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『AbletonLive Rackを極める!!』その⑨ サウンドデザイン編~FormantFilter~


1.はじめに

 この類のエフェクトは、シンセには、ズバリ「FormantFilter」等で搭載されているものも多いので、わざわざ自作する必要はないかもしれません。
 しかし、EQをグイグイ動かして遊ぶことの楽しさを実感することは、サウンドデザインを考えるうえで非常に重要かな?と思います。
 実際、私が自作したきっかけは、「ゼロから始める音響学」(著:青木直史、講談社)という本。フォルマントについて解説している箇所を読んで、「これ、自作できんじゃね?」と思った故ですわ。ちなみにこの本、とても面白く分かりやすいので、電子音楽を作る人は読んで損はありませんよ。

  前置きは置いといて、音を確認してみましょう。単なるノコギリ波形にエフェクトを適用してみました。

 どうですか。「あいあい~、おいおい~」って聞こえますよね。
 やっていることは簡単で、EQをグイグイしてるだけです。
 細かい原理は本を読んでくださいね。

2.ここで大事なこと

 ここで寄り道ですが、本を読まなくても原理を調べることは可能です。(もちろん素晴らしい本ですよ。)
 私が伝えたいことは、
 「物事を探求する方法に貪欲であれ」ということです。

 試しにWikipediaでフォルマントを検索してみてくださいな。
 さらに、グーグル等で「日本語 フォルマント 周波数特性」なんかで検索してみてくださいな。例えばですが、私はこんな記事(日本音響学会誌)
を見つけました。これ意味わかんなくても読み進めていくと、「あ」とか「い」の周波数特性が掲載されている訳ですよ。
 これってヒントですよね?そこから「う 周波数特性」とか検索していけば、、、ってな感じで、自分で学習していく姿勢が大事だと思います。
 昔に比べれば、簡単に必要な情報を探り当てることができる時代です。インターネットに感謝ですね。
 ちなみに、今noteを書きながら調べてだけで、最終的には下記のサイトに辿り着きました。

 求めていた日本語母音の周波数特性が分かりましたね。
 こうやって興味の裾野を徐々に広めていく事は、音楽はもとより人生全般において、とても大事な事だと思います。

3.『FormantFilter』の作り方

 今回は説教臭くなってしまいました。(なにぶん44歳おっさんの戯言なのでお許しくださいませ。)
 実際の作り方は、EQ8でそれぞれの母音の周波数特性を強調してやるだけです。AI(あい)Filterで解説していきます。

a)「あ」の周波数特性

「あ」の周波数特性を再現

b)「い」の周波数特性

「い」の周波数特性を再現

上記の周波数特性を設定できれば、こいつをMorphするようマクロを設定するだけです。

c)マクロの設定

A-I(あい)Filterのマクロ設定

 ポイントは「Scale」パラメータにもマクロを設定しておくことです。
 一応他のFilterのFormantFilterの設定も貼っておきます。

A-U(あう)Filterのマクロ設定
I-E(いえ)Filterのマクロ設定
I-U(いう)Filterのマクロ設定
O-I(おい)Filterのマクロ設定

 まあ、言うまでもないことですが、これが学術的に合っているかはとかは、理論的に~とか、どうでもいいんですよ。自分で作って、満足した効果が得られればOKなんですよね。
 実際に作成してみると、色々なアイデアが湧いてくると思います。みなさん自身のサウンドデザインに生かしていただければと思います。
 このエフェクトだけだと地味ですが、他のエフェクトと併用する(Vocoderとか面白い)と実力を発揮すると思います。

4.ダウンロード

完成した.adgファイルを置いておく。
【注意事項】
 ・使用は自己責任
 ・当方制作環境はAbletonLive11.3.4
 ・互換性チェックはしておりません


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