【旧:慶学サロン】建築作品から学ぶ集団規定 vol.6-聖路加国際病院・三井本館×法60条特定街区
あーーー
めっちゃ時間オーバーしました・・・笑
ってことで、慶学サロンにおいて、法規トーーク!vol.6、今回もなんとか終了しましたー!
今回も、無料招待枠のお二人、よくがんばりました!
慶学サロンでは、法規トーーク!と題しまして、一級建築士試験に出題される建築作品をピックアップ、その都市計画情報をもとに、建築基準法第3章 集団規定について学んでます。
前回までの様子は、下記。
さて、さっそく。
■ 建築作品選定のうらがわ
てな具合でした。笑
法規トーーク!のブレスト、こんなやりとりで割と短い感じです。
なお、病院名なんですけど、せいろかとずっと読んでたんですが、正式には「せいるか」なんですね・・・汗
英語名が、St. Luke's International Hospitalなので。
そうか、キリスト教の新約聖書にある「ルカの福音書」を書いた方か・・・聖人ルカは医師(の象徴)だったのね、ってなりました(名前だけ知ってるという無知さ加減)。
■ 敷地周辺調査
まずは、聖路加国際病院。
完全個室ですごいとか、LDR(出産)の設備がすごいとか、特定街区で建て替えた、日野原(重明)先生がずっとご活躍されてたとか、地下鉄サリン事件の時に重病患者の一斉受け入れができる施設・設備が整ってたとか・・・
特定街区の代表格(?)としての話は聞くけど、ちゃんと調べたことなく。
もちろん、病院としてもお世話になったことがなく。
ただ、近くは通りすがったことがあるんですよね。
築地の魚市場移転計画とか、隅田川護岸整備(河川法)、隅田川の防災船着場について、ミーーーッチリ勉強したことがあって、第3街区を通りすがったことがあり。(明らかに建築ではない仕事。笑)
一方、三井本館。
だいぶ前ですが、友人が、日本橋三井タワーの方の高級ホテル、マンダリン・オリエンタルで、挙式しましたねー
一級建築士合格する前だったか後だったか・・・
前知識なく行って・・・もったいない・・・
お式が始まる前に、超高層タワーの方のアトリウムにできた千疋屋のカフェで優雅にお茶しましたぜ、くらいしか記憶になく・・・(千疋屋さんは、この事業の共同事業主でもあるそうです)
思えば、披露宴始まる前の親族・友人控室は、たぶん重要文化財の本館の方ですね。
もう少し調べてから行けばよかった・・・笑
ま、いずれにしても、2つの事業とも、前知識は全然なかったってことで。できる範囲で調べてのプレゼンとなりました。
■動画の内容
前半計画作品の説明が50分、後半特定街区の説明が20分ほどで。
ちょっと聖路加国際病院について、熱心に話しすぎましたね。
1. 一級建築士試験計画科目における建築作品1
お題:聖路加国際病院
2. 出題的特徴・キーワード
病院案内による、実際の病室です。
病室のご案内 個室C - 聖路加国際病院
全室、ベッドに寝た状態から外が見えるとか、すばらしい・・・
しかも、なんと3街区の2棟の超高層タワーの間から、隅田川見える設計になってるんです!!!(LIVE中には、ご紹介しそびれたーーー涙)
グーグル3Dマップを見ていて、それに気づいたときびっくりしました。
それと、
建替え後の病院の平面図を見ながら看護単位の話も少ししました。
看護拠点はこんな風に分散配置が重要ですよーと(出題あり)。
3. どうしてこうなった?という経緯
なにゆえこんな、患者さんを尊重するような病院が生まれたのか。
以下、参考文献の一部です。
医師という仕事って・・・ほんとに・・・
戦時中~東京大空襲、終戦後の物資不足の時の描写が・・・
この東京大空襲の時の生き地獄の経験が、新しい病院を建替える時に活きて、『新病院を設計する時に,スウェーデン,スイスといった中立国の病院を見学して,災害時にはチャペルでも入院ができるように,壁に酸素もサクションもつけました。(地下鉄サリン事件における聖路加国際病院の対応と災害医療への提言)』とのことです。おかげで、地下鉄サリン事件の際に患者さんの一斉受け入れができた、とのことです。
↓ は、創設からの建物の経緯、建替えの時の話わかる内容です。
創設者のトイスラー博士は、宣教師でもあり信仰の厚い方だったとのことですが、日野原先生が聖路加国際病院で働き始めた時はもう亡くなられた後だったそうで・・・ここの病院が日本の医学界に与えた影響ってすごいんだろうなと(専門外なので詳細はよくわかりませんが・・・)
日本の明治期~敗戦後の衛生環境がよくない状態から考えると、上下水道もだいぶ整って、現代ってかなり状況はよくなっているんだなーと、改めて。
そして、
信仰を中心にして、人間としての尊厳を尊重して、人を癒やす・病を治癒するということを最優先した結果が、ほぼ全病室が個室、という形になるんだなと。
調べていて、妙に納得しました。
4. 建物概要
第2街区の病院のみ。
上記の情報は、全て「新建築 1992年6月 p357」からの引用です。
病院の延べ面積が6万㎡って・・・
ちなみに、個室は一番小さくて10㎡だそうです。(病院の入院案内より)
5. 都市計画情報
R03年現在です、念の為。
建替え費用を出すために、約4,000坪ある病院の敷地の一部を売り払う話も出てたそうですが。それだと、建替え費用が一回出て終わりになってしまって、また何十年か後の建替えはどうするんだ?ということになりかねないと。
それで、特定街区で、低容積の部分の容積を第3街区に集めて、第3街区で定期借地という不動産手法を使って事業費を捻出することにした、と。
たまたま法律の改正があって、複数街区で特定街区がかけられるようになったとか、容積移転ができるとか、歴史的建築物がある場合の考え方なんかが明確になったとかで、事業自体が可能になったそうです。
感嘆。
この事業を組み上げた担当者の方々、すごいですね・・・(どうゆう感想w
東京都の特定街区の運用指針によると、都市基盤整備(道路、公園、上下水道等)が終わっている、5,000㎡以上の敷地、など、特定街区を適用するにも条件があって・・・(という説明ができず、慶さんのチャットによる応援あり)、全国でもダントツで東京・横浜辺りで、特定街区の都市計画決定が多い、という話がチャットでなされてました。
6. 一級建築士試験計画科目における建築作品2
お題:三井本館
そして、もう一つのお題、三井本館なんですが・・・
こちらも、もーほんとにてんこ盛りにエピソードがあるのですが、心を鬼にして、略!!!
特定街区と、重要文化財特別型特定街区の違いについてと、その成り立ち、採用に至った経緯なんかについてお話してますので、動画を見て頂けるとよいかなと。
どちらの建物も、関東大震災を契機に建替えがあって、地震✕火事に強いRC造にしたというエピソードが残っています。
三井本館の方は、三井財閥が「震災復興の模範となるように」「関東大震災の2倍の大きさの地震が来ても耐えられるように!」という命のもと、「壮麗・建替えてるから、耐震工事してない?ぽい?(未確認)し、いかにも頑丈ぽい雰囲気ですよね。
なお、お隣の国宝=日本銀行(辰野金吾氏設計)は、免震レトロフィットで改修してますが、三井本館についてはそうゆう話は見つけられず。
その2つの歴史的な建物が、時を越えて現代も大事に使われている影には、こんな理由があるということですねー
参考サイトの記載しときます。
7. ミッチリ。特定街区のお話。
後半、慶さんのターン。
特定街区・都市計画のまちづくり制度の話、ということで、お話を頂きました。
まず、聖路加国際病院の特定街区の計画書・計画図を見ながら、どんな計画かを具体的に確認。
聖路加病院の敷地の場合、特定街区を適用する前の都市計画では、容積率の制限は400%なんですよね。これに特定街区を適用して、容積率は、第1~3街区で全部で590%が上限だそうです。
てことは、「+190%」分は、何らかの地域貢献なり公共貢献で割増しがもらえてるんですね。
有効空地(第1街区の空地、第3街区の大アトリウム)と、もしかしたら・・・スーパー堤防整備も?かなーーー?(後半は憶測
「ある程度建物の計画ができてから、高さ+壁面の位置の指定がくる、という順番で都市計画決定します」っていうのも、きっと関わったことがない人からしたら、へーーーですね!(これは、試験には出ません・・・というお話でしたが。笑)
そして、
(特定街区はあんまり出題されてないので、)法60条を正しく理解しよう!です。
法60条第3項の読み方。
以上が、特定街区の適用がある場合に除外される規定ですね。
usagiさん、くりりさんのお二人、10問正解、おめでとうございます!
途中迷いつつも、お二人ともすらすら出てましたね。
GJでした!(途中、くりり家のハト時計が鳴いてしまいました!爆笑
最後、法規マップ(こちらで無料DL可能!)での解説が、めちゃめちゃわかりやすかったですね。
建物の形態についての制限と、他の都市計画制度と重なる部分については適用しないと。
ただし、上記の条文群は、適用しなくなったからといってナンデモアリ、ではなくて、都市計画法できちんとモンでから都市計画決定するよ、ということでした。(って、文章で読むだけだと、トンチンカンだろうなぁ・・・
ということで、私が相当しゃべってしまい、慶さんの時間がだいぶ押してしまって終了となりました。
ちょっと、今回は、実際の試験であまり出題がないというか・・・、どちらかというと一般的な「病院」で出題が多いので、慶さんにしたらやりづらかったかもしれませんね・・・汗
8. アフタートーク
非常に嬉しい感想です!
いろいろ省いてますが、都市計画制度を採用するのって、非常にたくさんの知識が求められます。
建築・建設以外にも、事業費を弾くための税金から土地の権利、不動産売買のことから、地域の自然環境・生態系、環境負荷低減、都市基盤整備、防災・災害対策、地域貢献、あとはなんだろう・・・、とにかく全部を完璧に網羅してる人はいないですね。断言。
基本的に、都市計画制度は提案制度なので、「こんな街にしたいですけどいいですかー周辺環境に影響ないように地域貢献しますんでー」ってとこからスタートなんですよね。
その辺のお話を熱くしていて、長くなってしまいました。笑
それと、
今回、病院機能として、災害時の受け入れ体制というか「災害拠点病院」について出題が続いているので、もう少し掘り下げたかったのですが・・・
ボリュームありすぎて中途ハンバになっちゃいました。泣
災害拠点病院には、「ヘリポート」を有することが奨励されるわけですが、聖路加国際病院には、それらしきものがなく。
代わりに、隅田川の防災船着場がありますよーというのが下記写真です。(夕暮れ時に入る直前の写真で・・・ちょっと暗い・・・
普段は鍵かかってるみたいですね。(隅田川の水上バスは停泊しません・・・
災害拠点病院について、一級建築士試験でそんな出題の仕方するんかーと思いましたけど、詳しく知りたい方は「自治体名+災害拠点病院」で検索してみてください。
■本日のトップ画像
今回珍しく、ドンピシャな写真です。
はい。
明石町からちょっと下った勝鬨橋から隅田川上流を眺めた図。
左岸にスクッと建ってる見えるのが、聖路加タワーです。
手前の住居棟と重なっちゃってますね。
そして、レンガ色の外観の病院も、チラッと見えてます。
聖路加タワーの上行けば、東京を一望できて&富士山も見えるはず。
もちろん、三井日本橋タワーの方は、もともと浮世絵に描かれるくらいに富士山が見えるので、マンダリン・オリエンタルホテルの最上階ロビーに行けば、最高の景色かと。(これまたグーグルマップでお見せする余裕なし・・・
いつか機会みつけて、展望フロア上がってみようと思いますー!
次回もどうぞお楽しみに!