出していたんだけど極限状態が続いていくと不思議だよね。

 しばらくすると貪るように食べていたよね。」

「魔物を食べる・・・?」

正直想像もしていなかった。たとえ勇者といえども一人の人間。食わねば死ぬ。そんな単純なことも忘れていた。

「まあそんな生活を続けて魔王に近づけば近づくほど魔物に変化が起こるんだよ。」

「変化・・・?それはいったい」

「それはね・・・魔物が知能を持ち始めるんだよー

 魔王に近づくにつれて瘴気が濃くなっていくんだけどその影響なんだろうね。

 今まで獣のように襲ってきた魔物たちに統率が取れだしてくる。そして僕たちと

 変わらず言葉を喋り、集落を作る。そう魔物の町があるんだよー」

「魔物の町ですって・・・?」

「うん。そこでは僕たちとあまり変わらない暮らしをしているんだよねぇ。家族がいて。友達がいて。

 みんなで酒飲んで騒いで。大体そんな感じだったなー」

「・・・」

「もちろん集落は全て潰してきたから安心してね。でもね・・・」

「魔物は僕たちと変わらず感情があり言葉を喋る。命乞いしてくるんだよ。痛い、助けてママって。子供がさ」

「・・・」

「だけどその子供を僕は食べた。そうしなければ生きていけないんだ。そこではね」

「・・・」

「そのあたりからかな。徐々に僕たちの中にも変化が起こり始めていたんだよね」

「変化ですか・・」

「うん。最初に変化が現れたのはパラディンだった。ねぇねぇパーティーにおいてパラディンの役目って知ってる?」

「ええ・・・聖騎士様は聖なる盾として前線に立ち味方を守るお方だと聞いているわ」

「正解!パラディンは常に前線に立ち味方への攻撃を受け続けるのが戦術的な役目。だから奴は誰よりもダメージを受けた」

「ダメージを受ければ回復薬を飲むんだ。そう立ち回って戦線を維持する」

そういうと勇者は私の目の前の机に回復薬を置いた。

「これがね!その回復薬(エリクシール)だよ。普段みんなが使うものとはわけが違う。どれだけの瀕死の重傷を負っても

 瞬時に直してしまうほどの超回復薬なんだ。」

「これが噂の・・・そんなにすごいものなのね」

聞いたことがある。王都には秘薬が存在するという噂。これほどの効力は人知を超えているようにも感じる。

「そうこれは人間の生み出した英知。傑作だよ。でもねそんなすごい薬にだって万能じゃない」

「万能ではない・・・?」

「これほど効能が高いんだ。当然ノーリスクで使えるわけじゃない。実はこの薬、ものすごく依存性が高いんだよ。

 薬が効いている間はとてつもない多幸感に包まれるけど一度薬が切れればとてつもない疲労感と倦怠感に襲われる。

 何度も超再生を繰り返すにつれこの体は薬の快感を強烈に覚えている。そしてまた薬を飲む。それの繰り返し。」

「・・・」

「だけどね。パラディンは誰よりも傷つきそして誰よりもこの薬を飲んだ。ついには幻覚や幻聴まで現れはじめたんだ。

 この状況の行く末は奴本人が皮肉にも一番理解していた。そして僕に頼んだんだ。もし自分が理性を失い僕たちに

 害をなす存在になり下がったとき、確実に俺を殺せと」

「・・・」

「そんな約束をしてからもしばらくは前線に立ち続け誰よりも攻撃を受け、そして薬を飲んだ。

 次第に奴は満足に言葉すら喋れなくなった。敵味方の判断すら曖昧になり始めていて僕に切りかかりそうになったこともしばしばあった」

「・・・」

「うっ・・・がはぁ!」

突然、頭を抱えて勇者が苦しみだした。

「・・・大丈夫!?」

私はそう声をかけたが、勇者は震える手で机の上の回復薬を一気に飲み干した。

「・・・ふう」

そういうと、先ほどと同様遠い目をした、覇気のない目をした勇者がそこにいた。

「見ての通りさ。僕も奴ほどではないけどこの回復薬の魔性に蝕まれている。おそらくこの先この薬

 なしでは生きられないだろうねー」

「・・・」

「それでは仕切りなおすね・・・そんな状況であった時ついに事件が起こる」

「何があったの・・・?」

「ウィザードに剣をふるった。思い切り」

「・・・」

「人の気持ちなんて他人にはわからないから本当のことはわからないけど

 きっとパラディンはウィザードのことが好きだったと思うんだよね。

 その瞬間奴は涙を流した。そしてこの言葉を何度も繰り返しつぶやいたんだ」

「コロシテ、コロシテ、コロシテ・・・ってね」

「・・・」

「ウィザードの方は胴体が真っ二つになってかろうじて繋がっている感じ。内臓もほとんど飛び出ててもうぐちゃぐちゃ。

 それでも僕たちにとっては些細なことだったんだ。これ(回復薬)があるからね。傷なんて直ちに治ったよ」

「・・・」

「そしては僕は奴に剣を向けた。約束を果たすためにね。一刻も早く楽にしてやりたかった。

 だけどそんな僕を必死に止めていたのがウィザードだったんだよね。だめ、殺さないでって

 涙を流しながら僕に懇願するんだよ。でもね僕はその静止を振り切ってパラディンの胸を貫いた。

 あの時の感覚はきっと忘れることはないだろうねぇ。」

「・・・」

「そしてその日からウィザードも変わってしまったんだよね。もともとヒステリックな性格で人見知りのくせに喋りだすと

 うるさい奴だったんだけど、その日を境にほとんど喋らなくなった。そして戦い方にも明らかな変化がでた」

「戦いにまで・・・?」

「そう、もともとウィザードは炎魔法の達人だったんだけど、なぜか毒魔法を好んで使うようになった。」

「・・・」

「今までは高火力の炎魔法で敵を一掃みたいなスタイルだったんだけど、弱い毒魔法をかけてゆっくりと嬲り殺すようなスタイルになった」

「・・・」

「でさ、その時のウィザードの顔見たら、ずっと笑っているんだよね。嬉しそうというか、楽しそうというかなんかそんな感じなんだよね」

「もともと精神力を原資とした魔法を多用するウィザードは精神が不安定になりやすいんだよね。常に精神を酷使することになるから。」

「多分だけどウィザードは心を食われた。自分自身の闇にね」

「それからは魔王の城に近づくにつれて魔物の葬り方は残忍になっていった。まるで拷問みたいだったよねぇ。

 ついには僕たちの言葉も届かなくなって、戦闘以外では一人でどこかにいってしまうようになった」

「そしてついに僕たちは魔王城の目前までたどりついた日、事件は起きた」

「・・・」

「ウィザードね、首を吊って自殺してた」

「!!!」

「しかもあいつさ、時限式の炎魔法をセットしていたみたいで僕たちが見つけると起動するようになってた。だから全部燃えちゃった。

 きっと魔女狩りってこういう景色なのかなって、そう思ったんだよね」

「あいつから何も聞いてないし、聞いてもあげられなかったんだけど悔しかったことだけはわかったんだよね」

そういうと勇者は小さな紙きれを私に差し出した。

「これ、ウィザードの日記の最後のページなんだけどここだけ燃えずに残ったんだよね。多分込められた思いが強かったんじゃないかな」

その日記のかけらをみた私に衝撃が走った。

「にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい
 にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい
 にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい
 にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい
 にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい
 にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい」

そこには夥しい数の呪詛の言葉があった。

「!!!」

「ね!悔しかったことはわかるんだけど誰に向けた言葉なのかな?パラディン?僕?魔王?魔物?それ以外か?どれだと思う?」

「・・・」

もう私には何も考えられない。いや考えたくない。

「僕もわからないからしょうがないか。じゃあ話を続けるねー」

「それから僕とプリーストは魔王の城へ乗り込みついに魔王直属の幹部との対決となったんだ。いやとても熱い戦いだったねぇ。

 紙一重な感じ?で戦いは拮抗していたんだけどそんな中奴は隙をみて、僕じゃなくてプリーストを狙った。それを見た僕はプリーストを

 庇ったんだけどね、奴の鋭い刃は僕の体を真っ二つに切り裂いたんだよ。で、僕は死んじゃった。」

「死んだ・・・?どういうこと?」

「そのまま意味だよ。僕は死んだんだ。そしてそれを見たプリーストはどうしたと思う?」

「・・・」

「その状況を理解したプリーストはあろうことか禁断の秘術を使った。死者復活の儀式だよ」

「!!!」

「自分の持ち得る魔力を全てつぎ込み僕の復活に充てたんだ。すごいよねぇ。

 そして僕は意識を取り戻したんだけど死者復活の儀式にはそれなりに時間がかかるんだよね。まぁ秘術だしね。

 意識はあるけど体は動かない。さてここで問題です!そんな状況で僕の目に入ってきた景色はなんだったでしょう?」

「・・・」

わからない。理解が追い付かない。

「正解はプリーストは魔物たちに蹂躪されたのでした!」

「!!!」

「そりゃそうだよね。魔物の大群の中無防備な少女が一人。死者の復活の儀式中は自分で動くことすらできない。

 魔物たちは無抵抗なあの子を弄んだ。プリーストはずっと涙を流しながら耐えてた。それでも術は解かなかったんだよね」

「・・・」

「その光景を動かない体でずっと見ているだけだったんだよね。すごい長い時間だった。

 そしてやっと体が動くようになった時にはプリーストも力尽きてた。

 そしてプリーストを弄んだ奴は一人残らず殺した。あの子が力を貸してくれたのかな。幹部でさえ瞬殺だったよ」

「・・・」

私はもう、考える力すら残っていなかった。

「それからは正直あまり覚えてないんだけど、ほどなくして僕は魔王に対峙してた。それは激しい戦いだったよ。

 三日三晩休むことなく剣を交えた。死闘の末ついに僕の聖剣はは魔王の体を貫いたんだ。」

「それでついに僕は全てが終わったことを悟った」

「はい!これでお話は終わりだよ」

勇者はそう言うと目を細めて微笑んだように見えた。

「・・・」

目を覆いたくなる惨状。国のために身を挺して戦い抜いた勇者たちの軌跡は全く奇麗なものではなかった。

魔王を倒した勇者。そんな姿を想像するときこのような結末を誰が思いつくというのか。

我々の手にした平和というものは悍ましいほどの犠牲をしいていたものだと初めて知った。

「ねぇ今度は僕から質問してもいいー?」

勇者は私に向かってそう話す。

「僕たちはさ文字通り命を懸けて戦ったんだけど、もうわからなくなったんだ。なんのために戦っていたのかってさ

 ねぇ僕たちは何のために戦っていたの?」

「この世界を救う戦っていたわけではないの?」

そう質問を投げかけられたと私はこのありきたりな答えしか思いつかなかった。

「うん。確かに最初はそうだったかもね。でもね、そのためにパラディンもウィザードもプリーストも命を落とした。

 あいつらの命ってさこの世界より軽かったの?あいつら何も悪いことしてないのに何であんなに辛い目に合わないといけなかったの?」

そう続ける勇者にかける言葉など思いつくはずなかった。

「勲章も褒美をもらったけど、これに何の意味があるの?あいつらは戻ってくることはないんだよ」

「・・・勇者様」

そういうと私は涙をこらえきれなかった。

「・・・どうして泣いているの?」

「確かに勇者様は世界を救ったのかもしれないけどこんなのあまりにも酷すぎるわ!」

「・・・あーそっか、やっとわかったよ」

「旅立った時からこの世界に僕たちの居場所はなかったんだ。

 これだけのことがあって酷すぎるって一言で済まされちゃう。

 痛い、辛い、は見ないふりして全て僕たちに押し付けた。汚いものには蓋をして

 つかんだ栄光だけを称賛した。そんな世界を僕は優先してしまったんだね。

 僕はいつからか間違えていたんだ。やっぱりあいつらの命はこの世界よりも重い。

 思い出したよ。最後に魔王がいってたんだ。俺はお前と同じだって。

 やっと意味がわかった。そういうことだったんだね。

 いつかきっと僕たちの居場所のある素敵な世界をつくりたいなぁ・・・よし、決めたよ」

―だから、僕は魔王になる―

                                       END

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