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ashikari
29.ブービー賞【ショートショート】
今回も下から二番目だった。いいぞ、計画通りだ。
「今回のゲームの第一位は、ハルく~ん! これで三連続のトップだね~。いや強い!
第二位もまたまたナツさん! 今回も僅差で負けちゃった。次こそ頑張ってね~」
最上位なんて、今後も狙われ続けるだけだ。先の長いこのゲームで早い段階から目立ってどうする。
「そして今回の最下位は~! フユくん! トップのハルくんに騙し討ちを仕掛けるまでは良かったのにね。まんまと騙し返されて転落しちゃったね~」
こいつはよく動いてくれたよ。俺に踊らされてるとも知らずに、ハハッ。
「アキくんは危なかったね。フユくんが盛大に落ちてくれたおかげで最下位を免れたよ。
でもこれで三連続ブービー賞。死ぬ気で頑張らないと、次こそ終わっちゃうよー!」
言ってろ。全て計算通りなんだ。そう、ブービーで良いのだ。目立たず、本気で狙われず、この位置をキープし続けろ。
「じゃ、最下位のフユくんはここまで。バイバイ」
バンッ!
爆発音がして、首から上が無くなったフユの体がゆっくりと倒れた。
「それでは次のゲームまで、ごゆっくり~」
下から二番目を取り続ける。最後まで。そうすれば、最後には。