2022徳島のこれまでの戦い(11戦終了)
1/4を過ぎたこの時期に、変化の兆しが見えたことからこれまでの戦いを一度まとめてみました。
いつも明確な答えはなくつらつらと書いている感じですが…今回も結局そんな感じになってしまいました。
…そこから拾えるものが出てくればいいのかなと。
昨シーズンを踏まえて見るポヤトス監督の志向
序盤の肝はここなのかなと考えていました。
・意図せずシーズン途中合流となった昨シーズン
・目標を達成したとは言えない結果
そのなかで監督は
・目指すサッカーをどの程度実現できていたのか
・結果を踏まえた変更はあるのか
・J2では志向するサッカーがどう通用するのか
このあたりを以下の点から見ていこうと考えていました。
昨シーズンを踏まえたポイント
①守備
後ろを余らせる前提のもと前から制限をかけ追い込む。
相手陣地でのボール奪取からのショートカウンターを第一にしつつ、無理には奪わず攻めずリトリートや保持への切替えは早い。
②ビルドアップ
最終ラインの数的優位は保持とパスの出所を安定させるためで、
そこでできた数的優位を活かして前進し局面を崩す狙いはチームとして持ってはいない?
③数的優位の作り方
最終ラインへ本来は前の選手を落としたくない?
GKが居る分数的優位は既にできておりそこで極力そこで安定した保持と配球をさせたい?
④個々の特性を発揮する余地
個々の能力に合わせた戦い方のアレンジは?(岸本選手のアイソレーション等)
⑤ベースへのこだわり
もちろん毎試合分析を入れて相手にあわせた微調整はしているとは思うのだが、ベースとして考えているものの万能性を信じて?序盤結果に結びつかずも大きな変更はせず継続していた。
しかし終盤はベースの部分にもメスを入れ(2トップ、ロングカウンター等)臨機応変に結果を出せていた。
…このあたりをポイントに、今期これまでと見比べてポヤトス監督の志向を読み取り今後の徳島を考えていきたいと思いました。
今期これまでに見えたもの
①について
引き続き継続か。
1節では藤尾選手からやや連動に迷いを感じる部分が見えたが、
サイドに追い込むことをベースに東京V戦や山口戦ではCBにSHがプレスをかける等バリエーションももって連動し、昨年度に引き続き効果を上げている印象。
今期も保持率の高さに貢献している部分でもあると感じる。
カテゴリーが下がったなかリトリートしブロックを組むことを優先する判断は現状無く、
ただ負けている時に配置を変え同数で前への圧を強める等も無い。
垣田選手が欠けた分プレスの迫力は減ったが、構造的な完成度は引き続き高くこのまま継続していくだろうと感じる。
②について
こちらも継続か。
後方の数的優位を活かし前進から崩す動きは見られない。
前政権でそれを得意としていた内田選手が今期怪我が癒えてプレー時間を確保しているなか、
今期中盤までボールを運ぶプレーは見られるも、あくまでそれはタイミング良く味方にボールを渡すためでその先まで行く様子は観られないことから、現在のチームではそこを狙いとはしていない印象が強まった。
安定させたビルドアップから前の選手にタイミングよくボールを渡すこと、そのための数的優位の確保
③について
数的優位の作りについては初戦から積極的に中盤が最終ラインまで落ちるシーンが確認できる。
就任直後はそれを制限していた様子が見えたが、ここは以後監督が考えを改めた様子を感じる。
そしてこれにより保持は更に安定した印象。
岡山戦の失点は個人のミスの範疇で、昨シーズン序盤のような構造的にCBが苦しむ様子は見られなくなった。
④について
垣田・岸本選手のところ
昨シーズンは岸本選手にスペースを与えアイソレーションを採用し左はバランサーとして振る舞っていたことが主であったが、
今期は両SBが昨シーズンの左の役割、ビルドアップ中心に振る舞いつつコンビネーションでサイドの崩しに参加するかたちに変更している。
このように違いは現れているが、監督の考え自体には変化は無いのかもしれない。
ベースの戦術のなかで個の特徴を活かす部分を付け加えるのは元々の範疇か。
昨シーズンのかたちを継続するならウイングタイプの選手を獲得したりコンバートする手もあったがどうなのだろうか。
特に左右非対称にしたり可変することへの拘りは無く、チームとして他とのバランスから今のかたちに落ち着いている印象を持っている。
そして垣田選手
彼が担っていたサイドの裏を狙う動きが今期は無くなっている。
これが無いことでDFラインを揺さぶり中盤のスペースを生めなくなっている印象をもっている。
現戦力では、バケンガ選手はこのタスクをこなせるはずなのだがバイタルに留まるケースが多く、
このあたりは昨シーズンと違う戦術的な意図があるのかもしれないと感じている。
バイタルに留まることでゴール前での競り合いにもれなく参加させたいのか、サイドのスペースはインテリオールに出て行かせたいのか。
しかしこの部分はスタートからベース継続に拘りを感じた10節までの配置では、昨シーズンより効果的に機能しているとは感じなかった。
⑤について
④でも触れたが、10節の水戸戦までは昨シーズン序盤と同様にベースへの拘りが見えていたところだった。
保持はすれど相手をなかなか崩せない展開が継続したが、同じようなベースから同じような試合が続き、それを反映すると言える8分けという結果も出た。
この拘りは何を見据えているのか
またこれは個人の問題とチームの問題、どちらを主にしているかによって今後の展開が変わると考えていた。
変化
そのようななか、11節のいわて戦ではチーム…構造にメスを入れたと見た。
システム上ではこれまでと同じ4-5-1なのだが狙いと個々のタスクは明らかに異なるものだったと見ている。
2トップ的に振る舞う藤尾選手と、そこで空いたスペースをスムーズに埋めていく白井・渡井・新井選手
この様子からはあくまで臨機応変…個人の判断という余地は残しつつも、
これまでより前線の起点を増やし足りなかった中央からの攻撃を増やすチームとしての意図があったのではないか。
そして見事な勝利に結びつけたのだが
この勝利からは昨シーズン終盤の勝ちを得るための変更とは違う面を感じていた。
ベースに拘ってきた意味と今後への期待
この試合、序盤はいわての前線からのプレスに苦しんだ。
しかし時間が経つにつれ両SBの新井・安倍選手が相手にあわせてポジションを微調整することで解決。
徳島の保持が実現し、変更した前線への攻撃に繋げていく様子が見えた。
彼らは時には3バック気味になり、時には中盤脇で受けたり…
このような立ち位置はチームの型やシステム変更や可変などではない臨機応変な動き。
ここまで拘ってきたベースで得たものではないか。
つまり今回の勝利は状況に応じた構造の変化だけでなく、これまでに積み重ねてきたベースがあってこそのもの?
そうであればこれは単なる勝利の一戦ではなく、今後に期待が持てる成長の結果が見えた一戦だったのかもしれない。