自己紹介
パックラット(packrat)は犬や猫のような動物の名前です。
名前の由来はパックするネズミ、
このネズミ、巣の中になんでもかんでもため込でしまう習性があるのです。
これを比喩的に人に使うことがあります。
「パックラット」は何でも持ち帰っては捨てない人、
言い方を換えると「コレクター」、もしくは「もったいない病」、
家中、物であふれています。
でも、ゴミ屋敷は想像はしないでください。
我が家のばあい、あれらの○○〇は、吟味して選んだ素材たちなのです。
美しく、価値のある品々なのです。
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私がパックラットになってしまった理由には深いわけがあります(笑)。
いまから約30年前の話ですが、
結婚後すぐに地方へ転勤、知り合いがひとりもいない新地にて、手伝いもないまま、出産と子育てという課題に取り組むことになりました。
夫は仕事で毎日は戻ってこない生活です。それだけじゃない、
引継ぎではない、新天地だったことから、夫も自分のことで精いっぱいで。
子どもも大変でした。
幼稚園に入園する直前は北海道へ引越し、誰も知らない土地で、知らない文化で、どうしたらいいかわからず、
注目は浴びるけど友人はできないという苦労をしました。
そして春になったら小学校に入学する年、
やっと友人ができて、その土地の生活にも慣れたところで、東京へ戻ることになりました。
私にすれば、リセットボタンが押された、再スタートです。
ところがわずか半年で、また、異動の指令がやってきて、こんどはアメリカとか言われて。
妊娠7ヵ月で引越し、知り合いどころか日本語のない土地で、手伝いもないまま出産しなければならず・・・またゼロからの出発です。
いや、それよりも、より複雑なスタート地点に立たされたというべきでしょう。
異国の地で生きる子どもにとって、母の存在はひたすら大きくて、唯一の支えでありますから、
いつだって家には母がいる、何があろうともすぐに学校へ迎えに来る、
そういう安心感が絶対に必要でした。
そんなわけで私の「かごの鳥」生活がまたしばらく確定となったのです。
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かごの鳥にできるのは、家の中だけで完結することだけです。
それで始めたのが、独学のリメイクでした。
理由は明解、材料や道具が手元にあったからです。
私たちの身内は、遠くに住んでいて、それに時間の余裕もないんですよ。
その代わり、といえるかわかりませんが、少子化もありますしね、なんだか大量の余り物をくれるのです。
たとえば編み物の先生だった祖母からは大量の毛糸や編み棒などをいただきました。その他、あっちこっちから布とか、ビーズとか、手芸用品の数々もやってきました。
私は作るとか、造るとか、創ることが好きなんです、だからでしょう。
でも、大量の素材があっても、作り方の本を参考に作ることはできない、なぜなら、ピンポイントでは材料がそろわないからです。
だから自分で考えて形にするしかありません。
素材や材料から生まれるデザインは、順序が逆だからこその斬新さがあります。思いもしなかった作品や、自分が意図しない作品が生まれるのが、とても面白いです。
手元に残っているものを観ても、なんとも自由で、いや、自由奔放で、個性的な作品ばかりです。
失敗作もたくさん作りました。
これって、かごの鳥がかごの中で自由を満喫していた証拠品ですね。
「かごの鳥」だったゆえに失敗できるほどの時間があって、
子どもたちと遊びながら、気楽に取り組むことができたということです。
何か作りたいと思っても、なかなか時間がとれないと、なんども聞いたことがあります。また、道具や材料に費用を要するから、家計的にやさしくないとも。
道具や材料があって、時間があったからこその癒し、
夢中になれば、プレッシャーやストレスを忘れることもできます。
それからというもの、作品に使えるかな?と思うと、
捨てられない習性になりました。
だからパックラット。
おかげさまで子供たちは健康に育ちました。
だから不平不満はありません。
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15年ほど前に日本に戻り、その後は転勤はなく、落ち着いた暮らしができるようになりました。
それゆえだんだん人並みに忙しくなり、作品づくりどころではなくなりました。
そして巣立ち。
私自身、かごから出ることができる日が来たのです。
そろそろパックするだけの「パックラット」から、
創作もする「パックラット」に移行する時期が来たのかな?
そんな風に考えています。
最後までお付き合いありがとうございました。
次は、過去の作品を紹介させてください。