体幹の強さは競争成績に比例する
馬の体幹データを取り続けて3月が終わるとちょうど1年になるので、そろそろデータに基づいた体幹の話をしなくちゃならん、そう思っていた矢先にユーザーのつばみ(@283cks)さんが過去のデータを元に体幹別で出遅れ率を調べてくれました。まさに「渡りに船」。このデータを見ながら体幹を見ると何がわかるのか?を解説していきます。
まずPaddockシートでは馬の体幹を6段階にわけて観察してます。
体幹1 デキ自体が物足りない
体幹2 腰が甘くトモが流れてしまう。
体幹3 腰は甘いがトモは流れる程ではない。
体幹4 腰がしっかりしている。馬によっては体が硬過ぎてキレが無い馬もいる。
体幹5 腰の強さがありトモも発達して充実している。
体幹6 芯が全くブレない。馬体として完成の域。
体幹[1]というのはパドックでまともに歩けていない馬も多く含まれていて、そういう馬の出遅れ率が実に28%。デキ自体が悪いので出遅れた時の勝率もかなり低い。
体幹[2]はトモが流れてしまうケース。蹴った力が後ろに逃げる上に1完歩が遅くなるので当然他の馬よりも出遅れるケースが増える。(ちなみに体幹[2]でも出脚が速い馬というのがいるが、これはトモが発達していて蹴る力の強さで前に進んでいけるタイプ)。さらに加速が遅いためにコーナーから直線でもワンペースになりやすいため、前が止まってしまうような状況じゃないと勝ちきれないことが多いのでやっぱり勝率は低め。
体幹[4]の馬は脚が速い。だから先行馬であることが多いし、直線で加速が求められてもスっと反応できる。とくに東京や新潟などのスローペースの競馬ではこういう能力が求められていて、体幹の弱い馬はそこで置いていかれる。ただし体幹[4]の馬でも体が硬くて坂上のギアが足りなくなってしまう馬も多くて、最後のギアが上がる馬が上のクラスでも通用していく馬ということになる。最後のギアは脚の長さや体にバネを感じられるかなどの個体差に大きく影響される。
最後に体幹[5]以上になると、トモも発達していて追ってしっかり加速できる馬が多いので勝率が格段に上がる。もちろんどこでも強いということではなく、その馬の適性の範囲内で出走してくれば高いパフォーマンスを発揮することが多い。
最後に先々週の3歳未勝利戦で体幹が強くなった馬や調子が良かった馬が、パドック情報でどれだけ穴を開けたか?。単勝30倍以上の馬が連対した結果だ。
阪神1Rのナムラスワガーは前走デキが悪く体幹[1]。出脚がつかず後方をついて回るだけの競馬で7着だった。これが今走は体幹[2]に上がり状態も1と良くなったことで今回はスンナリ先行。152.7倍の単勝万馬券になった。
中山4Rで2着したアシタガアルサはデビュー戦が今回と同じダ1800m。当時、好位を追走したが脚が上がって6着に負けた条件。それが今回体幹が3から4に上がったことで時計を2.4秒縮めて2着。体幹が強くなったおかげで苦しい所で踏ん張りが利くようになった。
もちろん古馬でも放牧明けで馬が化けるケースもあるのだが、キャリアの浅い2・3歳馬というのがレースを使ったり調教を積んだりしたことで、一番体幹が変わりやすい。そこまで競争成績として全く走っていない馬が変わるので配当的なアドバンテージが大きいのも2・3歳戦の特徴だ。
今後はもう少し体幹変化のデータが蓄積されていけば、体幹の変化でどのくらいのアドバンテージが取れるのか?という具体的な数字も出せると思う。
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