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科特隊基地をつくる【第23話】科特隊基地の時期設定 後編
【時期設定はザラブ星人登場前後に決定】
前回の続き。
『ウルトラマン』のBlu-rayを購入して、劇中のケムラー登場回(第21話)までを見直し、科特隊基地の時期をあらためて設定することにした。
各放送回の基地シーンは、制作順や監督の嗜好あたりも影響しているはずだが、そういった事情にはこだわらずに、放送回の順番で事件が起こったと信じ、検証というかつじつま合わせを楽しんでいった。
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調べはじめると、いろいろと気になることがある。
例えば、ジェットビートルが発着棟のカタパルトから初めて発進したのはバルタン星人登場回(第16話)だが、このときは宇宙ビートルで、通常のジェットビートルがカタパルト発進するのはバニラ/アボラス登場回(第19話)から。
宇宙ビートルはペイロードが大きく垂直離陸が難しいためカタパルトを使ったが、これは燃料の節約になる!ということで、通常のジェットビートルの発進にも使うようになったという説はどうだろう?
傾斜棟に小型ビートルの発進口が設けられたのも、やはりバルタン星人登場回(第16話)からだ。じゃあ、ベムラー登場回(第1話)やガマクジラ登場回(第14話)の小型ビートルはどうやって発進したのだろうか? ケムラー登場回(第21話)では、テイルシッター(尾部を下にして立った状態での離着陸)っぽく離陸しているから、カタパルト設置以前はこの方式でエレベーター上から離着陸していたのかもしれない。そうでも考えないと小型ビートルは基地に戻ってこれないからね。
映像を通して見直したことで、これ以外にもいろいろわかったことがあるが、正直に言って、研究本などでの言及のウラがとれただけということも多かった。それでも自分で一次資料を整理したことで、自信をもって時期設定が行える。
まず言えるのは、制作中のこの模型をいわゆる「初期型」とするには、ちょっとムリがあるということ。初期型とするならば、ペーパークラフト(*1)と同様に、逆錐棟に小型ビートルの発進口をつけてはいけないからだ。
じゃあ、いつごろの設定にすればいいのか。
ヒントになったのが、ガマクジラ登場回(第14話)とガヴァドン登場回(第15話)。2週連続で基地の登場シーンがないのだが、この時期にカタパルト設置を含む大規模工事が行われ、基地が養生シートにおおわれてしまい撮影不可だったと考えるのはどうだろう?
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注目したいのはザラブ星人登場回(第18話)だ。この回、ジェットビートルはカタパルト発進ではなく垂直離陸にもどる。運用をはじめたカタパルトになにか不具合が見つかり、一時的に撤去されたのかもしれない。あるいは、その前のブルトン登場回(第17話)で、基地を襲ったブルトンを戦車部隊が激しく攻撃しているから、その流れ弾でカタパルトが壊れてしまったと考えることもできる。
だとすると、小型ビートルの逆錐棟からの発進が可能になったあとで、発着棟のカタパルトは未設置という時期もあったはずだ。
これですべてのつじつまがあう。やったじゃないか。
今回の模型は、まさにこの時期だったとしよう。ようやく安心して基地づくりに邁進できそうだ。
(*1) 中村宏治 著、円谷プロダクション 監修、『ウルトラマン超兵器大研究 「科学特捜隊基地〈初期型〉」超精密ペーパークラフト付き』、マイナビ、2013/9、48ページ
【第24話】こちらビートル、発進準備中 につづく
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