2022徳島ヴォルティス振り返り①
残念な結果に終わってしまった徳島ヴォルティス
…しかし楽しませてもらったことに感謝し、引き続き彼らを尊敬しながら少しずつ勉強を兼ねて振り返らせてもらいたいと思います。
戦績から
【徳島ヴォルティス】
13勝(14番目)23分(最多)6敗(最小)
…48得点(13番目)35失点(最小)
※自動昇格チーム
【アルビレックス新潟】
25勝(最多)9分8敗
…73得点(最多)35失点(最小)
【横浜FC】
23勝11分8敗
…66得点49失点
リーグ最多の引き分け数と最小の負け数、また最小の失点数を記録
得点数については自動昇格チームとの大きな違いとなった。
特に歴代最多となった引き分け数については議論の材料に挙げないわけにはいかない。
数字は全てではないが、ここまで極端だとそこから色々と見えてくるものがあると考えている。
「負けない」のか「勝ちきれない」のか
引き分けには色々な見方ができる。
今期大半の試合は決定的なシーンを数多く作りしかし決めきれないなどというよりも、
延々と相手の守備ブロックの外側で、(ツイッターでは「Uの字」と表現していたが)直接得点に繋がる可能性が低く相手によってはあえて持たせておくエリアにてボールを回し
保持したまま時間が過ぎていく状況が多く見られた印象を受けている。(保持率は56.5%、新潟、大分に次ぐ3番目)
ロングボール一辺倒の戦いをアンチフットボールと表現する見方があるが、
今期の徳島が多く展開したこのような何も起こらない・起こせないエリアでただボールを回すだけに終始する試合もまた見る人によっては時間を浪費しエキサイティングな展開を起こさない「アンチフットボール」とされるだろう。
このあたり楽しみ方は人それぞれ、経緯を含めた楽しみ方もあるなか「好みの問題」なのだが、
正直今期は今までの3シーズンのなかで一番モヤモヤしたり退屈することが多かった。
ボールを保持し自分達の攻撃の時間を増やすことで相手の攻撃の機会を減らし失点のリスクを減らす…これはオシムジャパン時代の「日本化」のなかで聞かれた日本の特徴を活かすひとつのテーマだったと記憶しているのだが、
最小失点を記録したことについては、保持によるこのような効果が表れていたと見ている。
しかし一試合を通じてそれに終始してしまうのは「日本化」における戦術的な意図とは少し異なる。
・相手が今の状況を良しとしないなか保持で試合を終わらせるのか
・相手が今の状況を良しとするなかで保持で時間を浪費してしまうのか
徳島はさらに自分達もそのつもりがなかったのに結果的にそうなってしまった状況が多くあったように見受けられた。
使い方によっては武器になり得るこの現象。ある一定の戦術を取る相手(2CBとアンカーを埋めてくる・マンツー気味に来る相手等)にはやや苦戦したものの、高い保持率から「負けない」サッカーができるチームに仕上げたことは昨期から継続してきた成果のひとつと捉えて来期はより活かして欲しい。
昨期の答え合わせ
そしてこれに関連するところとして
このような良くない状況や流れを長く継続し結果勝ち点に影響させてしまうことを昨期に引き続き今期も繰り返してしまったところも、今後に向けて議論が必要な部分であると考えている。
昨期終了時点では、勝ち点を最優先して後に何も残らない場当たり的なチームづくりになってしまうより、今後の発展の為の土台づくりを優先した方針であるならその継続には理解できる面もあると感じてその答え合わせを今期に見ようとしていた。
そのなかで今期の結果を受け…今はそもそもそうした意図があったかどうか、またそうであったならばその成果には疑問を感じてしまうような僅かな上積みしか感じられていない。
意図の有無について、まず意図がなかったのであれば、シンプルにその時に起こっていた問題点を長らく解決できないことを2シーズン繰り返したチーム作りを今後どうジャッジするのか。
昨期は最終ラインからの保持方法
今期は保持率の割にゴールに迫れなかったこと
やや共通点もある、問題点自体は進歩しているようにも感じるこの二つについて
表には出てこないチーム事情も加味したうえで、ここを今後はシーズン前、少なくともその途中で改善できるプランを持てるのか。
次に意図があったのであれば、問題点に対する解決能力というよりは、デメリットとメリットを合わせたトータル面でプラスが生み出せていたのか。
今期もほぼ1シーズン昨期同様の状況に費やしたとなるとその流れ自体からプラス要素があまり感じられなく、
内容的にも、上記に挙げた保持については第一節から渡井選手が最終ラインに下がりビルドアップに加わる場面などは昨期の意図のせめぎあい?の末の妥協点や継続の結果が見えた点に感じ、ビルドアップミスからの直接的な失点は減り結果最小失点という記録は産んだように向上が垣間見れた部分はあるものの、
崩しの部分での不足を繰り返し、カテゴリーが下がったなかで「負けない」サッカーに留まるのは、昨期の大半を費やしたなかでのトータルの成果としてはいかがなものか。難しいところである。
おわりに
来期の編成を組むうえで、ここに挙げた点をまずどう捉えるのかは大きなポイントになるように考えている。
個人的には、今の情報量のなかではここまで大きな成果があったようには見えないものの保持面では進化が見られ最後の数試合については個の成長の範疇かもしれないが問題点が解決の兆しを見せた印象があるなか、
また2シーズン継続(我慢?)してきたからにはもう一年は見てみたい気がしている。