今期の徳島を振り返り…攻撃①
選手の去就の時期ではありますが、マイペースに…
今回からは攻撃面を中心に振り返り考えていきたい。
全体の設計
まずは全体的な設計から改めて
土台にあるのは、ボールを失った瞬間から前に出て奪いに行きショートカウンターを優先、
無理なら保持に切替え、最終的にはGKを含めて数的優位を作れるバックラインから仕切り直すオーソドックスなものと言える設計
そのなかで仕切り直す判断については早々に行い、
多少無理をして(ある程度ボールを失うことを許容して)前に行くことより保持を重視しているように見えた。
(ここを逆に無理やりにでも前に出て、奪われ奪い返し…というトランジションの状況が繰り返し発生することも狙いに含めて戦っていくのが、最近幅を効かせている南野選手が所属したザルツブルクを含めたレッドブル系列チームの基本的な設計だと解釈しています)
今期セレッソとの初戦などでショートカウンターからゴールに結び付くことはあったが、その頻度が僅かだったのには自分達の戦い方も影響したように考えている。
なぜ保持するのか
保持を重視する意図は何か
保持をすることでイレギュラーな状況等によるフィジカルベースの戦いを避け、戦術的な判断を伴う技術や立ち位置をベースとした戦い…徳島のこれまでに培ってきた土俵に持ち込む時間を増やそうとしたのではないか。
例えば前に出る度合いを高めるとその分奪われるリスクが多くなり結果トランジションやイレギュラーななかでの競り合いが多くなる=スピードやパワー等のフィジカル要素の占める割合や、連携で力を発揮できない場面が多くなる。
このような状況下で位置的優位を予め狙う戦いには上記の要素が不可欠になるのはレッドブル系列のチームでの選手のリクルート…速さ、スタミナ及びフィジカルを重視したスカウトの仕方で証明されている。
もうひとつ別の戦い方を例に取ると…リトリートからのロングカウンターをベースにする戦い方では、
相手がどのようなタイプでも保持を許した状態で守りきれるリーチ面含めたトータルな守備能力と、ロングカウンターを実現できる走力や起点になれる前線の個が必要となる。こちらも徳島の土俵とは言いがたい。
スポット的に相手との戦術的な対比でそれが有効になる試合はあったが(鳥栖との2戦目)、ベースにするのは今後を含めて賢明ではないだろう。
(スウェーデンなどの北欧系には良いかもしれない)
そしてそれらの意図を実現するために、守備については奪われた直後から前に出ていち早くボールを回収、手元に戻すやり方を採用したのではないか。
この守備には相手のロングボール・ロングカウンター等のフィジカルベースで来る攻撃を防ぐ策もあったか。
また保持をしているうちは相手ボールでない=失点のリスクが無いことから、相手の戦い方と場合によってはそちらの意図も込みで前に急がない時間をあえて作っていた試合もあったのかもしれない。
…あくまで予想なのですが
最後に
意図はともかく、実際にこのような戦いにて先の記事で記したとおり前からの守備が昨年度より理にかなっていたこともあり、ここまで培ってきたポゼッション能力から相手に持たせず自分たちが持つ時間を増やす…というゲーム内容が結果的にJ1の舞台で多く見られた。
保持率で上回ることに関しては、先天的なフィジカル要素を後天的な頭脳的な要素で上回ることができるということを今期の徳島の戦いは証明できていたのではないか。
(ここまでこのような表現を度々してきたが、これは徳島の選手がフィジカル的に劣るという前提での話でなく、あくまで戦術や長期的な戦略での成功から相手の先を取り上回ってきたという話であることを付け加えておく)
これは個人的に希望の見えた部分である。
ただし保持率=勝利ではもちろんない。
またその部分についても今期は危うく感じる時期があったように考えている。
このあたりをこれからは細かく考えていきたい。