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科特隊基地をつくる【第22話】科特隊基地の時期設定 前編

【模型の時期設定をやり直すことにした】

ジェットビートルの発進ギミックの制作は順調に進んでいる。
エレベーターの昇降は、小型ビートルの発進ギミックでも使った「ラック&ピニオンギヤセット」(タミヤ)を縦に組み込むことにした。単に上下動させるだけだから仕組みは簡単だ。

ジェットビートル発進用のラック&ピニオンギアセットを地下機械室に組み込んだところ。

しかし、ここまでつくってきて新たな悩みが生じた。
科特隊基地の時期設定だ。

この模型の原型となったペーパークラフト(*1)が「初期型」となっていたこともあり、漠然と初期の基地というイメージでつくりはじめたのだが、「小型ビートルを逆錐棟から発進させる」「ジェットビートルは発着棟から垂直離陸させる」「発着棟の鉄骨トラスは赤一色にしたい」とも思っている。
そうすると、「いつ頃の基地をつくったのか?」という問いに答えられないのだ(まぁ、趣味の模型なんだから、そんなことを考えず好きにつくればいいのだが、ちょっとはこだわりたい)。
実際、いつごろの基地なのか、はっきり決めておかないと、カタパルトの有無や、鉄骨トラスの色、照明灯の本数や形などを決められない。あとあと困ることになりそうだ。
そこで、模型にした基地の時期をあらためて考証しておこうと考えた。

ちなみに、シャーロック・ホームズの愛好家、いわゆるシャーロキアンたちは、こうした考証ごとが大好きで、コナン・ドイルのホームズ作品を聖典(カノン)として絶対視したうえで、時間軸に沿って事件の発生時期や順番の整理したり、聖典と矛盾しないように自分なりの解釈を行ったりして、「ワトスンは何回結婚したのか」といった議論を楽しんでいる。そうした議論を踏まえてホームズの伝記を執筆した本格派もいる。
筆者の場合は、こうした熱心な研究家にはあきれられてしまうのだろうが、ホームズの活躍時期とパソコンが登場時期がたまたま100年違い(*2)なのをいいことに、たかが100年なら歴史的に見て誤差の範囲だろうという身勝手な考えで「シャーロック・パームズ」シリーズというパスティーシュをKDP(Kindle Direct Publishing)で4冊ほど刊行している(興味を持たれたようなら、すみません。こちらは1冊99円と有料です)、いずれにせよこういった考証ごとは面白くてたまらない。

そんなわけで、科特隊基地も変遷を考証して、今回の模型の時期をきちんと設定したいと考えた。まぁ、本格的な研究本やサイトによる先行研究もいろいろあるが、(当たり前だけど)科特隊基地の模型づくりを前提にしたものではないので、やはり自分でやるしかない。

それには一次資料となる粘土(*3)が必要だということで、あらためて『ウルトラマン』のBlu-rayを購入し、基地の登場シーンをひたすらチェックしていき、エクセルにまとめていった。

『ウルトラマン』全話が入ったBlu-ray。英語版だが(といっても劇中の会話は日本語のままで、字幕が英語なだけで消すこともできる)、なんと5000円程度。いい買い物だった。

ちょっと長くなってしまったので、具体的な成果は次回ということにして、今回はここまで。


(*1) 中村宏治 著、円谷プロダクション 監修、『ウルトラマン超兵器大研究 「科学特捜隊基地〈初期型〉」超精密ペーパークラフト付き』、マイナビ、2013/9、48ページ
(*2)最初のホームズ譚である『緋色の研究』は1881年の事件で、筆者が広告制作にかかわり、最初の愛機ともなった富士通FM-8の発売は1981年。ちょうど100年差だ。
(*3)ホームズ愛好家が「粘土! 粘土!」と騒いだときには、検討材料の不足を嘆いていると考えて間違いない。「材料! 材料! 材料だよ。粘土がなければ、煉瓦は作れない!」『ぶな屋敷』


【第23話】科特隊基地の時期設定 後編 につづく
【第21話】発着棟の建設 後編 にもどる
【第1話】はじまりの秘密基地 にもどる


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