【旧:慶学サロン】建築作品から学ぶ集団規定 vol.5-幕張新都心×法68条の2地区計画
今回もまたまたボリューミーになってしまいつつ!笑
慶学サロンにおいて、法規トーーク!vol.5、無事終了しましたー!
こちらのサロンで、法規トーーク!と題しまして、一級建築士試験に出題される建築作品をピックアップ、その都市計画情報をもとに、建築基準法第3章 集団規定について学んでます。
前回までの様子は、下記。
さっそく、いきましょか。
■ 建築作品選定のうらがわ
いや、誰が法規トーーク!の前半解説は1作品と決めた?
ってことで、一挙4作品にしまして。
「幕張新都心」ガッツリですよ。(めっちゃ首絞めた)
■ 敷地周辺調査
幕張・・・
東京の向こう側っていうイメージしかありません。幕張メッセはたぶん2回か3回・・・くらいしか行ったことがない・・・汗
なので、今回相当調べました。(ネット上ですけど
それから、まちづくりのことも。
確か、幕張の開発に関わったまちづくりプランナーがいるとか言ってたなぁ・・・っていう古い記憶をたどったら、蓑原敬さんのことでした。
まちづくりの過程で、地域でグランドピアノを買ったっていう話を聞いたなぁ・・・って調べたら、まさに幕張ベイタウン内にある幕張ベイタウン・コア(公民館、音楽ホール、図書館、キッズルームの複合施設)のことで、この音楽ホールに設えるピアノをチャリティーコンサートを開いてその収入で購入したっていう話でした。
なるほど、なるほど。
大学のサークルの友人に、社会人になってから下半身不随になった子がいるのですが。あるとき、モータショー行こうぜー!ってことになって。サークル車のハイエースの後ろにその子の車椅子乗っけて、学生含めて8人くらいで幕張いったんです(交通費節約)。
で、幕張メッセの駐車場着いたら、駐車を待つ車が長蛇の列・・・
やむなく警備員の方に「車椅子利用者がいますー」ってバンの荷台に乗っけた車椅子見せて。わーい、って、車椅子優先の駐車場へ通されて。
なんの話でしたっけ。
あ、はい、
改めてグーグル・マップで幕張メッセの駐車場見たら、めっちゃ広くて・・・うっわ、これ車椅子で端から端へと移動ってむりだったわ・・・って思いました。まる。
■幕張ベイタウンの地区計画の話
60分のうち、前半後半ともギチギチの内容になったため、こちらで補足。
◇千葉市 地区計画の建築条例化の状況https://www.city.chiba.jp/toshi/kenchiku/shido/documents/joureikajoukyou200623.pdf
こんな感じですねー
説明がここまでたどり着かなかった・・・汗
幕張都心住宅地=幕張ベイタウン。
地区整備計画では、用途、敷地面積、高さ、意匠、垣柵について制限有りで、逆に壁面線の位置の制限がないのも意外です。垣柵の欄には「設置しない」という縛りがかかってますね。
当初計画から、この地区計画の区域の一部で容積率を100%上乗せしてるんですが、地区整備計画では制定せず、高度利用地区でやっているのも面白いです。
◇千葉市 地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例
https://www1.g-reiki.net/chiba/reiki_honbun/g002RG00000612.html
◇千葉市 幕張新都心住宅地区地区計画
https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/keikaku/gaiyou/documents/05makuhari-housing.pdf
実際の地区整備計画、計画図の説明・・・したかったです・・・涙
■動画の内容
前半はてんこ盛りすぎるので、一部だけ
1. 一級建築士試験計画科目における建築作品
お題:幕張メッセ第Ⅰ期・第Ⅱ期、幕張ベイタウン、幕張ベイタウンパティオス4番街、千葉市立打瀬小学校の4つ
2. 出題的特徴・キーワード
4作品あるのですが、幕張メッセのみにしときます。
アフタートークで、幕張メッセ行ったことあるんですけど・・・
グーグル・マップで上から見るとこんな感じなんですねー!という嬉しい感想いただきました。普通、上から俯瞰してみることないですからね。笑
それから、JR幕張海浜駅からの歩行者はペデストリアンデッキで北側2階レベルから、公共交通機関は北側1階から、サプライ(管理者や展示者)は南側の道路から直接アクセス、といった明確な空間構成・動線分離になっている説明もサクッとしました。
幕張は、行くの楽しいんですけど、歩きまくるからマジで足が棒になりますよねーっていう話で一致。
3. 都市デザインガイドライン
2作品目の幕張ベイタウンでは、「都市デザインガイドライン」というガイドラインが造られて、このガイドラインを軸に、都市基盤(道路形状や舗装、街灯、車止め等)のデザインと、建築のデザインを一貫して行っている、というのが特徴です。
ってことで、なぜこのようなガイドラインができたのか、この「都市デザインガイドライン」が示した都市型住宅地とはどんなものなのか、ほぼ同時期に開発された郊外型団地(ベルコリーヌ南大沢)とナニが違うのか、を実際に千葉県が発行した冊子を見てもらいつつお話しました。
ほんとは、コレと地区計画の内容を比較できたらよかったのですが・・・時間切れ・・・涙
こんな説明をしたせいか、この街は上から見たら「単調な四角い街区」にしか見えないんですが、個々の建物自体は結構自由度があっておもしろーい!という感想いただきました!笑
ちなみに、私自身はこの沿道型(街区型)の街をみて、すぐにスペインのバルセロナを思いました。行ったことないですけども・・・。でも、この街の沿道型のデザインソースは、フランスのパリやドイツ、イギリス、そしてオランダも、と知って逆に意外でした(以下略
もう一つ、ネタとしては、幕張ベイタウンの基本構想・マスタープラン作成時に、若かりし頃のシーラカンスのメンバーがオランダに留学されていた縁で抜擢されて、その後、今日のお題の4つ目である千葉市立打瀬小学校の設計者としても再度関わることになったとのことです。
あと、そうだー
この街の軸線は、南北軸に沿わずちょっとナナメになってるんですが、この街路のナナメ軸は、富士山の方向なんですよー!しかも南北軸でないことにより、街区型における採光問題(南北軸だと不利になる住戸がでてくる)も解決することになったっていうのは時間切れでお話できず。泣
4. 建物概要
こちらも、幕張メッセ第Ⅰ期の展示会場1~8のもののみ。
上記の情報は、全て「新建築 1989年12月 p312、建築文化 1989年12月 p56」からの引用です。
意匠設計:槇文彦氏、構造設計:木村俊彦氏ですが、コンペでは天井高が12mという設定だったのに、巨大なキールアーチで15~30mとした、そうです・・・こういったコンペ募集要項破りが、新国立競技場につながるんですね・・・(以下略
5. 都市計画情報
R03年現在です、念の為。
最後の、法68条の2が、地区計画関係の条文になります。
6. 地区計画に実効性をもたせるための3つの法律について
後半、慶さんのターン。
7. 都市計画法における地区計画関連条文について
慶さんからの質問、なかなか難しかったかと。
都市計画法がわかってないと、建築基準法「も」わからない、ので、しっかり法令の関係・流れをおさえたいですね。
これが集団規定の醍醐味。
8. 建築基準法における地区計画関連条文について
「定めることができる」=定めなくてもよい、なんですよね。
ややこしい。
都市計画法による都市計画決定があっても、即、法6条の建築基準関係規定となるわけではない、というお話。
9. 地区計画に関する市町村条例の制定のあるなし
都市計画法19条の都市計画決定だけだと、都市計画法58条の2の「届出」だけでいいんです。ということは、地区計画の内容に反した建築を建てられなくもない(実際は、行政と協議という名の勧告になると思いますが・・・)。いずれにしても、緩い規定となってます。
この都市計画決定した内容詳細を確実に実現したい場合は、もう一段やることがありまして。
それがどうゆう過程を経る必要があるか、という説明がありました。
単に、都市計画法に則って都市計画決定するだけでなくて、建築基準法68条の2による市町村条例の制定あるなしで、全然違った話になるよー、ってことです。
10. 都市計画法の地区計画制限=市町村条例の地区計画制限?
ここ、試験によく問われるところです。
きちんと押さえたいところ。
11. 実際の試験問題でよく問われる内容
こちらも、テッパンですかねー
施行令136条の2の5とにらめっこですね。
改めて、慶さんの説明わかりやすかったですねー!
ここがきちんと理解できてくると、都市計画法での地区計画の話、建築基準法での地区計画の話、それぞれの違いについて、混乱せずに法令集を開けると思います。
12. 感想等
慶さんの途中の質問でも出てきますが・・・
これは、私も受験生当時混乱しました。
雰囲気が似てるから。(コラ
いや、ほんとにぜーんぜん別ものなんですけど!苦笑
受験生時代、この「都市計画施設」っていうのを「地区計画」と勝手に脳内変換してよく失点したんです・・・(あるある?
あれ?と思われた方は、都市施設・都市計画施設の違い
これ ↑ 受験生時代に書いたブログですけど、地区計画が「許可」でなくて「届出」ってところにびっくりしてますね。笑
だいたい、みんな通るみち?
余談ですが、地区計画制度ができる段階で、↓ が検討されたそうです。
■本日のトップ画像
幕張メッセ第Ⅱ期、「波」のモチーフになった大屋根ですが、波というより船の帆のような・・・吊り構造になっていまして。
大屋根がカテナリー曲線(懸垂曲線)になってるところから。
私の大好きなイギリス南西部のBristol、エイボン渓谷にかかるThe Clifton Suspention Bridgeです。1835年にIsambard Kingdom Brunelの構想をもとに架けられていて、185年経った今も現役の鋳鉄の吊り橋なんですけど、このテツテツした構造物、遠くからでも近くからでも、めちゃくちゃ迫力ありました。実に美しい曲線にため息・・・
この橋桁、エイボン川の水面から相当高い位置にあるんですが・・・
ブリストルはイギリス南西部最大の貿易港でもあり、黒人奴隷のやりとりで繁栄した港なんですが、大きな船の出入りがあったために橋桁は水面から少なくとも30m(100ft)はないとダメということで、こんな高い位置に架けられたそうですー
この鋳鉄の吊り橋と同じ理論で、幕張メッセ第Ⅱ期の鋼鉄ワイヤーによる吊り屋根が造られたっていうのが、歴史のつながりを感じますね。地球上のどこで誰がやっても同じ懸垂曲線を描くって、つくづくすごいことだと思います。
次回もどうぞお楽しみに!