傷つきやすいの
今日の日記、白色の血を流すポインセチア、愛しいので。
冬冬。街は11月なかば、花屋は特になんにもイベントがない11月には見向きもしない。カボチャを置き終わった10月31日から、クリスマスの準備を始める。
夏のひまわりが入ってこなくなった。ら、秋にカボチャとトウガラシが入ってきて、入ってこなくなった。ら、この前、大量のポインセチアを社長が仕入れてきた。
赤、ピンク、白、いろんなポインセチアが店先を冬にする。クリスマスカラーの和紙でラッピングをして、誰かの家に行く準備をさせる。
ポインセチアをラッピングしている、葉っぱに手が触れてしまう。ぷち、ポインセチアの葉っぱから白い液体がこぼれ落ちる。少し触っただけで茎が傷つき、小さな裂け目から白い液体が、わたし傷つきました、痛いですと言わんばかりに、血みたいな液を出す。そんなに強く触ってないでしょお、ごめんて、と思う。和紙に滴って拭き取る羽目に。ほかの植物はこんなことない、むしろ、カーネーションの茎についてる葉っぱをむしり取るとすっきりしました、みたいな感じでつるっと取れるのだ、この子は何なんだ、傷つきやすいてわけか。
赤じゃない、体液はたくさんある。虫の体液は、赤くない。例えば甲虫の足を切っても、チョウ類の赤ちゃんのお腹を切っても、緑色の液体すら出てこない、カーネーションも、ガーベラも、バラも、切っても、白い液体は出てこない、皆、透明だ。赤いと痛そうなのは人間だからだ、植物なら痛がらないから動物はだめだけど植物なら食べてもいいと思っている人もいることだし、虫や植物は(人間からみたら)主張ができないささやかな生だと思う。でもポインセチアは違う。
ちょっと触ると至るところから、白色の血を流す、今わたしの葉に触れたでしょ、傷ついたの、痛いの、すごく繊細に、ちょっとだけなのに、これみよがしに流すのだ。
しかも調べたところ、少し有毒らしい、あたしはそれ見て笑ってしまった。なんて強かな植物なんだろう。こんなにかわいいのに、人間にここまで申し訳無さを植え付けて、しかも毒で対抗してくるというわけだ。
あたしはポインセチアが好きになってしまった。相変わらず四方に自由に飛び出すポインセチアに触れて少しも傷つけることなくラッピングすることはできずにいる。ヒステリックなこの植物は、目立ちたがり屋で、分かりやすくて、人間と暮らすにはちょうどいいんじゃないだろうか。今度、家にも買って帰ろうとおもった。