夏の訪れを告げるホタル。発電所が幻想的な光に包まれる!【パシフィコ動植物図鑑】
心地よい水辺に棲む細江太陽光発電所のホタル
毎年、夏の訪れとともに細江太陽光発電所周辺を飛び回るホタル。無数の光が夜空に瞬く景色は、発電所の初夏の風物詩となっています。
一般的に、ホタルの体は大きい方がメス。ただし、おしりの発光する部分はオスの方ほうが大きいとされています。また、夜空を活発に飛び回っているのは基本的にオスで、メスは卵を守るため葉の上などに留まり、静かに光って自らの位置をオスに知らせます。
ちなみに細江太陽光発電所では、宮崎県のレッドリストに記載のある「ヘイケボタル(絶滅危惧Ⅱ類区分)」「ヒメボタル(準絶滅危惧区分)」のほか、「ゲンジボタル」「マドボタル」の計4種の生息を確認。なかでももっとも多く見られるのがゲンジボタルです。
「源氏」という特徴的な名前をもつゲンジボタル。名前の由来は諸説ありますが、平家打倒に及ばなかった源頼政が亡霊となって光っている、『源氏物語』の「光源氏」とホタルが光る様子をかけている、などといわれています。
また、ホタルといえば、きれいな水辺を好む昆虫というイメージを抱く人が多いかもしれませんが、これにはゲンジボタルの幼虫時代の主食である「カワニナ」という貝に大きな関係が。カワニナは水がきれいなところに生息するため、ゲンジボタルもまた、きれいな水がある場所に集まるというわけです。
そこで、ホタルにとって棲みやすい環境をつくるべく、細江太陽光発電所ではさまざまな取り組みを行なっています。
代表的なものは、太陽光パネルの地下を通る「ホタル水路」。これは、発電所近くのホタルが生息する川に、山の雨水や湧き水を流れ込ませるために配管をつなげてつくったもの。これによりゲンジボタルの生息に必要な流水が保たれているのです。
ほかには、ホタル水路にカワニナを移植したり、定期的な水質調査を実施したり、濁流の侵入を防ぐための排水計画も立てています。
細江太陽光発電所でホタルの成虫がもっとも多く見られるのは5月の中旬〜下旬ごろ。この時期、数百匹ものホタルが夜空を舞う姿は本当に幻想的で、気づけば何時間も眺めていた……という発電所のスタッフも。ホタルの寿命は1週間程度と短く、美しい風景が見られるのはわずかな期間ではありますが、ホタルの光が放つそんな儚さもまた、心奪われる理由なのかもしれません。
こうしたホタルの様子は地域住民のみなさんでもなかなか目にする機会がないようです。2021年はタイミングが遅く叶わなかったのですが、2022年はホタルが見せる美しい世界を、地元の情報局を通して多くのみなさんにお届けできたらと考えています。
発電所内で確認できた動植物については、「ソーラーファームの動植物園」にまとめています。こちらもご覧ください。