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【一級建築士製図試験】設計課題(用途)についての学び方-上

GW中の5月3日・4日、イチケンさん主催の #イチケンZOOM過去問勉強GW がありました。(忙しさを理由に放置してたらすっかり昔のことになってしまった・・・)
令和2年合格者のま~むちゃん木たてしさんアジさんにより、代わる代わるどうやって過去問を勉強したかの解説があって、皆さんのアウトプットもすごかったですね~

私も、4日の最後の1時間を頂いて、製図試験において、設計課題、特に「用途」について、どうやって学んだらいいか?というお題で、お話をしましたので、上、の3回に分けてまとめておきます。(長いw

ん?用途?

まず、一番最初に、なぜこの設計時、エスキス時における「用途」についての話をしようと思ったか?ということですが。
以下、私のツイッター上の話です。
平成24年の図書館課題を解いた方が、図面をツイートされてたんです。それが、私が受験して合格した年の課題だったものだから・・・
当時のことが思い返されつつ、課題文の条件の細部まで思い出しつつ、その方とやりとりしていく間に、気づいたことがありました。

あ、この方、図書館独特の使い勝手空間構成わかってないな。

大げさにいうと、住宅で言うところの、玄関開けたらいきなり主寝室がくる、みたいな感じです(わかりやすく誇張してます)。
浴室と脱衣室は隣接してないと使い勝手悪いのに、間にキッチンがあるとか・・・!?
え?そんな家、住みづらくない!?って。
図面を拝見していて、そんな感覚に陥りました。

一般的に、製図試験て、7月に課題発表があったあと10月までの間に、課題の建築の用途、特性については、ミッチリ勉強しますよね。
どんな建物なのか?とか、どんな使われ方してるのか?とか。
ということは。
用途独特の配置計画・空間構成・プログラムやなんかが全然わかってない状態で、必死こいて過去問をたくさん解いてもあんまり意味ないんですよね・・・使い勝手のわかってない状態で解いても、使い勝手のわかってない空間ができあがるだけというか、ただただ要求室が全部入りゃいい、みたいになりがちというか。(前出の方がそうだ、という意味ではないです。あくまで傾向として、という意味です。あしからず)
もしかしたら、普段私も上司から「こんな使い勝手悪い建物ないだろ!?事例見た?」ってめちゃめちゃ怒られてるから、過敏なのかもしれません。笑

そんなことがあったあと、イチケンさんとお話させてもらいまして。
「平成24年の図書館課題」はいろんな意味で製図試験の基本だよね、っていうことで一致しまして。私がちょうど受験して合格した課題でもあるので、GWの1時間では、用途の学び方の一事例としてお話しさせてもらいました。
なお、私自身は、受験生時代、教育的ウラ指導日建学院のダブルスクールしましたゆえ、ある程度内容がその2つの受験指導に偏ること、予めご了承ください。

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上でⅠを、中でⅡとⅢの途中まで下で残りを書いてます。

■課題発表!

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令和3年、一級建築士の設計製図試験の課題の発表は、7月21日(水)だそうです(ご自分でも、試験元の最新情報を要チェックですね。)

今の時期は、学科受験生さんと比べて、製図受験生さんはそろそろエンジンかかる感じですかね?いやはや、7月の「設計製図試験の課題の発表の日」は、刻々と迫ってきてますよねーーー
ってことで、
7月の課題の発表の日までに、これから書くこと以外、エスキスの手順だとか、法規・構造・設備・省エネの勉強だとか、作図時間の短縮だとか・・・
全て終わらせておいて、いざ課題発表!ってなったらすぐに「用途独特の使い勝手についての勉強」に取りかかれるように、今から準備しておきたいところです。

じゃ、今からなにを準備したらいいの?
実際に、課題が公表されたら、どうすべき?

実際に、私自身が製図受験をした年の課題ですね、
平成24年の7月20日(金)に発表があった図書館課題のお題一式について、事例としてみなさんに見て頂きました。(イチケンさんがいつも仰せの「命の紙」ってやつの平成24年版ですが、試験元の情報管理が厳しいので、ここに一式を具体的に書くわけにいかず・・・内閣府認可・一般社団法人全日本建築士会のリンクはっておきます。)

いずれにしても。
平成24年当時は、こんな感じ。

主題「地域図書館」
副題「段床形式の小ホールのある施設である。」

用途に対するヒントは、その2つだけ。
あとは、要求図書と要求図面に図示、又は記入する内容のみ。
こっから、どうやって勉強します?

■用途とは?

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さて、具体的に「用途」ってなんじゃらほい?
ってことですが、辞書引くと一般的には道具とかの「使いみち」のこと。
建築用語的にも、まぁ、建物の使いみち、使い勝手、みたいな感じですかね。いわゆる建築常識、と言われるやつ。

試験元により、主題「地域図書館」と副題「段床形式の小ホール」という用途、建物の使いみち、使い勝手・空間構成について出題しますよーって発表があったってことは、その用途の建物を設計・製図してもらうことを通して一級建築士に見合うかどうかを試験しますよ、ということですので。

では、課題発表・公表があった後の2ヶ月ちょっとの間に、その根幹である建物の用途の部分について、どのように勉強したらいいか?ですよね。

ま、学校行ってたら、あんま考える必要ない?かも?ですけど。
どうですかね?
製図試験!というと、教える側も、教わる側も・・・
エスキスや作図に目が行きがちですが・・・
最初にこの「用途」の部分ですね、平成24年で言えば、図書館という建物独特の使われ方についてミーーーッチリ勉強しておけば、実はコワイモノナシなんです。(言い切り

ぜひ、そういったことを知ってほしくて、この記事を書いています。

Ⅰ. 情報収集

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さて早速。
まずは、私が思う「用途」に関しての情報収集方法に関して、以下3つ。

1. (資格取得支援の)プロの分析

 →情報収集時間の時短のため、ただし膨大な量ゆえ要約される

やはり情報収集力に長けているところ、すなわち資格取得支援団体に、お金を払って全体をざっと教えもらうというのは、7月~10月の短い準備期間の中で、かなりの時短になるのではないかと思います。

ただ、
一度でも、学校説明会等、参加したことのある方はご存知かと思いますけど・・・
学科終わった後の製図の説明会で行われる内容って・・・
製図試験まるーーーっと一式についてなので、情報量がハンパなく膨大なんですよね。話をちょっと聞いたくらいじゃなーんも残らないし、むしろ、ちょっ!?今日言われたこと全部できるようになって、10月に合格できるのか???と恐怖心がわきつつ・・・
次の授業で課題渡されて、ハイ!じゃ解いて!みたいな感じだし・・・苦笑

なので、情報収集の手間を省いて大量に情報を仕入れたものの、自分のものに出来ずに終わる方も多々みかけます。モッタイナイヨー!
聞くのと、自分でやってみるのは、雲泥の差ですからね。特に製図試験では。

なので、こういったプロからの洗礼!?を受けっぱなしにしないで、自分でもゆっくり、何度でも噛み砕いて、実際のエスキスに反映できるように身に着けて行く作業ってのが必要と思います。

2. 書籍

 →1の「プロの分析」の補足、不明点を個別に明確にする

「用途」に関しての情報は、膨大な製図試験情報の中に埋もれがち。

プロからの情報は、重要なことを教えて頂いてはいるのですが、一度に大量すぎて全部吸収しきらないので、書籍で随時その補足を、ということなんですが、完全独学の方は、自分でこの情報収集・補足の資料集めの作業をゼロからやる必要があります。

これから紹介する書籍は、全部、世の中の意匠設計の方が普段机の横においておいて、折に触れて参考にしてるものです。(人によるかもしれんですw

自分でも資料集めて、「わからんぞ」「どんな使い方してるんだろう?」となった時にすぐ調べられるようにしとくってのは大事ですよ、っていうことです。
なお、日建学院の製図の教科書、まだとってあるので引っ張り出して読み直してみましたが、下記に紹介する本に書いてあることが、簡略化されて書いてありましたので、学校通われる方は、まぁ、コンパクト建築設計資料集成以外はなくても大丈夫かなーーー???

このコンパクト建築設計資料集成については、「下」の記事でミッチリやりますね。学科もだけど、製図の参考資料としても必須です。

建築設計シリーズも有名ですね。
図書館2図書館3 もあります。

市ヶ谷出版のは、もーのすごい丁寧に、設計製図のやり方が書いてあります。すごくわかりやすいので、私は個人的にこのシリーズを猛烈にオススメしますが、なにせ出版日が古い・・・泣

なお、上記紹介した書籍は全てにおいて出版日が古いので、自分で情報の更新が必要です。が、用途の基礎的なところ・設計の落とし込み方なんかは、これらの本で全部学べます。
資格支援団体のだいたいのところが、このような書籍をもとに教科書を作成して、大枠を説明していると思いますしね、重複する内容も多いと思います。

なので、先も書きましたが、特に独学の方はこれらの資料は必須かと。
どの書籍がいいか?どんな情報が載っているかは、今のうちからある程度調べておくとよいかと。

その他、最新事例の調べ方ついては、「中」の記事で。

3. 実例見学・ヒアリング

 →1「プロの分析」と2「書籍」を体得、より実態に近づく

これは、具体的にその「使い勝手」を体感・体得するために行うことです。(もちろん、試験元による見学の自粛等の注意喚起には従ってください。)
実例見学は、私の場合、ウラ指導の見学会に混ぜてもらえてたのが、ほんとうにありがたかったですので、以下はその経験談になります。

川越市立図書館の実例見学会の帰り際、こんな質問をさせてもらいました。

「一級建築士目線」で見たら、この建物はどう特徴的なのか?
・どうゆうところが図書館特有の配置計画になっているのか?

代表の荘司さんに、館内案内図の前で図書館独特の配置計画について説明を頂いたのは鮮明に覚えていますし、その後のエスキスにもかなり影響出てます。笑

それから、同施設見学会の際に、図書館司書の方に普段建物をどのように使っているか、書籍の貸し借り業務以外にどのようなお仕事をされているか、の説明を伺ったのも、貴重な機会でした。
ここで教わった内容は、試験当日のエスキス判断材料としてものすごい活きました。(「下」の記事で詳しくお伝えします)

ということで、課題を解く上で、ヒアリングの機会があるとすごく参考になるであろう方をピックアップしてみました。

・図書館であれば、図書館司書の方
・幼稚園・保育系施設であれば、保育士の方
・介護福祉系施設であれば、介護福祉士社会福祉士の方
・ホテルであれば、ホテルマン
・美術館なら、学芸員

ま、課題によっていない場合もありますけどね。(研修施設とかだと事務員さんがいらっしゃいますかね?
普段、建物内でどんな活動しているか、どんな働き方をされているか、建物がどんな使われ方をしているかについて、よくご存知だから。

こういった、実体験が伴う施設見学・ヒアリングとかって、例えば、誰かが描いた図面を読む時の、使い勝手に関しての想像力・理解力が全然違ってくるんですよね。
世情が許せば、ぜひ見学へ・・・
と言いたいところですが、感染症のこともあるし、バーチャルでもある程度はできるので・・・がんばりましょう。。。

以上、情報収集方法について、  #イチケンZOOM過去問勉強GW  にてしゃべった内容に補足しつつ、書いてみました。
「中」につづきます。

■本日のトップ画像

いわずもがな、我が家にある「図書館」シリーズです。
家が狭いゆえ、極力本は買ってなくて、ほんとは壁一面の本棚とか・・・略

GWで一時間の話をするために、引っ張り出してきてあれこれ眺めました。

っていうか、
受験生当時、全部買ったくせにほぼ見てません(余裕なしw
一番右の市ヶ谷出版の設計製図シリーズに、こんな基礎的な、大事なことが書かれているとは!という発見ができただけでも、私にとってもGWの1時間の授業は貴重な機会となりました。

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