May 15 初鳴き
なかなか寝つかれず夜更かしをしていた。
雨は止んだようだ。
仄かな灯の中でぼんやりしていたら、遠くから微かに何かの声がする。
少しずつ近づいてくるその声にハッと身を起こす。
ホトトギス!
初鳴きだ!
まるで江戸の町民のように心躍る自分におかしくなる。
近づいてきて、遠ざかっていった。
固まっていた体を動かし窓を開ける。
しばらく耳を澄ます。
残念、もう声はしない。
一鳴き、二鳴き、三鳴きと
夜空を渡って行ったホトトギス。
あぁ、初夏なんだなぁとしみじみと思う。
遠くから風に乗って微かに聞こえるのは蛙の合唱だ。
なんとなく満たされて灯りを消し、ベッドに潜り込んだ。
夕方、庭から手折ってきたジャスミンが闇の中に濃く薫った。